前回(第47回)衆院選・東京1区のポスター掲示場。(時事通信社=写真)

写真拡大

■「大昔の写真」でも問題ない

衆院が解散。いよいよ10月10日の公示日から選挙戦が始まり、掲示板には候補者のポスターがズラリと並ぶ。

選挙運動は公職選挙法によって規制されているが、選挙ポスターも例外ではない。ポスターは選挙管理委員会の検印を受けるか、交付された証紙を貼り付ける必要がある。また、原則として公営掲示板以外の場所に貼ることはできない。

ただ、デザインに関してはかなり自由だと言える。規制があるのはサイズだけ。長さ42センチ、幅30センチを超えるものは許されていないが、その大きさを超えなければ、たとえば丸形やハート形にしても違反にならない。

気になるのが、顔写真の加工だ。最近は別人のように若く見える写真を載せる候補者も多い。見た目が違いすぎると、虚偽にならないのだろうか。

じつは国会で、「候補者の写真があまりに古くて現在の容姿と異なる場合は虚偽記載ではないか」という質問が行われたことがある。これに対する政府の答弁は「虚偽事項公表の規定に該当しない」だった(2004年10月22日、第161回臨時国会)。

大昔の写真でも問題ないなら、画像加工ソフトでシワをなくすくらいの修正は許されるだろう。

■笑顔のポスターは、田舎では逆効果

ところで、なぜ候補者はポスターの顔写真を加工するのか。それは見た目が投票行動に影響を与えるからだ。

見た目にはさまざまな要素があるが、なかでも拓殖大学・浅野正彦教授が注目しているのは「笑顔」だ。15年に行われた政令指定都市の市議会選挙で、顔認証技術を使って候補者1379人の選挙ポスターの笑顔度を測定。得票率との関係を調べたところ、興味深い結果になった。

「ポスターの笑顔度は得票数に影響を与えていました。ただ、都会と田舎では影響度が異なります。投票率が低い都会の選挙区では笑顔度の影響が大きく、投票率が高い田舎の選挙区では笑顔度の影響は小さかった。都会の選挙区には無党派層が多く、見た目の影響を受けやすいのでしょう」

都会と田舎の違いはほかにもある。そもそも笑顔に対する印象が正反対だ。

「都会の選挙区では、笑顔であるほど得票率が伸びます。逆に田舎の選挙区では笑顔度と得票に負の相関があり、笑顔であるほど得票率が減る」

ニコニコした表情が好感に結びつくのは都会だけ。田舎では、むしろへらへらしていて信用が置けない政治家という評価になりやすい。

ちなみに名前の漢字をひらがなにする候補者も多い。読みやすくして有権者に覚えてもらうための策で、選挙管理委員会に通称使用申請書を提出すれば認められる。ただ、「ゼミ生が16年参院選を分析したところ、ひらがなと得票数に関係はなかった」とか。これから選挙活動する候補者は、ぜひ参考に!

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=拓殖大学教授 浅野正彦 写真=時事通信社)