WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 タイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)が、およそ1カ月ぶりに自らのスイング動画を自身のSNSにアップした。

 以前は、グリーン周りでのチップショットだけだったが、今回は「スムース・アイアンショット」というコメント付きでフルスイングを披露。体の状態が順調に回復していることをアピールするものだった。

 このスイング動画がアップされると、すぐさまスイングコーチらがスイング分析をするなどして、一斉に米国ゴルフ界が反応。この反響の速さと大きさを見て、ウッズの人気が健在であることを改めて実感した。

 ウッズの動向は常々注目を集めているが、何より気になるのは、ウッズの腰の具合とゴルフの状態。そして、誰もが関心を抱き、疑問に思っていることは、これから先、ウッズは本当にツアー復帰を果たすことができるのだろうか? もし復帰したとして、以前のような強いウッズが帰ってくるのだろうか? ということだ。

 はたして今回の動画アップによって、そうした疑問や関心の核心を突く意見があらゆるメディアから出された。その内容はというと、残念ながら、復帰に向けて回復をアピールするウッズの思惑とは裏腹に、現状のスイングを見る限り、ツアーで戦える状態になるには「相当厳しい状況にあるだろう」という見方が大半を占めた。

 ここ最近のウッズの経過を振り返ってみると、昨年末、自身がホストを務めるヒーロー・ワールドチャレンジで実戦復帰。それからまもなくして、年明けの1月からはツアーにも復帰し、積極的に試合に出場することを表明した。だがその際、その過密スケジュールを不安視する声が周囲からは上がっていた。

 そして1月末、ジュニア時代から慣れ親しんだカリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズを舞台とするファーマーズ・インシュアランスオープンに出場。1年5カ月ぶりのツアー復帰を果たした。結果は予選落ちに終わったが、大会はウッズの参戦に大いに沸いた。

 その後、ウッズは欧州ツアーのドバイ・デザートクラシックに出場するため、すぐに旅立った。しかし、長旅の影響もあってか、同大会では第2ラウンド開始前に途中棄権。当初からの周囲の不安が的中し、以降、自身のファウンデーションが運営に加わった2月の米ツアー、ジェネシスオープンへの出場も叶わず、わずか2戦で再び戦列を離れることになった。

 そうして、4月にテキサス州で再度腰の手術を受けたウッズ。それからは、ずっとリハビリ生活が続いている。ただその間、5月末にはフロリダ州の路上において車の中で仮眠しているところを逮捕されるという”騒動”を起こしている。痛み止めの薬を服用している影響があってのことだが、逮捕時の写真や映像が公開され、その覇気のない姿に世界中が衝撃を受けた。

 そんなウッズが、久しぶりに公の場に姿を現したのが、先のプレジデンツカップ。米国選抜のアシスタントキャプテンとして大会に参加した。


プレジデンツカップで米国選抜のアシスタントキャプテンを務めたタイガー・ウッズ(右)

 彼がトーナメント会場に登場すると、チームのメンバーの誰よりも大きな声援がファンから飛んできた。開幕前の公式会見においても、大会やチーム状況のことよりも、ウッズへの質問が集中。現状についての問いかけが、記者たちから矢継ぎ早に飛んだ。

 それに対して、ウッズはジョークを交えてこう話した。

「(体のほうは)順調に回復している。あとは、ドクターの指示に従って、次のステップに進むだけ。今は60ヤード打てるようになった。しかも、真っ直ぐ(ボールが)飛んだ(笑)」

 しかし、「今後、ツアー競技に復帰しないという可能性もあるか?」と聞かれると、ウッズはこう答えた。

「もちろん、そういう可能性はある。未来はいつだって不確定なものだ」

 ツアーに復帰しない可能性を、ウッズは明確に否定しなかった。おかげで、その直後には「ウッズ、復帰できない可能性もあり!」と、各メディアで大々的に報道されてしまった。

 そういう意味では、今回の”フルスイング”動画は、次のステップへと進んだことを発表し、「まだまだ復帰は諦めていない」というウッズなりの意思表示だったわけだ。

 スイングコーチらによるスイングの評価を詳細に見てみると、「以前よりは非常にいいスイングになった。腰への負担も少なくなっている。しかし、PGAツアーで戦えるほどのスイングスピードが出せるようになるか、また、それに体が耐えられるかは疑問だ」というものが多かった。

「ショットが打てるようになっても、飛距離が落ちるのは否めない。ウッズがツアー復帰を果たしたら、飛距離のない選手のようにプレーをすることになるだろう」といった論調もあり、ウッズがスローモーションの動画を上げた点についても、疑問を呈する声が挙がっていた。

 いずれにしても、ウッズの復帰のタイムラインは未定のまま。往年の名選手ゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)は言う。

「ウッズがもしツアーに復帰するとしたら、本当にいいプレーをしないと難しいだろう。それでも、ゴルフ界はウッズを必要としている。彼が復帰することを本当に願っているが……」

 ゲーリー・プレーヤーと思いは同じだ。ウッズの次なるステップを気長に待つことにしたい。

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