子育てストレス&家事も激減!ゆる〜くできる“ミニマリスト”生活のコツ

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秋になり、そろそろ年末の大掃除に向けて少しずつ断捨離を初めている方も多いのでは?

【断捨離】これ本当に必要? 今年中に絶対捨てるべき“ムダな物”7種

ですが、家の中に物が多いと片付けも掃除も大変です。やる気がなくなることもしばしば…。

最近では「ミニマリスト」という言葉もよく聞きますが、無欲、清貧といったイメージの「ミニマリスト」、ハードルは高そうに感じるもの。

「ミニマリストには憧れるけど、物欲もあるし、そんなシンプルすぎる暮らしは無理……」と思っている人にこそ読んでほしいのが、『脱力系ミニマリスト生活』(著:森秋子さん)。

「自分の欲望に忠実な脱力系ミニマリスト」と自称する森さんが、子育てをきっかけに「ミニマリストになりたい」と少しずつ身の回りのいろいろな物を手放したり、やめてみたりしてマイペースにミニマリスト生活を楽しんでいる様子は、まさに断捨離を進めている、片付けに悩んでいる、そんなすべての人の参考になるはず。

そこで著者である森さんに、「自分らしくミニマリストを貫くコツ」を伺いました。

「正論」より「欲望」を原動力に物を捨てる

――片付け術というより、まずは不要な物を手放すことを推奨してらっしゃいますが、思い切っていろいろな物を捨てる際の一番のコツはありますか?

森秋子さん(以下、森)「思い切って物を捨てたい理由で、世間でよく聞くのは『快適な暮らし』『上質な暮らし』『家族のため』とか、いろいろな美しい言葉で表現されています。でも私は、『格好つける』ことからまずは捨てることがコツだと思います。正直に『自分のため』にやらないと、捨てることがストレスになるからです。

『正論』よりも、『自分の欲しい生活』をがむしゃらに求める、『欲望』や『野心』が背中を押してくれました」

――欲望が原動力とは意外です。

森「私の場合は『あいつにきれいな部屋と言わせてやりたい』とか『物よりお金を増やしまくりたい』とか正直に、泥臭く求めるとうまくいきました。

私はなりふり構わず、やぶれかぶれで物を捨ててきましたが、物が減ってきて冷静になってくると『私が欲しいのは風です』とか、すまして話す余裕が出てきました。

でも、すまして話せる今になっても『捨てることで、たとえ傷ついてもいい』と覚悟を決めて思い切ったことは、自分の中でとても意味のある、大切な思い出です」

―――捨てて後悔したことは、ありますか?

森「捨てると傷つくこともあります。でも『傷ついて一生懸命向き合う姿』や『後悔して肩を落とす姿』は、『平然としてすましている姿』とか『平気なふりをして繕っている姿』をした自分よりも魅力的だと思います。

失敗、後悔したことが次の自分の糧になりました」

――子どものおもちゃから捨てていったと本書にありましたが、「これまだ使うかもしれないし…」とためらってしまうママも多いと思います。

森「私がおもちゃを1番多く持っていた頃は、部屋にはおもちゃが溢れていました。

おもちゃがたくさんあるほど、恵まれているはずでしたが、その頃が子どもを1番多く叱ってイライラしていたと思います。

思い切った量のおもちゃを減らしたら、自分の手で子どもを抱きしめる時間が増えて、『片付けなさい』『元に戻しなさい』と、せこく怒っている時間が減りました。

おもちゃは買い直すことがすぐにできます。でも、子どもを抱きしめられる時間はどんどん減ります。私は子どもの髪に顔を埋めるのが大好きなのですが、遊んできた子どもの髪の砂ぼこりの香りをかぐと、サバンナにいるような気持ちになれます」

――「あんまり減らしたら子どもがかわいそうかな…」と躊躇してしまいます。

森「私の場合は『子どものため』ではなく、『自分のため』におもちゃを捨てたら、子どもとの暮らしが輝きました。風船やシャボン玉とか簡単なものや、お風呂上りに子供の体をバスタオルで包んだときの体のぬくもりなど、お店では手に入らないものにこそ、たった1つの価値があると思います。

子どもの頃の私も、テレビを見ていて、母がただ隣に座って他のことをしているだけで安心していました。

私はたくさんのおもちゃを捨ててきたので、おもちゃを見ても『未来のゴミ』と思うようになりましたが、そのおかげで『未来のゴミ』を買わずに『お金』と『抱きしめる時間』を増やすことができたのだと思います」

―――お子さんはどんな反応でしたか?

