炎上した水道橋博士のツイッター

写真拡大

「無神経、馬鹿じゃないと総理大臣ってできないと思うのよ。安倍ちゃんなんて馬鹿の象徴じゃない?」と10月2日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)で語ったマツコ・デラックスや、「まんがで読む人物伝 安倍晋三」という風刺漫画を掲載した児童向け雑誌「小学8年生」11月号(小学館)に対し、相次いでネトウヨから「誹謗中傷だ!」と炎上を焚き付けられている。これらは大きく報じられ、その都度本サイトでも記事にしているが、マツコ・デラックスにしろ「小学8年生」にしろ、どちらも事実を論評したものであり、ましてや、その対象が時の首相である以上、馬鹿の一つ覚えのように「誹謗中傷」と攻撃するのはまったくの的外れであると言わざるを得ない。

 そんななか、またもやこの国の知的レベルを案じずにはいられない事態が発生した。

 自らの冠番組にゲスト出演した安倍首相に対し、醜くおべっかを使いまくる幻冬舎代表取締役社長・見城徹氏をあげて、〈是非、若者に見て欲しい。これが将来勝ち組になるオトナの会話だ。これくらい「飲み屋でやれ!」と思う映像も珍しい。〉と揶揄のツイートをした水道橋博士がネトウヨから総攻撃を受けたのだ。

 博士が〈これくらい「飲み屋でやれ!」と思う映像も珍しい〉と皮肉った番組は、10月8日放送「徹の部屋」(AbemaTV)のこと。この番組で見城氏が繰り広げたあまりにも露骨なヨイショ芸の数々については本サイトでも取り上げている。 [http://lite-ra.com/2017/10/post-3500.html ]

 見城氏は冒頭から「ずーっと安倍さんのファン」「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」と連呼。このオープニングトークだけで十分予想できる通り、それから視聴者は延々と見城氏による安倍首相の公開接待を見せられることになったのだ。

「誰がどう見ても森友・加計隠しのためとしか思えない今回の解散の大義とは?」、「教育問題やら北朝鮮問題やら消費税の使い道やらと、なぜ解散の理由が二転三転するのか?」など、このタイミングで一緒に番組をやる以上、マスメディアに関わる人間として安倍首相にぶつけるべき質問は山ほどあるはずだが、そこで見城氏から飛び出したのはこんなヨイショの数々だった。

「ほんとうにね、安倍さんにがんばっていただかないと、日本は経済も立ち行かなくなるし、北朝鮮からも守れないし、外交も歴代の総理大臣でこれだけのことをやった方はいないですよ」
「世界が外交においても認めている総理大臣は誰もいない」
「ほんとにメディアは報道すべきことを報道しない」
「着々と、いろんなことをやっているんですよ。それをね、ちゃんと報道しないっていうのもおかしなことなんだけども」

●水道橋博士を叩くネトウヨの言動に町山智浩も「本当にひどすぎる」と憤り

 選挙を前にして国民が知りたいと思う情報など皆無。どころか、マスコミは安倍総理の功績を報じずに批判ばかりしているとかばう始末。頼みの綱のアベノミクスも大失敗に終わってまともな功績など存在しないうえ、強権的な姿勢でほぼ独裁のような政治を進めているから批判されているのに関わらず、「安倍さんはいじめられてかわいそう」とでも言わんばかりの見城氏の態度は、メディアの姿勢としてあまりにも疑問符がつくものだ。水道橋博士が言う「飲み屋でやれ!」はまさに正鵠を射る言葉であったといえよう。

 しかし、そんな博士に対し、例のごとくネトウヨからこんなリプライが殺到した。

〈クソつまらない芸人くずれのくせに、メディアで左翼発言してれば、金と仕事がもらえる。
 別にいいけど、覚醒した日本人が増えていく中で、このまま居場所があると思うなよ。
 どーせ日本人じゃないんだろ?〉
〈日本の三流芸人の成れの果て!
 今のメディアでは、パヨクしか生きていけず、芸人としても三流だから、エセ知識人として使ってもらいたいんじゃない?〉

