ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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今季スランプも惚れ直させた背番号19、米メディア「タナカが再びヤ軍のエースに」

 米大リーグのア・リーグ優勝決定シリーズは18日(日本時間19日)、ヤンキース田中将大投手がアストロズとの第5戦に先発。7回3安打8奪三振無失点で勝ち投手となった。5回1死一、二塁のピンチは連続三振で切り抜け、マウンドで雄叫び。今季不振も味わった右腕が大舞台で見せた“咆哮の103球”に、米メディアは「タナカが再びヤンキースのエースに」と称賛し、背番号19の価値が急沸騰している。

 吠えた。2-0で迎えた5回、1死から安打と四球で招いた一、二塁のピンチ。ここで田中のスイッチが入った。スプリンガーを渾身の外角直球で見逃し三振。続くレディックに対しては切れ味鋭い宝刀スプリットで空振り三振に斬った。その瞬間、右拳を握って絶叫。これぞ田中という気迫にヤンキース公式ツイッターも動画付きで紹介し、「タナカ・タイム」と拍手を送った。

 103球で演じた投は、田中の価値を見直させた。ニュージャージー州最大のニュースサイト「NJ.com」は「田中将大が再びヤンキースのエースに――ただ、彼は契約をオプトアウトするのだろうか?」と見出しを打って特集している。

 今季はスランプが相次ぎ、2Aでの調整が待ち受けているのかと思わせるほどだったと紹介。その上で「思い切って、あの田中とこの田中を照らし合わせてみよう」と記し、レギュラーシーズンとの状態を比較している。

「あの田中」から「この田中」へ…次なる大役期待「ほぼ確実にWS開幕投手だろう」

「田中はただただ良くなかった。彼は元メッツ監督のジェリー・マニュエルに言わせれば『汚れ切って』いた」と記述。記事を執筆している記者は「私はヤンキースが10月を戦い抜くためには田中に彼らのエースを再現してもらう必要があると6月に書いた」とした上で「しかし、ポストシーズンでの活躍はあらゆる期待を上回った」と大舞台で本領を発揮した背番号19を称賛している。

 7年総額1億5500万ドル(約172億5000万円)の大型契約の4年目となる今年、シーズン終了後に契約を破棄し、FAになれる「オプトアウト」の権利を持つ田中。記事では「あまり確証はないものの、彼は既定の結末――1億5500万ドルの契約をオプトアウトしない――に進んでいるようだ」との見通しも言及している。

 また、ワールドシリーズ進出に王手をかけた田中にさらなる大役が待ち受けると予測している。「もし、彼に次の登板があるならば、ほぼ確実にワールドシリーズの開幕投手だろう」とし、「先走りは承知だが、田中はナ・リーグ最高の投手を相手に最終ラウンドを始めることになるのだ」とまで絶賛している。

 ポストシーズンの大舞台で本領を発揮し、背番号19の価値を一変させ、惚れ直させた右腕。さらなる活躍に、現地アメリカでも大きな注目が集まっている。