80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第14回は「世界でいちばん小さなセダン」を目指した、ハイセンスなコンパクトに太鼓判です。

バブル期、マツダが展開する5チャンネル体制の中、オートザムは軽のキャロルに続くコンパクトカーを企画。1990年、「ハイコンパクト2.5BOX」を掲げ、小泉今日子のディザーキャンペーンとともに登場したのが、レビューです。

オートザムブランドとして、全体にハッピースマイルな印象でありながら前後ブリスターが溶け込み、明快な軸の通ったボディによって、必要以上にファニーな表現になっていません。

全高1470ミリの高く大きなキャビンは、強く内側に湾曲したリアピラーが緊張感を作り出すことで鈍重さを解消。もちろん、キャンバストップではさらに軽快さをも表現します。

0.5BOX分のリアノッチは、グッと持ち上げることでボディにリズム感を生み、凹面のリアパネルがその勢いをしっかりと受け止めます。トランクは、合理的なヒンジタイプで実用性をアップ。

インテリアは大人の定番をコンセプトに、必要なものだけをシンプルに集約。ボディカラーも定番として青と赤をメインとし、安易な可愛さを狙うことはしませんでした。

当時若手のプランナーは、開発に当たっていすゞの2代目FFジェミニ・セダンをイメージしたといいます。同じ機能なら小さい方が賢い。そして明るく、カジュアルに自分のセンスを示し得るクルマ。

若い女性だけがターゲットと思わせつつ基本を押さえた実用性は、一部の男性や年配層にまで浸透。さらに、目の肥えた欧州市場で高く評価されたのは、決して偶然ではなかったのです。

●主要諸元 オートザム レビュー K1(5MT)
型式 E-DB5PA
全長3800mm×全幅1655mm×全高1470mm
車両重量 850kg
ホイールベース 2390mm
エンジン 1498cc 4気筒OHC
出力 88ps/6500rpm 12.0kg-m/4000rpm

(すぎもと たかよし)

【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】

第13回・早すぎた先進のFFグランツーリスモ。日産・オースターJX
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第12回・特別を前面に出さなかった異才スポーツ。 トヨタ・MR2(初代)
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第11回・前向きな割り切りが生んだ斬新ミニ。ホンダ・トゥデイ(初代)
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第1回・マツダデザインの原点。マツダ・ユーノス500
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【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第14回・小さなボディに込められた大人の定番。オートザム・レビュー(http://clicccar.com/2017/10/18/521463/)