 パヨクが云々、日本人じゃない云々と、この人たちの悪口のボキャブラリーはどれだけ少ないんだといつもながらに思ってしまうが、そんな炎上に対し、博士は「メディアとしてあるべき姿」を毅然と主張した。博士はツイッターでこのように書いている。

〈日本の支配層である政権政党のなかの一強で長期政権を築く最高権力者に、マスコミの報道が重箱の隅をつつくことはまっとうではないか?むしろ、それが「かわいそうだ」「不当」と言い出す出版人はもはや気が狂っているとしか思えないのだが。俺がオカシイのだろうか?〉
〈マスコミが偏向していてマスゴミだと思っているひと。「これが本来あるべきマスコミの理想像?」むしろ「なんでこれに付き合わされているの?」じゃない?これを一度見てから感想を語りましょうよ。安倍総理出演番組。〉

 こういった一連の流れに対し、映画評論家の町山智浩氏も博士の主張に賛同。このような文章をツイートした。

〈AbemaTVで安倍総理をヨイショしまくった幻冬舎の見城社長を「出版人としてどうなのか?」と批判した水道橋博士に群がって攻撃している人々が本当にひどすぎる。〉
〈幻冬舎の見城社長が自分の番組に安倍首相を呼んで「マスコミの政権批判は不当ですよねー」ともみ手で幇間したことを博士は「出版人としておかしいだろ」と批判したのだが、マスコミと権力の癒着を批判することのどこがいったい馬鹿だというのか?〉

● 小林よしのりも「見城の安倍信仰は常軌を逸している」

 そのような動きに出たのは町山氏だけではない。ラサール石井氏もこのようにツイートしている。

〈言っとくけど左翼発言〔自分でそう思ってないけど。ただまっとうな事を言ってるだけ〕すると仕事は減るんだよ。まあこう言うと「お前は面白くないから仕事減ったんだよ」とか言うんだよね。小学生でも言える悪口しか言わないもんね君たちは。それで若者かと思ったら50代60代だったりするんだよね。〉

 水道橋博士、町山智浩氏、ラサール石井氏らが主張している通り、メディアの人間が権力と癒着し一体化することは、言論や情報の統制につながり、そしてその道は、確実にファシズムへとつながっている。

 出版社のトップが権力者に対し露骨に擦り寄ることは、確実に健全な言論状況を破壊する。事実、幻冬舎はもうすでに健全な言論状況を破壊しつつある。

 幻冬舎から数多くの著作を出版してきたマンガ家の小林よしのり氏も公式ブログで、見城氏の"安倍信仰"を強く批判。さらに、見城氏の安倍信仰が幻冬舎の出版物に及ぼす影響、たとえば現在執筆中で幻冬舎から出版予定の自身の新作に安倍首相の意に反する内容が含まれている場合、幻冬舎はまともに扱うのか、と以下のように危惧を綴っている。

〈気になるのは、幻冬舎の見城徹社長がアベマTVでものすごい安倍晋三のヨイショをしていることだ。
 この人の安倍信仰は、色んな作家を抱えている出版社の社長としては、もはや常軌を逸している。
(中略)
 直接的な安倍批判は描いてないが、思想的な真実を描けば、安倍晋三には不利になる内容も当然ある。
 そもそもわしが安倍政権を評価していないことは見城氏も知っているだろう。
 幻冬舎でこの本を出しても、ちゃんと売ってくれるのだろうか?
(中略)
 担当・志儀氏との信頼関係で、全力を尽くして描いているのだが、社長の権力への共謀ぶりは、まったく不安になる。〉

 マスコミが権力と癒着するということは、日本史の授業で太平洋戦争の時期に起きたことを学んだことのある人なら全員が「危険」と学んでいるはずなのだが、義務教育を修了しているはずなのにそのことを理解できていない人がこの国には一定数おり、挙げ句の果てには、そんな当たり前のことを指摘した著名人をいっせいに袋叩きにするような文化すら横行している。まさしく悲嘆するしかない状況だが、博士らがそうしたように、しつこくそのことを指摘し続けるほかないのだろう。
(編集部)