17年ぶり3度目のアジア制覇を狙うアル・ヒラル。攻守両面でタレントが粒揃いだ。(C)Getty Images

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 圧巻のチームパフォーマンスで強豪・上海上港を下し、アジアチャンピオンズ・リーグ(ACL)の決勝に到達した浦和レッズ。10年ぶりにアジアの盟主の座を奪取すれば、年末にUAE・アブダビで開催されるクラブワールドカップの出場権を得る。レアル・マドリーや本田圭佑を擁するパチューカとの対戦が見込め、期待は膨らむばかりだ。
 
 ホーム&アウェー形式のファイナルで浦和を待ち受けるのが、サウジアラビの名門アル・ヒラルだ。いったいどんなクラブなのだろうか。
 
 サウジの首都リャドに本拠地を置く。クラブが産声を上げたのは1957年で、ちょうど今年で60周年。メモリアルなシーズンにアジア制覇をと、クラブもサポーターも気合いが入っている。サウジ屈指の名門で、ACL優勝2回、サウジ・リーグ優勝14回(最多)など国内外大小の獲得タイトル総数は、驚愕の57個! 実績では、国内のみならず中東の覇権をも争うライバル、アル・イテハド、アル・ナスル、アル・アハリの3クラブを凌駕する。
 
 その資金力も中東随一だ。サウジ国営の通信会社『Mobily』のスポンサードを受け、その広告収入だけでも年間およそ7000万リヤル(約224億円)。国内での人気とサポーター数はダントツの一番で、全国各地にクラブショップがあるという。埼玉スタジムにも相応の応援団が駆け付けるものと見られる。
 
 2017-18シーズンのスカッドは、攻守両面でタレント揃いだ。外国籍選手は6人。MFカルロス・エドゥアルド(ブラジル)、FWマティアス・ブリトス、MFニコラス・ミレシ(ともにウルグアイ)、FWジェルミン・リーバス(ベネズエラ)、FWオマール・クリビン(クウェート)、そしてGKアリ・アル=ハブシ(オマーン)と国際色豊かだ。中国スーパーリーグのクラブのように“爆買い”などはせず、世界的な知名度こそないものの、確かな実力を持つ助っ人を迎え入れている。一番人気は、やはりアラブの英雄アル=ハブシ。かつてプレミアリーグで活躍した守護神で、アル・ヒラルでは第2GKを務めている。35歳になった。
 
 国内組は新旧のサウジ代表がずらりと居並ぶ。現代表チームには常時10名前後の選手を送り出しており、9月のW杯予選・日本戦にも出場したCBオサマ・ハウサウウィ、GKアブドゥラ・アル・ムアイフ、右SBヤセル・アル・シャハラニ、ボランチのサルマン・アル・ファラジ、アブドゥラ・オタイフなど、レギュラーを多く抱える。10番を背負うのは元サウジ代表の天才プレーメーカー、モハマド・アル・シャルフーブ(36歳)で、前線の大黒柱にしてキャプテンのFWヤセル・アル・カフタニ(35歳)も健在だ。
 
 そしてチームを率いるのは、アルゼンチン人のラモン・ディアス監督(58歳)。Jリーグで初代得点王に輝いた、伝説的なストライカーだ。2016年10月に就任すると、ソリッドな守備を軸としたダイレクト志向の強いサッカーを徹底。外国籍選手と自国選手を上手く融合させ、いきなりクラブに6年ぶりのリーグ優勝をもたらした。ACLでは圧倒的な攻撃力を示して中東のライバルをなぎ倒し、堂々のファイナル進出。17年ぶりの戴冠を狙う。
 
 ちなみにディアス監督は決勝進出を決めた際、「なんとかアジアを制してクラブワールドカップに進み、リーベルと戦いたいね」と希望を語った。南米代表を決めるコパ・リベルタドーレスは10月下旬に準決勝が開催される。ディアス監督が現役時代に長くプレーし、監督としても黄金期を築いたリーベル・プレート(アルゼンチン)は、同国のラヌースと雌雄を決する。