米グーグルの持株会社、アルファベットにはその傘下に、主力グーグル事業以外のさまざまな事業がある。そのうちの1つに、スマートシティなどの都市開発について研究する「サイドウォーク・ラブズ」があるが、この事業がこのほど、カナダの最大都市トロントと提携した。

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カナダの大規模再開発プロジェクト

 これにより、トロント市ダウンタウン地区の南東にある、オンタリオ湖に臨む地域に、ITなどの最先端技術を活用した街をつくる。

 トロント市が開発を計画しているのは、ポートランズと呼ばれる地区で、その敷地面積は800エーカー(約3.2平方キロメートル)。まず、その一部であるキーサイドと呼ばれる12エーカー(4万9000平方メートル、東京ドーム1個分)の地区から開発を始める(サイドウォークトロントのウェブサイト)。

 アルファベットの子会社であるサイドウォーク・ラブズは、初期段階の計画や実験プロジェクトの費用として、5000万ドル(約56億円)を拠出する計画だ(PDF資料)。

 このプロジェクトは相当大掛かりなもののようで、計画の発表イベント会場には、カナダのジャスティン・トルドー首相、アルファベットのエリック・シュミット会長をはじめ、オンタリオ州首相、トロント市長、サイドウォーク・ラブズの最高経営責任者(CEO)なども出席した。

サイドウォーク・ラブズとは

 グーグルは、2015年10月に、アルファベットを親会社とする組織再編を行ったが、サイドウォーク・ラブズはその5カ月前に発足した事業だ。

 事業の目的は、都市生活の質を向上させること。都市が抱えるさまざまな問題を最先端技術をもって解決することをその使命に掲げている。

 例えば、手頃な価格の住宅を用意し、生活費を削減したり、都市交通の効率化、都市の省エネルギー化や持続可能性に取り組んだりすることを目的としている。

 その一環として、同社はこれまで、子会社の米インターセクションと共同で、米ニューヨークや英ロンドンの公衆Wi-Fiサービスを手がけたりした。

将来は自動運転技術も導入

 だが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、この事業が本格的な大規模都市開発計画に参画するのは初めて。

 サイドウォーク・ラブズによると、カナダ政府、オンタリオ州、トロント市による、同市のウオーターフロント再開発計画事業「ウオーターフロント・トロント」が発足したのは2001年。そして、今年3月、この事業体が企業などに事業計画案を募った。これに数社の企業が応募し、最終的にサイドウォーク・ラブズが選ばれた。

 英ロイター通信によると、サイドウォーク・ラブズが当初の計画の1つとして取り組むのは、センサーを用いた道路混雑の把握・管理システム。長期的には、プロジェクトに自動運転技術を導入することも目指しているという。

事業を他の都市にも拡大

 一方でサイドウォーク・ラブズは、この開発事業のモデルを、トロントの他の地域や、世界のさまざまな都市に応用したい考え。その目的は、事業を通して得た技術を他の都市にライセンス供与したり、販売したりすること。これについて、サイドウォーク・ラブズのCEOは、「当社はカナダの政府機関と知的財産の帰属範囲について協議する必要がある」と述べたと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

筆者:小久保 重信