赤坂駅周辺では、空車のタクシーがちらほら

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 今月22日、国政の重要な局面となる「第48回衆議院議員選挙」の投開票が行われる。10日に公示された前後から、ニュースをはじめさまざまな話題を目にする機会も増えた。そんな中、選挙についての気になる噂を聞いた。

 それは「選挙になると都内のタクシー客が減る」というものだ。

 庶民の感覚からすれば、選挙ともなると国会近辺が慌ただしくなりそうなイメージもある。官公庁の職員たちもせわしなく業務に追われ、それこそ表立っては話せないような“選挙対策”について、夜な夜な料亭なんかでヒソヒソと話していそうなものである。

◆いざ、国会のお膝元・赤坂へ

 そうなればタクシー業者も稼ぎどきとなりウハウハになりそうなものだが、どうやら実態はその真逆である様子。そこで、噂の真偽を確かめるべく、高級クラブなどが建ち並ぶ国会のお膝元・赤坂のタクシー運転手にお話を伺ってみた。

 10月半ば、平日の夜の赤坂はいつも通りの賑わいをみせていた。国会のお膝元であるだけではなく、マスコミ各社も軒を連ねる場所であることから、いわゆる業界人らしき人たちもそこかしこに歩いていた。

 さっそく噂を検証しようと道端に止まるタクシー運転手へ声をかけてみたのだが、聞いた話とは裏腹に、みなさんせわしない様子。客待ちをしている何人かの運転手にフロントガラス越しに手を振ってみたものの「ちょっとお話よろしいですか?」なんて声をかけたところで、軽くいなされてしまうという有様だった。 しかし、このままでは取材がままならない。そこで、客を降ろしたばかりの一台のタクシーに乗り、とりあえず「北千住まで」ということで乗車したのちに話を聞いてみることにした。

 話を聞かせてくれたのは、キャリア1年未満という新米の運転手だった。軽く世間話に華を咲かせてからいよいよ本題へ。「じつは知り合いから、選挙のときになるとタクシーが空くなんて噂を聞いたんですけど、本当ですか?」と尋ねてみた。すると運転手は「ああ、先輩たちからよく聞きますよ」と答えてくれた。

◆テレビのキー局の人たちが地方に

 どうやら噂は本当のようだ。さらに理由を突っ込んだところ「議員や秘書の方々が地元へ帰ってしまうし、テレビのキー局の人たちがそれに連れて地方へと飛んでいってしまうので利用客が減るようですね」ということらしい。さらに、運転手は詳細を教えてくれた。

「先輩たちからの話だと、官公庁の集まる千代田区や中央区、それからマスコミが多い港区でもタクシーが空くようですね。官公庁だとそれこそ、帰宅時間に併せて呼ばれることも多いんですが『ふだん呼ばれる時間帯に呼ばれない』という意見も聞きます。あとは、通常のタクシーと比べて装備が充実している、黒塗りのタクシーも出なくなるそうです」

 ほかにも客待ちの列がふだんより伸びている印象があるほか、もっとも分かりやすいのは、領収書の宛名がマスコミの名前ではなくなるといったことが実際に起きるという。

 空いているときは「ふだん行かないエリアへ足を運んでみたりしています」と運転手は苦労を明かしてくれたが、赤坂辺りにふだんの活気が戻るのはもう少し先になりそうだ。

<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>