ほったらかしで煮物ができる!圧力IH自動調理鍋で平日の料理をお手軽に

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冬場は煮込み料理がおいしい季節です。とはいえ、鍋でコトコト煮込むには、ある程度の時間が必要。長時間の煮込みはずっと火の側に着いていなければいけないので、仕事が忙しい平日にはなかなか作れません。

そこで活用したいのが「電気調理鍋」。今回使ってみたのは、2017年9月に象印から発売された「煮込み自慢 EL-MB30」です。象印はこの分野では先駆者的なメーカーで、2014年から圧力IH鍋を発売しています。同社にとっては第2世代となるEL-MB30はどんな機能が魅力なのかを、多彩なメニューとともにお伝えしましょう。

■「無水調理」と予約調理に対応

新旧モデルに共通するのは、1.2気圧と1.0気圧を調理中に自動で切り替える「可変圧力」と、1.2気圧の状態を継続する「一定圧力」を選べる点です。この気圧の調整により、さまざまな煮込み料理が最適な状態に仕上がります。

さらに、メニュー番号を選択するだけで自動で調理時間を調整してくれる「おまかせ自動調理」や、予約調理が可能な「おまかせ予約調理」が新機能として搭載されました。もちろん、手動調理にも対応しているので、付属のレシピブックに出ていない食材の調理も可能です。

他社の電気調理鍋とは異なり、炊飯器のようなフォルムが特徴。サイズは幅29×奥行き37.5×高さ25cm、重さは約7kg。炊飯器をひと回り大きくしたくらいのサイズ感なので、これならキッチンにも置きやすそう。ひとり暮らしの筆者でも、これぐらいであれば気軽に導入できる気がします。

液晶の文字もボタンの文字もはっきり大きく書かれているので、初めて使う人でも操作がわかりやすそうです。

■意外と難易度の高い「たこの柔らか煮」に挑戦

まずは、レシピブックに出ていた「たこの柔らか煮」を作ってみます。じっくり煮ることで柔らかく仕上がるこの献立、火にかけて作ると大体1時間ちょっとかかります。それが、「一定圧力」モードなら、「沸かし約20分+調理約20分」の計40分で完成するんです。

用意したのは、下記の材料。こちらは4人分となっています。

ゆでだこ 400g生姜 1片(10g)

[A]

だし汁 300ml酒 大さじ2しょうゆ 大さじ1みりん 大さじ2砂糖 小さじ4

あとはお好みでからしや七味唐辛子といった薬味を用意してください。

たこは足を切り離し、生姜は薄切りにします。鍋にたこ、しょうが、Aを入れたら、本体にセットしましょう。

あとは、「自動」キーを押し、「一定圧力」を選択。続いてメニュー番号「3」にセットしたら、「スタート/再加熱」キーを押しましょう。これであとは仕上がるのを待つだけ。調理中は一切何もしなくていいので、ほかの用事が済ませられますね。

こちらが完成したたこの柔らか煮。生姜の香りがふわっと漂い、食欲をそそります。

出来上がった「たこの柔らか煮」は、放置しておいて完成したとは思えないほど、たこが柔らかくなっていて、まさに小料理屋の味! 普通のスーパーで買ったたこなのに、ここまでおいしく食べられることに驚かされます。

煮ものは“冷めるときに味が染み込む”といいますが、ほかほかの状態でもしっかり味が染み込んでいるのがわかります。

これらの特徴は、煮崩れしにくい1.2気圧の優しい圧力で加圧しているからこその仕上りです。食感を残したい魚介類や野菜類の加熱には「一定圧力」での加熱がいいそうです。

■冬の煮込みといえばやっぱり「おでん」

冬に食べたい、でも面倒な煮込みメニューといえば「おでん」ではないでしょうか? 材料によって鍋を分けたり、火加減を気にしたりと、意外と作るのに手間がかかるんですよね。

今回はレシピブックの材料を参考にしながら、練り物を多めにしました。こちらは2人分となっています。4人分となるとちょっと容量が厳しそうなので、かさのある献立は2人分で作るのがいいかもしれません。

ゆでた牛すじ肉 100gゆで卵 2個大根 1/4本(2〜3cmの輪切り2個)こんにゃく 1/2枚練り物 適量昆布(15cm×8cm) 1枚

[A]

水 400ml薄口しょうゆ 50mlみりん 50ml

牛すじはひと口大、大根は厚めに皮をむいて面取りします。こんにゃくは別の鍋で下茹でし、練り物は湯通し、ゆで卵は殻をむきます。昆布は水に通し、細長く切って結びます。

鍋に材料とAを入れ、本体にセットしたら、「自動」キーを押し、「可変圧力」を選びます。この可変圧力は、煮汁を対流させながら煮込み、味がしっかり染み込むという利点があります。あとは、メニュー番号「16」を選び、「スタート/再加熱」キーを押しましょう。

「沸かし約25分+調理約40分」の計65分で完成。完成したおでんがこちらです。

実際に食べてみると、約1時間しか煮込んでいないのにも関わらず、大根がとろとろに炊けています。しかも煮崩れていないので、見栄えもいいですね。

食材にしっかり味も染みていて、短時間でこれだけおいしく仕上がるとは想像以上! 普段食べ慣れたおうちごはんのクオリティが一気に高まる気がします。

■塊肉を使った「ポトフ」で“煮込み力”をチェック

レシピブックを見ていて、作ってみたくなったのが「ポトフ」。豚肩ロースのブロック肉をごろんと使ったこの献立、普段なら圧力鍋を駆使するところですが、圧力鍋っていちいち出して片付けるのが面倒なんですよね。

