潮の匂い、排ガス臭さ。栗の花の困惑…。千葉港の躍動を風で感じ、陸サーファー気分でブッ走る。
 チーバくんでいうと、ノドの部分。京葉線千葉みなと駅から、千葉港のまわりにびっしりと構える工業地帯のなかをチャリ(BMX)でランといく。
 京葉線の赤い電車からBMXを降ろし、ダラリとひとりスタートさせる。
 走り始めてスグ、頭上に迫るものを感じて見上げると、見事なモノレールの軌道桁。銀色の1000形が中年ラン鉄を追い越す。ハゲ頭、丸見え。
 ラン鉄、走り始めが肝心ってことで、まずは千葉市役所で、メシ。
 市職員に混じり、怪しいラン鉄、「地下食堂営業中」と書かれたメニュー表をジーッ、決めた。和風ハンバーグ定食(480円)、いただきます。
 公立の小中高大とかろうじて経てきた中年ラン鉄にとっては、どこか懐かしい雰囲気。テーブルにシレッと置かれた塩分表などに目をやりながら、ひとり、黙々とお役所メシの時間。
 千葉ポートタワーから、東京湾を360度ぐるっと見渡すのもいいな、と思いながらもペダルを踏む。
 道の南側から、京葉線の足音と潮風。JFE東日本製鉄所のクールな煙突や、ジェフユナイテッド市原・千葉のホーム、フクダ電子アリーナが見える。
 北側、高層ビルのスキマからは、亥鼻城(千葉城)の姿がチラリ。
 蘇我を過ぎたあたりで、中年ラン鉄のテンションが上がってくる。
 京・葉・臨・海・鉄・道。

 スマホをサラサラっと見ると、なんとこの「りんてつ」、1962(昭和37)年に設立された、日本初の国鉄・沿線自治体・沿線進出企業などの出資による鉄道らしい。
 内房線の西側を、海岸線に沿うように線路が敷かれている。
 浜五井駅、玉前駅、前川駅と、客扱いはないけど、立派な駅や信号場がある。うれしいことに、浜五井と京葉久保田の間、約15kmの線路が、国道16号とほぼ並行している。
 中年ラン鉄、自分の行く手に立つ信号に注視しつつ、小さな鉄道信号にもチラチラと気を向ける。
 ダイヤなんて事前に調べない。たまたま見つけた青信号に、「来るじゃん!」と興奮し、貨物列車を待つ。と、キターーー!青いディーゼル機関車が牽く、タンク車の列。くううう!
 前方を見つめる機関士、連なるタンク車…。線路脇の道、チャリを走らせながら見るりんてつにシビレた。
 玉野駅で、頑固そうな男の声が聞こえてきた。無線を片手に「10メートル!5メートル!」と。

 貨車の端に立ち、推進でプッシュするディーゼル機関車の機関士に、連結までの距離を伝えている。
 震災で一時は営業が止まったこのりんてつ。被害が大きかった仙台臨海鉄道にディーゼル機関車1両を譲渡し、臨鉄どうしで助け合いながら、復活。
 働く男たちの姿を見ていたら、腹が減ってきて、スマホの地図を出す。
 コスモ石油製油所の一角に、小さな公園を発見。「新鮮市場マルエイ海釣り公園」とある。はい、ペダル!
 残念。館内レストラン、「本日終了」。
 突堤には大勢の釣り客の姿。バケツの中はカタクチイワシがいっぱい。
「サビキでさ、群れが来ると誰でも釣れるよ」と公園の人が教えてくれた。
 次はバケツと竿を持って千葉チャリランだ!「鉄より団子」ってワケで、次の日、釣ったぜ、獲ったぜ!

この連載は、社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会発行の月刊誌「リハビリテーション」に年10回連載されている「ラン鉄★ガジンのチカラ旅」からの転載です。今回のコラムは、同誌に2014年7月号に掲載された第24回の内容です。

鉄道チャンネルニュースでは【ラン鉄】と題し、毎週 月曜日と木曜日の朝に連載します。

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