森「おもちゃの減った部屋で、子どもは子犬みたいに転がっていました。多すぎるおもちゃの中で電子音にまみれていたときには気づかなかった、風の音や、虫や鳥の声に気がつくようになりました」

「収納」も「整理整頓」も生活の負担を増やすもの

――片付いてなくても「子どもが小さいうちは仕方ない」なんてあきらめがちだったりします。おもちゃ以外の子ども用品もミニマルにおさめるためのコツなどもありますか?

森「子どもグッズの収納用品も、以前は家中に溢れていましたが、増やすとますますお金が減って家事が増え、生活が複雑になっていきます。風呂敷を使うと身軽になれます。

包んでおいて、いらなくなったらたたんでおくことができるので、物を分けるときに使っています。ハンカチも使えます。細々したものなら、ジャムの空き瓶などに投げ入れてもいいと思います。

買い物に行かない分、『物』は増えません。私は、子どもに『触らないで』『後で』『今はダメ』とネガティブな言葉を言うことも減ったのがうれしかったですね。

それから、余暇の楽しみが『消費活動』ばかりになりがちなので、公園、図書館、児童館、遊歩道など、買い物以外で過ごせる場所を探してみたらうまくいきました。雨の日には長靴を履いて、水たまりを踏んで、ぐしゃぐしゃ遊んでいると、自分でもびっくりするくらい時間が経っています。話題がそれましたが……」

――「収納を捨てる」というのは、「収納術」の特集が主婦向け雑誌であふれかえるような今、新鮮というか目からウロコでした。

森「『収納』は『カオスを作るカオス箱』だと思っています。

今は、収納の役割は『物を隠すこと』だと割り切って考えています。『物を隠すこと』に必死になってお金と時間を失ってきたので、『収納』『仕切りグッズ』が自分や家の生活を素敵にしてくれるという『幻想』を捨てました。

『美しい収納』も『整理整頓』も生活の負担を増やすと思っています」

―――実際はどんな風に収納しているのですか?

森「台所のシステムキッチンの作り付けの引き出しに、いろいろ入れています。1番目にはお箸やフォーク類、キッチングッズが入っています。2段目にはクロス類、3段目には家中の文具類が入っています。

物の量が多くなければ、仕切りがなくても使いやすくて、ごちゃごちゃになってもすぐに見つかりますし、きっちり整えすぎると息が詰まるので、日常は多少乱れている方がワクワクします。

お正月など節目の時期には、自分の心の中だけで『ここが仕切りだ』と定めて物を並べなおすこともあります。仕切りグッスなんてなくても、ビシッと整います。

『収納』『整理整頓』にロマンを感じる人は続くと思いますが、『整理整頓』『収納』がつまらないのは、当たり前の感覚だと思います」

――電子レンジも持たないというのが、また衝撃でした。

森「電子レンジがなかった時代に、どうしているかを想像して楽しんでいます。

たいてい鍋で温めるか、グリルで焼いています。冷えたご飯は、夏はお茶漬け、冬はおじやです。オールシーズン、おにぎりは冷えても美味しい奇跡のレシピですし、納豆、豆腐、卵、昆布など決まった常備菜を置いています。これからの季節は卵おじやが最高です」

―――最近はやりの「作り置き」などもレンチンが当たり前ですが……。

森「『作り置き』が流行っていますが、一気に作ろうとすると半日仕事です。料理の残りを『作り置き』と名付けたら、『作り置き』を作る必要がなくなりました。

忙しい時期は日曜日は餃子、水曜日はカレーとか固定すると、やりやすいこともありました。

無理は続きませんから、疲れたら焼鳥屋で焼き鳥を買って、大皿に並べて食べてリンゴを切ったり、家でキャンプのようにしています。

夏に子どもとパン屋さんで好きなパンを買って、夜の公園で夕食として食べたこともあります。どんな栄養満点の見栄えの良い料理よりも、風に吹かれて自由に好きなパンを選んで、小さなベンチで月の下で食べた時間は、贅沢で輝いていました」

