平仮名・片仮名は小学校入学までに書けないとダメ? 小学校では個人差にどう対応するの?

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 「来春子どもが小学生になるけれど、まだ文字が書けなくて心配」という方はいませんか? 入学までに平仮名や片仮名が書けるように、家で練習をさせたほうがよいのでしょうか? 小学校での文字の学習はどのように進んでいくのでしょうか? 小学校のお子さんを持つ保護者の方々や、小学校の先生にお話をうかがってみました。

■入学前に練習させた? ママたちの体験談

 仮名の読み書きの練習は、保育園では実施せず、(小学校と同じ文科省が管轄の)幼稚園なら実施するというわけではなく、園の方針などにもよるようです。平仮名・片仮名の読み書き習得について、小学生以上のお子さんがいるお母さんたちに聞いてみました。

【1年生に上がる前に書けるようになっていたケース】

Yさん(小2女子)
「保育園で平仮名表を写したのが書き始め。お手紙を書きたがったので平仮名表を前にしながら一緒に書いている中で文字への興味が高まったので、そのタイミングで幼児教育の教室に通わせ始めました」

Iさん(中2女子)
「幼稚園入園前くらいに文字にすごく興味を持ちだしたので、ボタンを押すと五十音の音声が出るおもちゃを買ってあげ、遊び感覚で自然に読み書きも覚えていったようです」

Sさん(小2女子)
「保育園の年長で習い、書けるようになりました。でも、入学前に変な癖がつくよりは、一年生のスタートから丁寧に習得したほうが良い、という話に納得した記憶があります」

【小学校に上がってからスタートのケース】

Tさん(中1男子、小5女子)
「長男は、平仮名は全部、片仮名は3分の2くらい自然に覚えて入学時点で書けていました。長女は入学時点では平仮名は自分の名前だけ書ける状態でした。長女は発達がゆっくりなこともあり、一筆書きで書ける簡単な平仮名からスタート。先生に、毎日一文字ずつ20回ずつくらい練習できるようなプリントを宿題に出してもらいました。2文字、3文字と少しずつ増やし、忘れかけたら、また反復で同じ字を出してもらう、という感じで、1学期終わる頃には平仮名、片仮名が全て書けるようになりました」

Hさん(中2男子、小4女子、小1女子)
「幼稚園で多少学習したものの、3人とも小学生になってからのスタート。毎日の宿題を楽しんでやっていたので、親もできるだけ宿題を一緒に楽しみ、読める、書ける楽しみを共有してきました。小学校に入るまでに文字が書けたほうがいいのかなと思っていましたが、焦らなくていいんだと実感しました。未就学児のころであっても入学してからでも、学びたい時を逃さないのが大切なのかもしれません」

Sさん(小1男子、平仮名は書けたが片仮名は小学校入学後)
「国立の付属小学校を受験したので通信教育などをやっており、平仮名は書けるようになっていましたが、片仮名はまだでした。入学後も、ちゃんと平仮名から教わるし、焦らなくても間に合うと感じました。それよりも、幼稚園時代にお友達からお手紙をもらってもお返事がうまく書けないのがもどかしい感じでした」

■小学校の先生に聞いてみると

 何人かのお母さんに話をうかがっただけでも、仮名の習得の時期には個人差も大きく、習得過程にもいろいろなパターンがあるようです。平仮名・片仮名の習得について、札幌市の小学校教諭・あーちゃん先生(小学校に7年勤務したのち、産休育休を取得、2人の息子を育てるお母さん。2018年4月復職予定)にお話をうかがいました。

 ―我が子たちの通う公立小学校では、1学期に平仮名、2学期に片仮名と1年生で習う漢字という形で習得していきました。小学校の授業で仮名を教える順序やペースには決まりがあるのですか?

 学習指導要領「国語」の「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」→「文字に関する事項」の中で「平仮名及び片仮名を読み,書くこと。また,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと。」と記載されています。札幌市でもおおよそ1学期に平仮名、2学期に片仮名・漢字です。平仮名は、ほぼ教科書順で教えているそうです。例えば、 私が1年生を担任していたときは、教科書の最初に“つくし”があったので「つ」「く」「し」から教えました。「『払い・止め・折れ』を教えられる」「どの子でも書けるから自信につながる」などのメリットがありますね。

―小学校入学までに仮名が書けるようになっていなくても大丈夫ですか?

