シニアのスマホ依存傾向は高まっている

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 スマホを長時間使用し続けることで、あたかも老眼のように、目のピントが合わなくなってしまう身近で怖い「スマホ老眼」と呼ばれる目の病気が流行り始めた。今、「スマホ老眼」が急に社会を騒がせ始めているのは、シニアに限らず10代からのあらゆる世代で発症するからだ。

 スマホ老眼はあらゆる世代に共通する病だが、シニアのほうが罹りやすく、また厄介である。

 若者のスマホ老眼は、基本的にはスマホの使用を控えれば、レンズの役割を果たす水晶体を取り囲む“毛様体筋”の疲労が回復して治る。だが、シニアの場合はそうはいかない。若者に比べて疲労の蓄積による毛様体筋の衰えが進みやすく、症状が悪化してしまうのだ。吉祥寺森岡眼科の森岡清史・院長が語る。

「基本的には老眼が発症する世代は毛様体筋も弱くなっています。すでに老眼が進行しているとスマホ老眼にもなりやすく、しかも老眼の症状はますます治りにくくなってしまいます」

 スマホ老眼は睡眠にも悪影響だという。毛様体筋が緊張し続けると交感神経が活発な状態になるため、リラックスした眠りを妨げてしまうからだ。

 さらに怖いのは、スマホの長時間使用を続けていると、白内障や緑内障を悪化させてしまう危険性があることだ。

「スマホから出ているブルーライトは紫外線に近い可視光線で、強いエネルギーを持っているため、水晶体と網膜の中心部にあたる黄斑部に影響を及ぼします。結果、白内障や黄斑変性という深刻な目の病気を引き起こしてしまう。また、ブルーライトは網膜の視神経乳頭部(脳から出た視神経が眼底網膜に顔を出す部分。神経繊維がほとんど露出しているためデリケート)にも刺激を与えるため、正常眼圧緑内障になるリスクも高まります」(森岡院長)

 医師や研究者らで構成されるブルーライト研究会は、パソコン、ゲーム機、液晶テレビなどを使用した際に目がさらされるブルーライト(460ナノメートルのもの)の量を比較し、スマホの場合が最も多いという研究結果を発表している。

 それでも、シニアのスマホ依存傾向は高まっている。今年7月に総務省情報通信政策研究所が発表した「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、スマホなどのモバイル機器によるインターネット利用時間は、20代がピークで、50代、60代と世代が進むにつれて減っている。しかし、実際にモバイル機器を使っている人の休日1日の「利用項目ごとの平均時間」を見ると、驚くことに「動画サイト」は60代が全世代の中で突出して多い(195分。20代では118分)。

 時間があるシニアほど、スマホで目に負担をかけ、自らスマホ老眼に進んでいってしまっているのだ。

※週刊ポスト2017年10月27日号