詩集「生きてやろうじゃないの!」の著者・武澤順子さん/撮影=小山人志

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東日本大震災から6年半がたった現在、復興が進む中、いまだに変わらない現実もある。そんな中でも被災者自身が変わらなければと、前を向いて歩いている福島県在住の女性、武澤順子さん。

【写真を見る】日本テレビの情報番組「スッキリ」で放送され、話題となった言葉を集めた詩集/(C)青志社

「ザ!世界仰天ニュース」(毎週火曜夜9.00-9.54、日本テレビ系)のチーフディレクターを務め、ドキュメンタリー番組など、数多くの番組を手掛けている日本テレビの武澤忠ディレクターは、震災直後から被災した母・順子さんの姿を自らカメラを回し、撮り続けてきた。

“記録として”撮っていた映像だったが、いつしか母の本音、被災者の本音が詰まったものとなり、これまでにシリーズとして7回にわたって放送された。

中でも順子さんが震災後から、心情を吐き出すようにつづった日記の一部を紹介したところ、多くの視聴者から「励まされた」という声が届いたそう。また、震災から1年後に放送された番組の最後に順子さんが放った「生きてやろうじゃないの!!」という言葉に、出版社から「書籍化したい」とのオファーがあり、順子さんが書いた膨大な日記の中からピックアップし、2012年7月に「生きてやろうじゃないの!母と息子の震災日記」(青志社)が書籍化された。

2012年9月に情報番組「スッキリ」(毎週月〜金曜朝8.00-10.25、日本テレビ系)で紹介されたことで、さらなる視聴者からの反響も集まり、現在2万部以上発刊されているという。

また、その後もSNS上などで多くの声が集まったことから、2017年9月には詩集「生きてやろうじゃないの!」(青志社)も発売された。

そんな全てのきっかけを作り、震災について、被災地について、被災者の心情を伝え続けてきた武澤氏は、今回の詩集「生きてやろうじゃないの!」では、編集作業にまで携わったという。そんな武澤氏に出版に当たっての思いを聞いた。

――初めて母・順子さんの日記を読んだとき、どんなふうに思われましたか?

日々感じたことや、その日の出来事を誰に読ませるためでもなくチラシの裏に書いていたものだったのですが、初めて見たときはショックでしたね。これが偽らざる本音だったんだなと思いました。皆さんがおっしゃるような“詩人だな”というより、素直に自分の気持ちを書いているんだなと思いました。

――この詩集を通して伝えたいことをお聞かせください。

震災後、生きる気力を失い「生きてたってしょうがない」と言っていた母が「自分の力で歩いていかなきゃ」「被災者としての誇りだ」と覚悟を決めました。そんな母の姿を通して、読んだ方が一歩でも前へ進むきっかけになってくれればと願っています。

84歳になる母が震災を乗り越え、前を向いて歩いている、それと同時に年老いて体が衰えていくという現実も伝えたいと思いました。ただ、日常の中のクスっと笑える一節や母の希望で飼い猫ブログ「おいらの独り言」も載せているので、その辺りも楽しんでいただけたらと思います。

――どんな方に読んでほしいですか?

未来のママさんたちに読んでもらいたいですね。そして母と同世代の方々には共感を持って読んでいただけると思うので、そこから元気になってもらえたらと思います。どの世代にも語り継いで、読んでいただきたい言葉を集めました。

――シリーズとして放送されてきた番組、そしてそこから書籍化されたことでご自身にはどのような影響がありましたか?

これほど親子の関係を意識したことはなかったし、人間ってたくましいなと思いました。母の生きざまを通して、命の尊さを伝え続けたいと思っています。

僕自身もたくましくなったし、どんなに大変なことがあっても次につながる何かだと思えるようになりました。家族との関わりが、ある意味僕の天命だったのかなって思っています。

武澤氏のコメントにもあったように、順子さんと愛猫・おいらとのエピソードもあり、思わず笑顔になれる詩集で幅広い年齢の人の心に響きそうだ。