新幹線高架の隣に新しい在来線ホームを建設中。新幹線11番線の反対側が「いなほ」との乗り換え用ホームとなる(撮影:山粼友也)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2017年12月号『新潟駅高架化工事の現状』を再構成した記事を掲載します。

新潟県の県庁所在地で上越新幹線の終点である日本海側の要衝、新潟駅では今、連続立体化事業が佳境を迎えている。国鉄分割民営化に伴い駅隣接の一等地を売却するため、車両基地が1991年11月に新津に移転したが、これを機に新潟市では新潟駅周辺整備事業をスタートさせた。そのメニューとして、新幹線と在来線特急の乗り継ぎ改善を含む新潟駅付近連続立体交差事業が進行している。

高架全面開業は2021年度

1992年度、新潟県と新潟市の共同事業で、調査が開始された。連続立体交差事業は、都市交通の円滑化や市街地の一体化を目的に道路整備の一環として行政が事業主体となって都市計画事業の枠組みで行われる公共事業である。事業費の負担は約1割が鉄道側で、残りは都市側(そのうち約半分は国の補助)とされている。その大きな事業規模から、長らく都道府県か政令指定都市によるものと限定されていた。2005年に制度拡充され、県庁所在都市ならびに人口20万人以上の都市および特別区も事業主体となることが認められたが、1992年の段階では新潟は政令指定都市でもなかったので、県とともに取り組むことになった。

6年後の1998年度に新潟駅周辺整備基本構想が公表となり、そこからまちづくり懇談会やシンポジウムなど気運醸成の取り組みが始められた。新しい駅前広場や駅舎の計画はコンペで募集され、2002年度に建築家堀越英嗣らによる堀越グループ(アーキテクトファイブ)の案が最優秀賞として、設計のベースとされた。そして2005年度に新潟駅周辺整備計画の都市計画決定がなされたことを受け、翌2006年度の認可をもって立体化事業がスタートした。なお、この翌年に新潟市は政令指定都市に移行したため、事業主体は県からそっくり市へと移管された。

連続立体交差化は高架構造で行われ、高架区間は新潟駅を挟む約2.5km。越後線側で2か所の踏切が除去され、交差道路4本が整備されるとともに、新潟駅部分については高架下を貫通して南口と万代口を結ぶ交通広場が設置される。2018年夏前に在来線4線を高架化して第1期開業を迎え、さらに2021年度の予定で残る1線を上げ、高架全面開業とする。

一方、この連続立体交差化と合わせて行われることになったのが、「新潟駅新幹線・在来線同一ホーム乗換事業」である。在来線の連続立体化は、駅の東側で線路を跨ぐ陸橋(東跨線橋)をクリアする必要があったため、高架橋はその上を越えることとなった。すると新幹線と同レベルの3階にそろう。そこで両者の間を新ホームで結べば、上越新幹線列車と白新線経由で新潟と庄内地方や秋田方面を結ぶ特急「いなほ」の乗り継ぎを、階層の上下を経ずに行えるようになる。


1958年の駅移転とともに建てられた駅ビルは4階建てで今や昭和の香りが色濃く漂う(撮影:山粼友也)

連続立体化が都市計画決定した2005年度に、連立化とは別枠の事業として県・市・JRで協議が持たれ、急ぎ計画が詰められた。その結果、2008年2月に連立化の工期に影響しない「軽微な都市計画変更」の扱いで認可された。

そもそも、この計画は「羽越本線高速化」の構想によって生まれた。東京〜酒田間約500kmは4時間前後を要しており、当時でも東京〜青森間約730kmの所要時間とも大差なかった。このため時間短縮は山形県庄内地方にとっては大きな課題で、とは言え全幹法で基本計画路線とされている羽越新幹線は現実的にはまったく見通しが立たないことから、1990年代から羽越本線の速達化が構想されていた。

1999〜2000年には、国によりミニ新幹線化とフリーゲージトレイン化の調査が行われ、概算事業費や課題等が明らかにされた。その後、新潟県と山形県が「白新線・羽越本線高速化・新幹線直通運転化調査」を行った結果、在来線高速化の手法として、実現性の高いことから段階的に導入してゆくことが効果的であると結論付けている。

「いなほ」乗り継ぎ向上で航空機に対抗

一方、山形県庄内地方には1991年に庄内空港が開港している。当初は先行きが不安視されたローカル空港で、現実にも関西や北海道線は廃止されてしまったが、自治体の利用促進策もあり、羽田線は好調を呈する。2006年には夜間の駐泊が行われるようになったことで1日3便から4便へと増便され、さらに最近は定員200人に満たない小型機から270人程度の中型機へと機材が大型化され、混雑緩和と予約の取りづらい状況の改善が図られている。

こうした状況は、取りも直さず「いなほ」+上越新幹線の利用状況に影響を及ぼすもので、さらに北陸新幹線開業により北陸方面の乗客がごっそり転移してしまった上越新幹線においては強化策が必要とされている。そのため、JRにとっても「いなほ」との乗り継ぎ利便向上は、大いに動機を持つところ。

なお、羽越本線高速化改良のメニューとしては、単線と複線が混在する路線での駅構内の分岐器改良による通過速度向上、カント扛上や緩和曲線の延伸による曲線通過速度の向上、曲線半径の拡大等が挙げられているが、新たな土地の取得を伴う工事や単線区間の複線化等は、事業費が大きく高騰するとして積極的ではない。ミニ新幹線やフリーゲージトレインも、現状では技術的、財政的に大きな課題が横たわる。高速化策の一メニューである車両更新については、最高速度時速120kmの485系から同130kmのE653系にすでに置き換えを完了しているため、線路改良後のスピードアップへの対応が可能となっている。

