6日から開催された「AVCビーチバレーボール アジアツアー2017 グランフロント大阪大会」に出場するため、女子ビーチバレーバヌアツ共和国代表、ロティさん(20)とティニーさん(20)は、初来日した。
 
バヌアツは南太平洋の島国で、国連が指定した「特に開発が遅れた国=後発開発途上国」の1つ。そのためか、招待枠以外でオリンピックに選手が参加したことがない。つまり、実力で大会出場を勝ち取った選手がいないのだ。
 
「だからバヌアツでは、これまでオリンピックは盛り上がらなかったんです」
 
こう話すのは元フジテレビのアナウンサー、相川梨絵さん(40)。5年前、バヌアツ在住の日本人男性と結婚し、いまも現地で暮らす。本誌は代表ペアの遠征に随行する彼女と、ロティさん、ティニーさんの大阪滞在に密着した。
 
「でも、前回のリオ大会直前は盛り上がった。女子ビーチバレーの代表ペア、先輩のミラー選手とリンリン選手が本大会出場目前まで迫り、バヌアツでもオリンピックブームが巻き起こったんです。あと1セット取れば、というところまで勝ち進んだのに……悔しかった」(ロティさん)
 
五輪切符を逃したバヌアツ代表に、国民はすっかり意気消沈。しかし「次こそは実力でオリンピックに」と選手たちは燃えた。それを見て相川さんはスポンサー探しに奔走するなど、応援を続けている。
 
「ロティとティニーは次世代のホープだし、先輩格の2人も現役続行中。チャンスはあると思う。でもねー、予算が足りないんですよ」(相川さん)
 
オリンピック出場には、国際大会で好成績を収め、多くのポイントを獲得しなくてはならない。しかし、実力はあっても、遠征予算がなかなか捻出できない。今回は相川さんの奮闘もあり、なんとか隣国ニューカレドニアの航空会社「エアカラン」から航空券の提供を受け、日本までたどり着けたが……。
 
「問題は宿。大会中は、選手は主催者が用意したホテルに泊まれた。でも、帯同スタッフはこちらで宿を確保しないとダメ。予算が足りず、カップルでもない男女2人のコーチに1つのツインルームで我慢してもらって。大会前後の練習期間の宿は選手も自腹でした。ロティとティニーも狭い部屋に2人で」(相川さん)
 
少し申し訳なさそうに話す相川さんだが、選手たちはケロッとしたようすでこう語る。
 
「バヌアツの手作りで、水道もガスもない家に比べたら、日本のホテルは狭くても奇麗で快適よ!」(ティニーさん)
 
食費もできるだけきりつめたという。またまた恐縮したようすの相川さんだが。
 
「コンビニのすし、おいしいです。どこでも大好きなすしが食べられる日本は最高。好きなネタはサーモンとツナマヨ。すしばかり食べてたから、お箸の使い方、上達した。でもイクラはお箸ではムリ。1個ずつつまようじで刺して食べました」(ロティさん)
 
肝心の大会成績はというと、予選リーグ全敗で早々に敗退。相川さんも肩を落とした。
 
「緊張してたんだと思います。まだ2人とも20歳。でも、潜在能力というか身体能力は抜群です。アジアの大会だと彼女たちは他国選手より、頭1つ分は確実に高くジャンプする。経験を積めば、大化けする可能性もあるってコーチも言ってます」(相川さん)
 
敗退直後だというのに、本人たちも、堂々と宣言した。
 
「試合をたくさんして、自信さえ深められたら、もっと上を目指せると思う。東京オリンピックは、出場はもちろん、金メダルを取りたい。そのためにも、もっと練習したいし、試合に出たい」(ロティさん)
 
彼女たちが頑張るのには訳がある。バヌアツは近年、数々の大災害に襲われた。’15年には巨大サイクロンが上陸。約16万6000人が被災した。ロティさんもその1人だ。
 
「家の屋根が飛んでいってしまいました。全壊です。バヌアツでただ1つの、ビーチバレー専用コートも破壊されてしまいました」(ロティさん)
 
今年は火山の噴火も。彼女たちの来日と時を同じくして、北部にあるアンバエ島の火山活動が活発化した。
 
「私の出身地です。日本にたった後に、噴火レベルが引き上げられ、全島避難に。以降、両親とはまだ連絡が取れていないんです」(ティニーさん)
 
だからこそ、彼女たちは切実に、オリンピック出場を、そして、メダル獲得を目指す。
 
「私たちがオリンピックで頑張ったら、被災してつらい思いをした皆を勇気づけられると思うんです」(ロティさん)