犬の拡張型心筋症の特徴

心筋症にはいくつかタイプがありますが、犬の場合は、ほとんどが拡張型心筋症です。心室の内側の壁が広がってしまうために心臓が肥大する病気で、原因は今のところよくわかっていません。病気の進行も早いため、少しでも長く一緒にいるためには、可能な限り早く見つけてあげることが大切です。

オスの大型犬に多く、ふつうは成犬(3〜7歳)に発症し、遺伝するといわれています。大型犬の飼い主さんは、愛犬が成犬になったら、少なくとも年に一回は心臓の健診を受けるようにしましょう。

拡張型心筋症の特徴

原因不明の遺伝病(病気が見つかったら繁殖は避ける)予後は悪く(重症の場合、半年〜2年で命を落とすことも)、完治することはない主に大型犬で発症するかかりやすい犬種:ボクサー、ドーベルマン、グレートデン、 セントバーナード、オールドイングリッシュシープドッグ、ニューファンドランド、アイリッシユウオルファンドなど。例外的に中型犬のコッカースパニエルメスよりもオスに発症しやすいよほど重症でなければ、成犬になってから発症する

犬の拡張型心筋症の症状

心室の壁が薄く広がって心臓が肥大するためにうまく収縮できなくなり、血液が全身に十分いきわたらなくなってしまいます。そのことでさまざまな症状がおこりますが、初期には、失神したり、食欲・元気がなくなって、走ったり遊ぶことに興味を示さなくなります。失神以外の症状はほかの病気でもおこるためわかりにくく、見落とされがちです。もし愛犬が前述した犬種で、走ったり遊ぶことを嫌がるようになったらまずこの病気を疑い、病院で検査を行ってください。

進行すると、咳をするようになったり、呼吸困難がおきます。また、血液の循環が悪くなって胸水や腹水がたまります。犬種によって症状が異なり、ドーベルマンやボクサーは失神の症状が多く、グレートデンでは腹水が多いといわれています。不整脈がおきると、最悪突然死することもあります。

犬の拡張型心筋症の治療

心筋症を疑ったら、可能ならば心臓疾患に詳しい専門医がいて、心臓の超音波検査が行える病院で診てもらうことが望ましいでしょう。
診断がついたら、血管拡張剤、利尿剤、強心剤などを症状に合わせて投与する、いわゆる内科的治療を行います。しかしこれらはあくまでも対処療法。病気の進行をゆるめるだけで、根本的な治療法は確立されていません。できるだけ症状の軽いうちから投薬によってコントロールし続けることが大事です。

愛犬が拡張型心筋症にかかったら…飼い主さんにできること

予後が悪い病気ではありますが、進行を食い止めるために飼い主さんにもできることがあります。

体重を頻繁に測定する

心筋症が進行すると体重がどんどん減っていきます。進行度を推測するために、週に1度、体重を測って記録しましょう。

獣医さんから処方された薬、療法食は指示通りきっちり与える

薬はもちろん、食事も獣医さんの指示に従い、おやつなども獣医師に相談してから与えましょう。

心拍数を測れるようにする

心拍数の測り方を獣医師に教わって、飼い主さんが自ら測れるようにすれば愛犬の変化にいち早く気づくことができます。

過度に興奮させたり、運動はさせない

心臓に負担がかかるようなことはできるだけ避けるようにしましょう。

まとめ

拡張型心筋症は残念ながら完全に予防することはできません。ただ、日ごろから塩分を与え過ぎない、肥満にさせないなど気をつければ、少しでも心臓の負担を軽減し、発症のリスクを減らすことができます。特に該当する大型犬の飼い主さんは定期検診を心がけ、また愛犬の様子をよく観察し、いつもと違う様子が見られたら早めに病院を受診するようにしましょう。


(博物館アドバイザー(元自然史博物館学芸員)提供:碇 京子)