2輪用の鉛蓄電池を使ったシステム

 ここのところ「超小型モビリティ」が話題を集めている。超小型モビリティとは、「コンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人〜2人乗り程度の車両」のことを指すのだが、それを先取りしていた車両があったのを覚えているだろうか?

 1999年に開催された、第33回東京モーターショーのスズキブースに展示されたその車両は「Pu3コミューター」と名付けられており、「スクーター感覚の4輪車。21世紀のパーソナルビークル」と謳っていた。全長2675mm×全幅1475mm×全高1450mmのコンパクトボディで2人乗り。パワーユニットは660ccガソリンエンジンと、それにモーターをプラスしたハイブリッド。そして電気モーターのみのEVの3種類とアナウンスされており、同ショーの「ザ ベスト コンセプトカー」特別賞を受賞するほどだった。 

 それから4年ほど経った2003年にPu3コミューターは「ツイン」へと名前を変えて市販された。残念ながらEV仕様は市販されなかったが、市販軽自動車初のハイブリッドシステムを搭載しており、それが現在のスズキの軽ハイブリッドにつながっていることは間違いないところだ。ただ、他メーカーのハイブリッド車とは異なり、2輪車用の鉛バッテリーを改良したものを使用していた。この辺りは二輪車メーカーとしても名高いスズキらしいと言えるだろう。

 また、当初のハイブリッドモデルはガソリン車の改造車扱いであり、車検証には「EC22S改」と記載されていた(2004年に型式取得)。

 全長もコンセプトモデルからは60mm延長されたものの、最小回転半径は3.6mと国内四輪自動車では最小。車両重量もハイブリッド車でも600kgと軽量で、カタログ燃費はハイブリッド車で34km/L(ガソリン車は26km/L)と低燃費だった。

 また、一番ベーシックな「ガソリンA」グレードは新車価格49万円という低価格も話題となったが、これはエアコンやパワステが備わらないグレードの価格である。

 結局、時代を先取りしすぎたツインは商業的には成功したとは言い難く、登場から2年8カ月余りで販売を終了。総生産台数は約1万台であった。

 しかし同時期のアルトのコンポーネンツを流用していることから、アルトワークス用のターボエンジンを換装したり、足まわりを流用したりして楽しんでいるコアなファンもおり、後世に語り継がれる名車のひとつであることは間違いない事実と言えそうだ。

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