ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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苦手アストロズを7回零封、リーグ優勝に王手の快投

 ヤンキース田中将大投手が18日(日本時間19日)、アストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦で、7回を3安打8奪三振無失点と快投し、チームを8年ぶりワールドシリーズ進出王手に導いた。この日に限らず、今季ポストシーズン(PS)では3戦で20イニングを投げ、わずか2失点、防御率は驚異の0.90だ。リーグ優勝決定シリーズ初戦こそ黒星を喫したが、ジラルディ監督も「スペシャル」と脱帽する活躍ぶり。苦手としていたアストロズ打線を封じ「今日は自分を褒めてあげたい」という納得の勝利を挙げた後、記者会見に臨んだ田中は、PS好調の要因について自己分析した。

「ポストシーズンやシーズン最終戦では、今まで見た中で最高のレベルまでギアを上げている」というジラルディ監督のコメントを伝え聞いた右腕は、大きくうなずきながら「自分のやらなければいけないことを明確にしているっていうことが一番だと思います」と、その要因を答えた。

「自分のやるべきこと」とは何か。それは1つずつアウトを重ねること、アウトを取るために手に持った1球を狙ったところに投げること、だ。難しく考え過ぎずに、投手としての役割に徹する。ポストシーズンでは「シンプルに考えて、そこに向かって、自分の持てる力をすべて出し切ること」が、しっかり遂行できている。

「王手を掛けるか掛けられるか考えていなかった」その理由は…

 この日のマウンドは、勝てば王手が掛かり、負ければ王手を掛けられるという大一番だった。さぞかし気合の入った登板になったのかと思いきや、「勝って王手を掛けるか、負けて王手を掛けられるかっていうところは、別に考えてませんでしたし、そこが重要だとは思っていないので」と涼しい顔。試合中に何度も吼え、感情を露わにする場面があったが、それは王手云々以上に「自分の投球が(できるかどうかが)一番大事だと思うので集中していた」ためだった。

 5回1死一、二塁の場面で2者連続三振に仕留めるなど、走者を背負った場面での制球が光った。「単純に全ての球種が前回登板よりよかった」という中で、「うまく自分が優位に立ちながら相手打者のバランスを崩せたかなと思う」と手応えあり。自分の投球をするという基本に忠実なピッチングができたからこそ、チームを勝利に導けた。

 悲願のワールドシリーズ優勝を達成するには、あと5勝しなければならない。まずは王手を掛けたリーグ優勝決定シリーズを突破することが第一関門だ。

「これで終わりではない。どういう形になるか分からないですけど、明日から準備をしていかないといけないと思います」

 自分を褒めるのは、この日で終わり。悲願を達成するために、自分の持てる力をすべて出し切る。(佐藤直子 / Naoko Sato)