調子の良さを窺わせたフッキ(10番)だったが、浦和DF陣は巧みにこのモンスターFWを封じ込めた。見事な完封劇だ。(C)SOCCER DIGEST

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[ACL準決勝 第2戦]浦和 1-0 上海上港/10月18日/埼玉

 埼玉スタジアムで雌雄を決した浦和レッズ上海上港の両雄。ホームの前者がラファエル・シルバのゴールで1-0の勝利を飾り、2戦合計2-1としてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝に駒を進めた。
 
 この結末を大々的に報じたのが、上海発の中国全国紙『新浪新聞』だ。ACLのノックアウトラウンドで中国スーパーリーグのクラブが日本勢に引導を渡されたのは、今回が初だった。その事実を「中国サッカー界にとって恥ずべき敗北。悔い改めなければならない」と断じたのである。
 
 論調は容赦なく、手厳しい。
 
「フッキ、オスカール、エウケソンはいつも通りに個の能力を見せつけ、チャンスも創出していたが、上港は1点も奪えずに敗れた。理由は簡単である。単純にチームとしてのクオリティーで浦和に劣っていたからだ。0-1は負け試合における最少スコアだろう。だがこれによって上港のアジア制覇の野望は絶たれ、中国サッカー界にとって恥ずべき記録が刻まれることになった。ACLのノックアウトラウンドで中国勢は初めて、日本勢の後塵を拝したのである」
 
 2013年と15年にACLを制覇した広州恒大を筆頭に、近年の中国スーパーリーグ勢の躍進は目覚ましい。だがその一方で、国内には徐々に外国籍選手への依存度の高さや、巨額の資金投下を懸念する声が高まっている。ロシア・ワールドカップ予選で中国代表が無残な敗北を喫したことで、「強力なのは外国籍選手だけ」「チームや自国選手のレベルがまるで上がっていない」といった懐疑的な意見が噴出しているのだ。
 
 ACLにおいてはさらにその依然傾向が強いと、同紙は指摘する。それゆえ、地に足をつけた強化を進め、組織力に磨きをかけているJリーグ勢や韓国・Kリーグ勢に太刀打ちできなくなってきているという。今回の浦和戦の敗戦を、ひとつの警鐘だと捉えている。
 
「近年のスーパーリーグのクラブは惜しみなく資金を注ぎ込み、世界のビッグネームを買いあさってきた。上港もそうだ。しかし、日本のメディアやファンたちはこんな風に我々を見ている。『外国籍の助っ人たちがいなければ敵じゃない』と。上港は意地を見せようと奮闘した。フッキ、オスカール、エウケソンを擁して“敵”となったが、それでも浦和には勝てなかった。チームとしての総合力に差があったと言わざるを得ないのだ。今季も大きな期待を集めたが、中国勢はACLで決勝にさえ辿り着けなかった。2年連続だ。この由々しき事態をどう捉えるべきか。しっかりと考えなければならない」
 
 世界経済を席巻してきたチャイナマネーに陰りが見え始めているように、爆買いによる強化の限界を露呈しつつある中国スーパーリーグ。今季の上海上港はACL、スーパーリーグ、国内カップを制する「初の3冠チーム」を目ざしていたが、その夢は呆気なく絶たれた。

【ACL 浦和1-0上海 PHOTO】R・シルバの決勝ヘッドで浦和が10年ぶりのACL決勝進出