――家電を必要最低限しか持たない生活で見えてくるものはなんでしょう。

森「電子レンジをなくしたら食生活が安定しましたね。選択肢が少なくなり、迷う時間が減りました。冷凍食品、コンビニ料理も買わなくなりました。果物や丸ごと食べられる食材をたくさん発見しました。

子どもの頃の思い出も、一番美味しく、懐かしく思い出すのは豪勢なパーティー料理ではないです。

海水浴に行くと、母がアルミホイルに塩のきいたおにぎりをくれて、太陽の下でテトラポッドの上に座って海を見ながら食べていたこと。中身はシャケとか梅だったこと。

そういう心が動く美味しい食べ物を、もう一度思い出して作ってみると、驚くほど単純で美味しく感じます」

家にもっと「空間」や「隙間」を増やしたい

――掃除の3種の神器として、イタリアンほうき、ハタキ、マイクロファイバーを挙げてらっしゃいますよね。

森「マイクロファイバーの雑巾、実は最近やめてしまいました。

今は、タオルで作った昔ながらの雑巾で、小学生の頃やったようにバケツに手を浸して、雑巾を絞って床を磨いています。手が荒れず、今までで1番家が清潔に思えます。

『掃除グッズ、掃除テクを駆使する女』か『雑巾を絞って床を磨く女』か、どちらでも選べますよね。私は『雑巾を絞って床を磨く女』の方が素敵だと思っているので、そんな風に見られたいという野望のために『雑巾』を選びました。無心で床を磨いていると本質的なところで充実してきます。

『効率』も『スマート』も捨てた掃除は、娯楽に近いものがあります。ほうきと、はたきと、雑巾で、自己流で無茶苦茶に、ストレス解消と運動のために掃除しています。

イライラしているときなどは悔しくて磨いているので、自然と力が入り、窓も輝きます」

――ブログでは壁を取り除いて部屋を広くし、ベッドも捨てたと書かれていますよね。

森「『物』を増やし続ける生活で、私は『お金』と『自由時間』を減らしてきました。それに飽きたので、ここ数年間は『自由時間』と『お金』を増やすために『物』を減らす生活をしてきました。

今、家の中にもっと増やしたいのは『風』『空間』『隙間』なんです。

『生活』に完成はないので、今も試行錯誤の最中です」

――振り返って、ミニマリスト生活をはじめてよかったのはどんな点ですか?

森「私のミニマルな暮らしは、最初にお話したようにもっと『欲しいものを手に入れたい』『家事をしたくない』一心で続けています。物が多くて家事に忙しいときは、ひたすら『ゆっくり寝たい』という必死な気持ちでした。

100円グッズでおしゃれを演出したり、便利グッズで時短を求めても、ゆっくり寝れたことも、生活が素敵に輝いたこともなかったと気がつきました。

『収納』『整理整頓』に燃えたこともありますが、『整理整頓』も『美しい収納』も、私にはつまらないものでしたから。

『物』を減らして、『買い物労働』も減らして、自分の負担が減ってきたら、家族の蹴り飛ばしていったスリッパや、子どもが廊下にランドセルを捨てて出かけた跡を見ると、温かい気持ちになる、という変化が起きました。

『片付けていかなかった』『私はこんなに大変なのに』と、いまいましく思うよりも、『遊びに走って行った』元気な姿とか、『急いで仕事に出かけた』姿を想うほうが輝いて感じられます。

物を捨てたり、手放すことは苦しくて、傷つくこともありました。

楽に傷つかずに部屋を片付けていく方法があれば、私も知りたいと思いますが、『捨てた』先の『生活の輝き』を感じる喜びは、スマートに片付けてきた経験からよりも、傷ついて失敗、後悔した経験から得られたもののような気がします」

物を減らすことで家事が減り、育児ストレスも減らすことにつながるというのは、目からウロコの発想。

筆者も経験がありますが、片付けや収納に躍起になって、でもスペースに合う収納グッズがなくて探すのにネットサーフィンで1時間……なんていうのは、振り返るととてつもない徒労ですよね。

年末に向けて少しずつ片付け、掃除を始めようという方は、ぜひ本書を参考に「これは本当に必要か?」と身の回りの物や習慣を改めて見直してみてください。

生活がぐっとシンプルに、ストレスフリーになるかもしれません。