 入学時に文字を書けない、まったく文字に興味をもっていないお子さんも、1年生終了時には、大体仮名は書けるようになります。ポイントは3つ。1つ目に、学校という場は、「黒板の文字を読む」「持ち物に名前を書く」「教科書を読む」「ノートに書く」「問題を読む、考えて書く」…など、読み書きの場面が非常に多い場です。家庭で覚えたことを学校で使ってみたり、反対に学校で覚えたことを家庭で使ってみたり、いろいろな場で試して反復練習し、吸収していきます。2つ目に、“集団の持つパワー”。お友達が書けるようになると、ぼくもわたしも書けるようになりたい、という気持ちが働くようです。3つ目に、“1年生パワー”というものがあって、ピカピカの1年生はとても意欲的でやる気に満ちあふれています。「自分はできる!」と思っているお子さんは習得が速い気がします。ご家庭での励ましもあるのでしょう。

―幼児期に早く習得することに対してはいかがですか?

 お子さんの興味が早くから育ったり、嫌いじゃなければ、早いに越したことはないと思います。ただ、早く教えようとして、ドリルを買ってきて、1人で練習させてしまうのはおすすめしません。書き順がバラバラで記号のように文字を覚えてしまうと、後で直すのが大変です。無理に練習となると…大人も子どもも同じですよね。嫌になってやりたくなくなると思います。

―小1の頃は特に、板書をノートに写すスピードにも個人差が大きいのでは。どんな配慮をしていますか?

 1年生の授業の基本は、話す・聞くがメインなので、ノートは無理なく少しずつ始めていきます。「遅い子」の負担を減らすためには、「定型文はマークを決めて省略する」「ワークシートに記入する方式にする」などのフォローをします。「早い子」には「待つ」「隣の子のフォロー」を体験してもらいます。遅くなってしまう子は、「板書されたものから必要な部分をキャッチして自分のノートに書く」ということが苦手なことが多いので、 早い子のノートを見せてあげる、読んであげる、線を引くときに 定規を準備して押さえてあげることなどをやってもらうのです。学校の授業は、みんなの力を合わせて分からないことを分かるようにする場だと私は考えていますので、このような意識付けは大事だと思っています。

―「幼児期から自然に文字への興味を持ってほしい」と願う保護者の方たちへのアドバイスはありますか?

 読みが苦手なら、とにかく文字にふれさせることです。絵本はもちろん、町中にある看板、スーパーの表示など、生活の中にはたくさんの文字があふれています。書くのが苦手なら、まずは描く場面を増やす。ミミズのような線でも、「なにをかいたの?ここが上手だね!」とたくさんほめてあげてください。

 我が家の4歳長男(年少)にも書くこと・描くことを好きになってほしいので、保育園から持ち帰ってくるお絵かきについて全部話を聞いて、本人がお気に入りのものを部屋に貼っています。「前よりも色塗りが濃くて上手だね!」「今日のブドウはおいしそうにかけたね〜」「濃くかけて見やすいね!」などとなるべく具体的にほめています。最近、薄くてひょろひょろしていた線が、濃くなり、はっきり書けるようになりました。「濃いね! いいね!」を連発した成果かもしれません(笑)。今は、丸・三角・四角を教えて、組み合わせると絵が上手にかけるんだよと教えたところ、魚(長丸と三角)、雪だるま(丸2つ)、木(丸や三角と四角)が描けるようになっていました。

 テレビ番組の戦隊ものやヒロインものが好きなお子さんには、キャラクターの名前を教えてあげるのもいいと思います。片仮名がびっくりするほど強くなりますよ。もともと片仮名は平仮名を平易にしたものなので、平仮名よりも覚えやすいかもしれません。

―やはり家庭内でのコミュニケーションが大切なのですね。

 「読む」「書く」「話す」「聞く」の習得には、やはり日々のコミュニケーションの中で覚えていくのが無理なく習得できる方法です。お子さんの「やりたい!」「できるようになりたい!」というタイミングを見つけて少しずつ文字に触れさせていってあげてください。

(終わりに)

 現在中2、中1、小4になる筆者の子どもたちも、平仮名が読めるようになったのは、小学生になる年の初めごろ。その時点では片仮名はまだ読めなかった子もいて、書き方は入学してからのスタートでした。親は特にフォローもしていなかったのですが、学校でその日に習った文字を宿題で復習することで、どんどん覚えていく様子を見て、習った直後の復習の習慣付けの大切さを感じたことを覚えています。中学生や小学校中学年になった今では、文字の読み書きが遅かったことなど、本人も親も忘れているような感じですよ!

(チバミナコ)