専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第126回

 先日、友人が池の縁(ふち)のボールを打とうとして、靴と靴下を脱いで、水の中からのショットを試みたのですが、意外な展開となりました――。

 このようにラウンド中に起こるアクシデントやトラブルを”あるある”風に紹介していきたいと思います。

(1)ウォーターショット、または足を水の中に入れてのショット
 冒頭の友人の話の続きです。その友人は、池の縁に止まったボールを打つ際、スタンスが取れないため、裸足になって池の中に片足をそろりと入れました。すると、ヌルッと滑って、危うく転びそうになったのです。

 実は、池の底は緩やかな傾斜になっている場合が結構あります。しかも、非常に滑りやすいのです。

 何年か前に、池の中で転んだプレーヤーが、そこから這い上がろうとしたけど、池の傾斜がツルツルと滑って、もがいているうちに亡くなる、という痛ましい事件が起きています。

 そういうことを思い出して、転びそうになった友人に「危険だからやめよう」と促しました。それには、本人も素直に同意。水中ショットを諦めて、1打罰にして打ち直しました。

 いや、ホント、たった1打で大惨事になる可能性がありますからね。水回りでのショットはマジで注意が必要ですよ。

 だいたい、水中にあるボールを打つウォーターショットは、アマチュアにとってはかなり難しいです。ボールが完全に水没している場合は、クラブフェイスが水圧に負けて、ボールにかすりもしないと思います。我々が打てるのは、ボールが半分ほど水に浸かっているぐらいが精一杯でしょう。

 具体的にはビーチバンカー、要するに砂浜になっているところの、水際なら打てます。そういう場所があるのは、私が知っているところでは、鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)の東の4番ショートや、沖縄県のカヌチャリゾートのゴルフコースの、13番ショートとかでしょうか。どうしてもウォーターショットを打ちたい方は、そういうところで打つのがよろしいかと。

 もし機会があったら、裸足になり、スマホで動画撮影してもらいながら、思う存分チャレンジしてください。水しぶきが上がって、いい記念になりますよ。

(2)二度打ち
 今はほとんどありませんが、かつてゴルフを覚えたての頃は、二度打ちをたまにやりました。深いラフやバンカーなどで、アイアンヘッドがつっかかって、それを振り上げようとしたときに起きるようです。

 1回打ったボールを、また目の前で打ってしまうのですから、多くはアプローチのときに起こります。

 二度打ちによる一番の問題は何か? というと、ビギナーは自分が二度打ちしたことに気づかないことが多い、ということです。なので、遊びのラウンドの際などに、「今のは二度打ちだよ。本当は1打加えるけど、今日は練習ラウンドだからいいや。でも、シビアなコンペのときなどには、自分で申告してください」と説明してあげるのがいいでしょう。

 また、二度打ちは「忘れた頃に二度打つ」と言われるように、昔バリバリラウンドしていた人が、久しぶりにゴルフをすると発生することがよくあります。そういうときは、本人も二度打ちと認識していますが、コンマ5秒くらい「誰も気がつかないでぇ〜」という表情をします。


「二度打ち」は周囲にバレていないようで、結構バレているんですよね......

 その悪びれない雰囲気が、ほんと苦手です。ベテランがトボけてもねぇ。さっさと「二度打ちした」と白状してください。ほんと、お願いしますよ。

(3)OBの処置
 ゴルフ本来のルールで言えば、ティーショットを打ってOBゾーンに飛んでいった。あるいはOBかも、というときは「暫定球」を宣言して、ボールの番号やブランド名を言って打ち直します。以前、競技に出ていたときにはそうでした。

 たまらないのは、キャディーさんが「大丈夫みたい」と言って、暫定球を打たずにセカンド地点に行くや、実はOBだったという場合です。ガーン……。そういうときは、ひとりでティーグラウンドに戻って打ち直しをしなければなりません。

 これが、実にしんどい。200ヤードくらいを小走りして移動しますから、夏なんか汗だくで、ぜいぜい言ってしまいます。しかも後ろの組がティーグラウンドに到達しており、「お疲れさまぁ、大変ですねぇ〜」なんて言われると、余計恥ずかしくなって、ますます焦ります。

 結果、打ち直しでは大したショットが打てません。そういうつらく、恥ずかしい経験を2回くらいしましたか……。

 それに懲(こ)りて、キャディーさんが「おそらくセーフ」と言っても、最近は自分で不安を感じる場合は、暫定球を必ず打っておく作戦に切り替えました。あと、現在では「OBの場合、前進4打で前方の黄色ティーから打つ」といった表記が増えて、すごく楽になりました。

 でも、気を抜いていると、ごくたまに昔ながらのOBがあることも。だから、ティーショットを打つときは、必ず「前進4打」表示があるか、確認してから打つことにしています。これが、あるとないとでは、精神的にぜんぜん違ってきます。

(4)空振り
 空振りは、不思議と誰か見ているものです。

 空振りした人は、その瞬間、必ず360度周りを見渡します。それは、この恥ずかしい場面を誰か見ていないか、気になってしょうがないんですね。そして、なかには「よし、誰も見ていないぞ、なかったことにしよう」なんて、姑息(こそく)なことを考える場合があります。

 でも、冷静に考えてみてください。誰も見ていないかもしれない状況で空振りするのって、木の裏側や林の奥、あるいは崖の下などですよね。つまり、トラブルを起こした人が焦って空振りするケースです。

 まあ、おおよそ他の人はその姿を遠くから見ているのですが、空振りなのか、素振りなのか、その判別が難しいです。そういう場合は、「トラブル、ご苦労さん。で、スコアはいくつ?」と聞いて、「8」とか「9」とか言ってきた場合は、言われるままのスコアを書きます。

 そんだけ叩けば十分です。”武士の情け”で、空振りの件は不問にするのが人情かと。

(5)想定外のアクロバットショット
 過去に自分の打ったドライバーショットが、マイナス50ヤードになる珍体験を2度も経験したことがあります。

 1度目は、ホームコースだった南総カントリークラブ(千葉県)でのことです。ブルーティーからドライバーで打ったボールは、ことのほか低く出て、地を這うような弾道となりました。そのまま地面すれすれで飛んでいき、白のレギュラーティーに当たって、その直後、ボールは綺麗なアーチを描いて後方50ヤードまで戻されていきました。

 そのときは、OBじゃなかったので、マイナス50ヤードから第2打を打ちました……って、なんだんねん。

 それにしても、なんでボールが跳ね返ったのか。2打目を打ったあと、当たった現場に行って見てみると、当時のティーマークはかまぼこみたいに半円形の筒状になっていて、ボールが当たった後方の平らな面を見るや、くっきりとボールの跡が残っていました。トホホ……。

 こんな体験、「何万分の1の確率だから、一生に一度のことだね」と思っていたら、なんとそれから何年か経って、今度は宮崎県のゴルフ場で同じようなショットをして、またマイナス50ヤードに……。ああ、それをスマホで撮っていたら、動画にアップして何百万回も再生されて、巨万の富を得たのに……って、悔しがるのはそこですか。

 そんなわけで、ゴルフはバーディーの思い出よりも、へんてこなミスのほうが印象深いですから、記憶にも残っていてずっと笑えます。ミスは人生を豊かにしますよぉ〜、って、ほんまかいな。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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