参加費1万3800円の“高級”バイクエクササイズ・フェスに4000人が集まるワケ

写真拡大

「30も半ばをすぎて、そろそろ体型も気になってきたので。楽しそうだったのと、ダイエットのために1年半前から始めました。今日ですか? 有給使ってきました(笑)」

 黒色のスウェットに身を包んだ、丸の内に勤務する男性(38歳)は照れながら、そう答えた。

 10月13日、東京・豊洲のライブ会場「豊洲PIT」には、360台ものインドアバイクと、スポーツウェアを着用した多くの男女が集まっていた。

 目的はこの日のイベント「FEELCYCLE LVE 2017 LUSTER」だ。「FEELCYCLE(フィールサイクル)」とは、ハリウッドセレブやトップアスリートなども実践するアメリカ発祥のバイクエクササイズだ。

 ’12年、国内1号店が銀座にオープンして以降、「レディ・ガガも愛用して、短期間で20kgものダイエットに成功した」という評判で、日本でも首都圏を中心に展開してきた。会員数は非公開ながら、体験人数はのべにして11万人にものぼる。

 今回のイベントは2回目。開催規模は昨年に比べて拡大し、3日間で4000人を集客したという。

 広報担当の下渡恵子さんによれば「愛用者の男女比は男性3割、女性7割。ですが、近年は仕事終わりや、朝活の一環として参加するサラリーマンの男性も増えています。女性の方はモデルさんやタレントさんも多いですね」という。

 確かに会場を見渡すと、女性や中年男性にまじって、明らかに均整の取れたプロポーションをしたモデルと思わしき美女の姿も散見された。

 イベント開始時間になると、インストラクター3人がステージに登場。そのなかの一人、「フィールサイクルのカリスマ」と呼ばれるインストラクターMioさんが登場すると、地鳴りのような歓声が会場にひびいいた。

 暗闇のフロアに、クラブミュージックの低重音が響く、独特のきらびやかなライティングがあたりを照らす。

 インストラクターが「最高の時間を!」「Make Some Dream!」などと、アツいメッセージを呼びかけ、ペダルのリズムや負荷、運動内容(立ち漕ぎ、前後左右運動)を指示。参加者はそれに応じて、体を動かす。100分間にわたって、ノンストップでバイクを漕ぎ続けた。

 おそろいのピンクの衣装で友達と参加した、フィールサイクル歴2年半の女性(20代)は「もうすぐ30歳って年齢になって、何か趣味を始めたいなぁって(笑)。ネットで[アラサー 趣味]で検索したら出てきたんです」と、キッカケを語る。

「続けてると、太ももとか腹筋が鍛えられて、肌の調子も良くなった気がします。私が通ってるスタジオは、タレントさんとかモデルの方も来るので、オシャレなエクササイズってイメージ。スタジオ内は撮影できないんですけど、外で友達と記念写真とって、インスタにアップしたりします。これきっかけで、モテないかなぁって(笑)」

 イベント終了後、床にはまるで水たまりのように参加者の汗が残っていたという。

 この日のイベントはSS席1万3800円、もっとも安いA席でも9800円と、なかなかの高額だ。にもかかわらず、チケットは発売即完売。

 前述のカリスマインストラクターが登壇することも理由のひとつだろうが、なぜここまで人気なのだろうか。前出の広報担当、下渡さんに聞いた。

「暗闇でひと目を気にしないというのが、日本人の性格に合っているのかもしれません。普段の生活では、恥ずかしがり屋で、自分を解放できないという人でも、素直にハイテンションになって声を出したりできるので、ストレス解消にも繋がるという声も聞きます。もちろん、テンションを上げるだけではなく、今流行のマインドフルネスや思考整理にも効果があるようで。参加者のなかにはには、企業の社長さんや経営者の方も多くいらしゃいます」

 また、ここ数年ブームの「モノ消費」から「コト消費」という流れにも乗っているという。

「エクササイズもダイエットのために、自宅で一人黙々と行うのではなく、今この瞬間にしかない時間と空間をみんなで共有することで生まれるライブ感を楽しみたいという方が増えてきている。また、大勢で音楽に合わせて運動すること独特な魅力に惹かれる方もいらっしゃいます」

 さまざまな市場が成熟しつつあるなかで、エクササイズも日々、思いもよらない進化を遂げているのだ。

<取材・文/井野祐真 撮影/難波雄史(本誌)>