「乳製品で便秘が治った」は効果ではなく副作用!? おなかの健康常識に異変あり

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 下痢や腹痛など、おなかの不調で悩む人は日本人の14%、約1775万人ほどいるという。おなかの不調の原因といえば、真っ先に思い浮かぶのが食事。それだけに、最近、下痢がひどいから乳製品をとって食物繊維を多くとろう――などと、普段の食事を見直すことで改善を目指す人は多い。しかし、

「腸を整える健康法の大半は間違っている可能性があります」

 ドキッとする台詞を吐くのは、医学博士の江田証氏。話題の新刊『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』(さくら舍)を上梓したばかりだ。

「おなかの不調といいますが、正式には『過敏性腸症候群』という病気です。過去3か月間、月に3日以上、腹痛やおなかの不快感が繰り返し起こり、以下3つの症状のうち2つ以上あてはまれば、この病気の疑いがあります」

1 排便すると、おなかの痛みや不快な症状がやわらぐ
2 おなかが痛いとき、便(便秘、下痢)の回数が増減する
3 おなかが痛かったり不快なとき、便の形(外観)が硬くなったり、水のようになる

 重要なのが、この過敏性腸症候群の人には、おなかの調子がよい人にとっての食事法の多くが“逆効果”になってしまうということ。

「たとえばオリゴ糖のような『トクホ』や、牛乳、ヨーグルトをとることで便秘がよくなった――などという人がいますが、実はそれ、『効果』ではなく『副作用』である可能性が高いのです。メカニズムを簡単に説明すると、人間はオリゴ糖や乳糖を分解できないので、体内に取り込んだオリゴ糖や乳糖は、小腸で吸収されずに小腸をスルーします。吸収されないオリゴ糖や乳糖の濃度が小腸内で異常に高まることで、水分を血管内から大腸の中に引き込み、オリゴ糖や乳糖の濃度を薄めようとします。その結果、水びたしになった腸は下痢を起こす……というわけです」

 お腹に不調をもつ人にとって、食品は、大きく「良い糖質」と「悪い糖質」に分けられるという。小腸に問題を起こす「悪い糖質」を高FODMAP(フォドマップ)と呼ぶ。高FODMAPは納豆、ヨーグルト、牛乳、アスパラガス、大豆、グレープフルーツ、キムチなど、一般的におなかに良さそうなイメージの食品が多いというから驚きだ。また、食事ではないが、キシリトールガムのキシリトールも小腸で吸収されづらいという。

「反対におなかをととのえるのが低FODMAPです。もっとも権威のある消化器系の医学誌『Gastroenterology』など、欧米のたくさんの医学論文で有効性が証明されています。それにも関わらず、日本では情報がほとんど広まっていません。消化器系の専門医であっても正しい指導ができないほどです」

 たかが、おなかの不調……などと甘く見るなかれ。過敏性腸症候群は悪化すると痛さのあまり失神したり、職場や学校を長い間休まなくてはいけないケースも少なくないのだ。症状に思いあたる方は、ぜひ、今後の食生活の改善に役立ててほしい。

〈取材・文/スギナミ〉