4人分の材料は下記のとおり。

豚肩ロース肉(ブロック) 400gウィンナー 4本玉ねぎ 1/2個にんじん 1/2本キャベツ 100g

[A]

水 400ml固形スープの素(砕く) 1個

あればローリエ2枚も加えます。あとは、塩・こしょう少々と、お好みで粒マスタードを用意します。

豚肩ロースは4等分し、ウィンナーは浅く切り込みを入れます。玉ねぎとにんじんは4つに切り、キャベツは1.5cm幅に切りましょう。全体的に大きめにカットしていますが、本当に味が染み込むのか緊張しますね。

鍋に豚肩ロース、ウィンナー、玉ねぎ、にんじん、Aを入れ、上から2を平らに置いて本体にセット。あとは「自動」キーを押して「温度調理」を選択し、メニュー番号「25」にして「スタート/再加熱」キーを押します。

調理時間は「沸かし約25分+調理約1時間30分」の計2時間弱。なかなか時間がかかるメニューなので、これは予約調理するのがおすすめです。EL-MB30は、出来上がりの時間を最大12時間前から予約できるので、朝用意しておけば、帰宅後にすぐ食べられるんです。

予約調理では、肉料理の場合は肉の表面を先に加熱して旨みを閉じ込め、野菜は一定時間70度で加熱して表面を硬くすることで煮崩れを抑えます。適切な温度コントロールで食べる時間に合わせて加熱してくれるので、衛生面でも安心なのだとか。外に働きに出る人にとってはかなり便利な機能といえるでしょう。

完成したポトフは、あの大きな塊肉がホロホロと崩れるほど柔らかくなっています。玉ねぎ、にんじんにもしっかり味が染み込んでおり、煮崩れもしていません。途中で粒マスタードを添えて食べると、少し酸味があってさっぱり食べられます。冬場なら毎日食べたくなるぐらいに、レベルの高いスープが完成しました。

■短時間で作れる「プチトマトのマリネ煮」も絶品

ここまではじっくり煮込む料理について紹介しましたが、素材の水分を活かした無水調理についても試しておきたいところ。そこで作ってみたのが、「プチトマトのマリネ煮」です。マリネは漬け込みに時間がかかるので、これなら急な来客時にもパッと出せそうなので気になりました。

下記が4人分の材料となっています。

プチトマト 300g玉ねぎ 1/2個

[A]

白ワイン 大さじ2酢 大さじ1オリーブ油 大さじ1砂糖 小さじ1/2塩 小さじ1/4黒胡椒 少々

あとは生のバジルを適宜用意すると、見栄えが華やかになります。

鍋にヘタを取ったプチトマトとAを入れて本体にセットし、「自動」キーで「無料調理」を選択します。メニュー番号を「58」にセットしたら、「スタート/再加熱」キーを押すだけ。「沸かし約15分+調理約8分」の計23分で仕上がります。

その間に玉ねぎをスライスにして水にさらし、ザルに上げておきます。調理が終了したら、この玉ねぎを鍋に入れて軽く混ぜ、あとはお皿に盛り付けましょう。

プチトマトを使うので甘みがあり、程よい酸味のマリネに仕上がっています。温かいままで食べてもいいですし、冷やして食べるとさらに味に丸みが生まれます。無水調理と聞くと、カレーやアクアパッツァなどを思い浮かべていたのですが、こういった副菜も手軽に作れるのがいいですね。

■手入れのしやすさは同ジャンル内でピカイチ

これまでもさまざまな電気調理鍋を使ってきた筆者ですが、複数メニューを立て続けに作ると、どうしても内鍋にこびりつく臭いが気になっていました。しかし、EL-MB30ならそんな心配も不要!

本モデルにはクリーニング機能を搭載。鍋に水を入れて予約キーを長押しし、「スタート/再加熱」キーを押すと、鍋の水を加熱して臭い残りを抑えてくれます。実際に試してみたところ、たしかに臭いがだいぶ軽減されており、この機能は全メーカーで標準搭載してほしいと思ったくらいです。

また、内ブタは3つのパーツに別れるようになっているので、それぞれをきれいに洗えるというのも気に入ったポイント。臭いだけでなく衛生面も気になるので、こうやって洗いやすくなっているのはいいですね。

唯一気になったのは、レシピブックもしくはメニュー番号ガイドを見ないと、設定がしづらい点です。とはいえ、基本的にはレシピブックを見て献立を決めることになるので、使っていて不便さは感じないと思いますが、スマホ連携などができるともっと便利になるかもしれませんね。

家電量販店でのEL-MB30の価格は、3万5000円前後。ほかの電気調理鍋ともほぼ同価格帯となっています。サイズ感や操作のわかりやすさは他社製品以上のものがありますし、煮込み料理や無水調理が圧倒的にラクになるのは間違いありません。炊飯器感覚で使える自動圧力IHなべ「煮込み自慢 EL-MB30」で、煮込みマスターになってみませんか?

>> 象印マホービン「煮込み自慢 EL-MB30」

 

(料理・文・写真/今西絢美)

いまにしあやみ/エディター、ライター

編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。