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●国連が取り組む世界的な課題

「ジェンダー平等」という言葉がよく聞かれるようになった。“ジェンダー”とは、男女の社会的性差のこと。性差による格差をなくすというのがジェンダー平等の考え方だ。現在、世界的な課題として国や企業、アカデミアが取り組んでいる。

もともとジェンダー平等の取り組みは、“女性のために、女性が活動する”というイメージが強かった。だが現在は、男性の活動も目立つようになり、世界的なうねりになりつつある。

○学生たちが主役のシンポジウム

このジェンダー平等の象徴的なキャンペーンが「HeForShe」(ヒー・フォー・シー)。このキャンペーンは、国連機関であるUN Womenにより立ち上げられた。2014年9月に当時の国連事務総長とエマ・ワトソンUN Women親善大使により発表されて以来、賛同者が増え、2017年2月現在で世界120万人の署名を集めている。

そのキャンペーンのシンポジウムが、国連大学内の「ウ・タント国際会議場」で行われた。「〜Generation Z〜からの提言」と銘打たれたこのイベントの主役は学生たち。ジェンダー平等について、自分たちのアイデアや提案をプレゼンテーションするのが、このシンポジウムの内容だ。

とにかく参加校が多かった。群馬県立中央中等教育学校、中央大学、名古屋大学、お茶の水女子大学、郁文館夢学園グローバル高等学校、名古屋大学教育学部附属中・高等学校、愛知県立旭丘高等学校、立教女学院中学校・高等学校の8校が国連大学に集まった。

正式なアナウンスはなかったが、プレゼンの見学者は約300人ほどいただろう。男性の姿も多く、ジェンダー平等への関心の深さが伝わってくる。ジェンダー平等という考え方を広く伝えるというこのシンポジウムの目的は、果たされたといえるだろう。

●企業が提供する学生の学びの場

そのほかにも意義があったのではないかと思える。

まず、多くの学生がジェンダー平等について真剣に考えたこと。

参加校をみると、大学生はもちろん中学生、高校生の参加もある。特に中学生はジェンダー平等という考え方にあまり馴染みがないはずだ。世界的な課題について、中学生の段階で触れることができたのは大きな意味があったのではないか。

また、国連大学でのプレゼンに参加した学生だけでなく、多くの学生がジェンダー平等について考えたのが容易に想像できる。

というのも、国連大学の舞台に立つことができるのは、各校の予選を勝ち抜いてきたチームだ。つまり、惜しくも予選敗退してしまった学生たちもジェンダー平等について真剣に考えたことになる。夏前だったが、立教女学院の予選を見学させていただいたことがある。数チームが参加していたことを考えると、多くの学生にジェンダー平等について考える機会を与えたにちがいない。

○プレゼン能力を磨く絶好の機会

そしてもう一点、学生たちがチームを組み、議論の場を設けたことに注目したい。ディスカッションして異なる考え方をひとつにまとめあげ、そしてプレゼンに持っていく。これは、アクティブ・ラーニングの基本ともいえることだ。現在、多くの学校でこうした取り組みが行われている。

しかし、見知った顔ばかりの学内でのプレゼンではない。大勢の一般客に向けてプレゼンする機会は、学生たちにはそうそうないだろう。こうした経験は、社会に出た際に、必ず役立つのではないかと思う。

シンポジウム終了後に、プレゼンを行った学生の話を少しうかがえたが、約2カ月かけて準備してきたそうだ。大切な夏休みを消化してしまったかも知れないことを考えると、義務的に準備した生徒もいるのかなと思ったが、学生たちの口から出てきた言葉は「楽しかった!」というものだった。全員に意見を聞けなかったが、目を輝かせている様子をみると、すべての学生がプレゼンを楽しんだにちがいない。

なお、今回のシンポジウムの主催はUN Women 日本事務所と資生堂、後援はお茶の水女子大学、中央大学、名古屋大学、BuzzFeed Japanだ。3月にもHeForSheに関わる取り組みがあったそうだが、その時はPwC Japanグループ、文京区、ユニリーバ・ジャパン、UN Women日本事務所が協力したそうだ。これからも多くの企業がこうした取り組みに関わるだろう。