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<これまでの再分配政策は、若年層が高齢者を助ける制度だが、これからは年齢に関係なく富裕層が困窮層を助ける制度に見直す必要がある>

自由主義・資本主義の社会では、人々が所有している富の量には大きな差がある。富める者もいれば、貧しい者もいる。

これは当然のことだが、その度合いが過ぎると社会が不安定化してしまう。このため前者から後者への所得移転(再分配)が行われる。富をたっぷり持っていて生活に困っていない人が、生活に困っている人を助ける。

しかし日本では、生活の困窮度に関係なく、下の世代が上の世代を助ける(支える)という構図が定着している。資産があり高級ゴルフクラブに足繁く通う高齢者が社会保障給付の対象になり、反対に非正規雇用でカツカツの若者であっても彼らを支える側に回らないといけない。

助ける側になるか、助けられる側になるかは、年齢によって機械的に決まる。年齢の役割規範が強い日本ならではのシステムだが、これをおかしいと思っている人は多いだろう。

高齢世帯というと乏しい年金でギリギリの生活をしているイメージが強いが、そういう世帯ばかりではない。世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄額分布をグラフにすると、<図1>のようになる。

最も多いのは貯蓄ゼロの世帯だが、次に多いのは貯蓄3000万以上の世帯だ。「貯め」がある世帯とない世帯に、はっきり分化している。前者は、振り込め詐欺の電話1本で何百万円もポンと出せる世帯だ。

ある程度想像はできるが、実際の高齢層の貯蓄格差は凄まじい。このデータは年齢を60歳以上と広く取っているが、75歳以上の後期高齢世帯に限っても同じような分布になる。高齢層を一括りにして論じるのは、いかにもおかしい。

一橋大学の小塩隆士教授は、年齢に関係なく、生活に困っていない人が困っている人を助ける制度に変えるべきだと提言している(「所得格差・貧困・再分配政策」2015年7月17日、内閣府税制調査会配布資料)。

この提言では「若年層か・高齢層か」「生活に困っているか・困っていないか」の2軸を組み合わせた図が提示されているが、4つの象限に該当する世帯の量の見当をつけてみる。

生活に困っていない世帯は、貯蓄2000万以上の世帯とする。生活に困っている世帯は、貯蓄50万未満の世帯としよう。病気や事故などに見舞われた場合、即座に生活破綻に陥るリスクを抱えた世帯だ。

舞田敏彦(教育社会学者)