新潟駅の高架化工事は、旧在来線ホーム4面7線のうち、まずは新幹線高架側の5〜7番線を撤去、その跡に新たな高架橋を建設し、2018年度に新ホーム3面4線を供用開始することを第1期工事としている。その後、第2期工事として2021年度に残る1線を上げて3面5線化を達成する。


新潟駅の東方向。新潟新幹線車両センターに向かう新幹線の回送線は延々と高架が続く(撮影:山粼友也)

この3面5線は、当初計画では北側を単式ホームとし、南側の2面を島式とするものであった。しかし、「同一ホーム乗換事業」が組み込まれたことで配置が変更され、北側2面が島式ホーム、残る新幹線側の1面も在来線と新幹線で挟み込む島式ホームとされた。新幹線ホーム2面4線(11〜14番線)のうち、11番線が線路両側にホームを備える形態となる。在来線についてのみ見れば、最も南側が単式ホームの形となり、当初計画を逆転させたことになる。このため特段に用地を追加取得する等のことはなく、よって都市計画変更も軽微として、簡単な手続きで済んだ。

検討段階では、新幹線ホームの中では使用頻度が少ない11番線を在来線用に転換する案などもあった。その場合、新設の在来線高架がスリム化し、生み出される土地の新たな活用が検討できるメリットが考えられた。しかし、新幹線総合システム(COSMOS)の改修費が大きい点や、新潟駅折り返し列車を車両基地(新潟新幹線車両センター)まで回送する頻度が上がり、回送ロスが増えるなどの課題が大きかったため、現在案に落着している。

越後線は仮線に移設

工事の手順はまず、既設ホームの一部使用停止に備えて1番線の東側に頭端式仮設ホーム8・9番線を新設し、2012年11月に6・7番線の使用停止と同時に供用を開始した。次いで2013年3月ダイヤ改正を機に5番線も使用停止、以来現在まで、在来線は既設の1〜4番線と仮設ホームの8・9番線で営業している。新潟駅の東側で複々線を構成していた白新線と信越本線は、2011年10月から順次、仮線3線に移設して2013年9月に完了、上沼垂信号場の構内配線も一部変更された。西側の越後線は2014年11月に仮線に移設された。

そして、これらの線路やホームを撤去した用地において高架橋が建設され、現在は新潟駅部において高架ホーム3面4線と、駅の東西の高架線ではともに複線で軌道工事をほぼ終了、架線を張る段階に達している。なお、最も北側の新ホームは現状、島式でなく2番線のみの“半身”の状態で、仮設の壁面が設置されている。

越後線は、新潟〜白山間に架かる信濃川橋梁の東(右岸)側まで複線化を行うとともに、白山駅は2013年9月に1線が増設された。この白山駅1線増設は、新潟駅高架化に伴い電留線が減少するための対策で、信越本線や白新線の一部列車について新潟駅を通り越して運転し、白山駅で折り返しを行うものである。

信濃川対岸の白山駅は新潟市役所が近いほか、大学・高校、病院等が集積しているため、高架新線の使用開始後は営業列車での直通運転も考えられる。信濃川右岸までの複線化も、増加する列車本数に対応するものとして計画された。

2018年夏前に第1期工事の完了により高架線が暫定使用を開始すると、越後線に存在した2か所の踏切が解消され連続立体化区間から踏切はなくなる。在来線ホームは高架上が3面4線、地上が既設の1番線と仮設ホーム8・9番線での営業となる。上越新幹線と羽越線特急「いなほ」との同一ホーム乗り換えも、この時点でスタートする。


新潟駅西方の西跨線橋上から望む越後線高架橋の端部(撮影:山粼友也)

ダイヤはまだ明らかではないが、「いなほ」は現状7往復で、出発列車と到着列車が新潟駅に並ぶこともないため、新ダイヤの実施後も大多数は同一乗換ホームの利用が可能と考えられよう。また、合間に普通列車を入線させる余裕もありそうなので、新潟周辺の地域輸送との連携も部分的とは言え、考えられる。

新しい在来線高架ホームは、コンペで提案された案を基に全体に架かるアーチ天井が特徴となる。ホーム上では現在、内装工事が進められており、旅客向けの案内表示装置等も試験的に稼働している様子が、隣接の新幹線ホームから眺められる。同一乗換ホームには中間に柵が設けられ、指定席側と自由席側で計2か所の連絡改札口が設置されることになる。

高架化による急勾配をSLは登れない

かつてのJR九州新八代駅での事例等からノーラッチも検討されたが、JR東日本は新幹線の車内改札を基本的に行わないこととしているため、正規の切符であることを確認する中間改札は不可欠となった。この中間改札の設置により、新幹線と接続列車の接続時間は繁忙期の予測を前提に5分程度が予定されているが、それでも現在のおおむね10数分の状態から時間短縮が図られる。


一方、地平から高架へのアプローチが東側で21.7‰、西側で20‰と急勾配になるため、「SLばんえつ物語」号は新潟駅への乗り入れを取り止める。首都圏から主たる乗客を運んでくる上越新幹線と直接の接続が断たれるのだから、ちょっとした岐路になるのではないか。

第1期の高架開業の後は、地上の旧2〜4番線や信越・白新線の仮線3線のうち2線を撤去して未施工部分の高架橋建設に着手、新潟駅内では高架ホーム2番線の対面に1番線を完成させ、駅の東側では残る2線を建設する。これにより2021年度に高架線は全面使用となり、駅東側の信越本線・白新線は本来の複々線に復する。