犬が他の犬のオシッコを嗅ぐ時間の長さはどんなことに影響されるのか?

愛犬とお散歩に行くと、よその犬が残したオシッコのニオイを熱心に嗅ぐのに付き合わされますね。時によってニオイを嗅ぐ時間が妙に長いことがあるなあと思われたことはありませんか?

イギリスのアスクハン・ブライアン大学の研究チームが、犬が他の犬のオシッコを嗅ぐ時間の長さと、オシッコの主の避妊去勢処置の状態の関連を調べるための調査を行いレポートを発表しました。

犬はオシッコのニオイからどんな情報を集めているのか?

そもそも犬は他の犬のオシッコのニオイからどれくらいの情報がわかるのでしょうか?
一般的には、オシッコの主の性別・避妊去勢の処置がされているかどうか・食生活・ストレスレベルなどを読み取っているのだそうです。
そしてこれらの情報を利用して、そこが自分のテリトリーであると主張したり、発情期のメスが近くにいるのだと認識したり、そのメス犬をめぐってのライバルの存在なども分かります。

顔なじみの犬が何を食べているのか、楽しく過ごしているのかストレスフルなのか、恋人募集中の異性が近くにいるのか、そんな情報が詰まっているのですから、これはまさに犬版のFacebookやLINEのようなSNSと言えますね。犬がオシッコのニオイを嗅ぐのに夢中になるのも無理はありません。

散歩が犬にとって単なる運動ではなく、彼らのソーシャルライフでもあることの理由のひとつなので、ニオイ嗅ぎの時間はある程度きちんと取ってあげてくださいね。

避妊去勢処置済みの犬と未処置の犬のオシッコ、嗅ぐ時間の長さに違いはあるか?

さて、前述のように犬は他の犬のオシッコのニオイから避妊去勢の処置の有無がわかるとされています。避妊去勢手術を施すと性ホルモンの分泌に大きく影響するので、オシッコのニオイも変わります。けれど、避妊去勢による変化がオシッコを通じての犬同士のコミュニケーションにどの程度影響するのかという研究はとても少ないのだそうです。

アスクハン・ブライアン大学の研究チームは20匹の犬の尿サンプルを集め、12匹の犬にニオイを嗅がせて、それぞれのサンプルを嗅いだ時間を記録していくという実験を行いました。尿サンプルの犬は10匹が避妊去勢処置済みで10匹が未処置の犬です。ニオイを嗅ぐ犬にとっては全く接点のない知らない犬の尿がサンプルになっています。

ニオイを嗅いだ時間の測定の結果、犬たちは避妊去勢処置をしている犬の尿サンプルを未処置の犬のものよりも長く嗅いだのだそうです。このことから研究チームは、避妊去勢処置をしている犬は、大人なのに性ホルモンの成分が少ないなど矛盾する情報が尿に含まれるため、ニオイを嗅ぐ犬が混乱したり情報を理解しようと何度も嗅ぐために時間がかかるのではないかと仮説を立てています。

しかし興味深いことに、2009年にアメリカの研究チームが発表した同じような実験では、実験に参加した犬は避妊去勢手術をしていない未処置の犬の尿サンプルをより長く嗅いだという結果が出ています。これは、今回の実験は室内で行われ、2009年の実験は屋外で行われたことから、屋外での実験は普段の散歩の時のニオイ嗅ぎに近く、避妊去勢をしていない=性的に魅力がある異性のニオイを熱心に嗅いだのではないかと仮説が立てられています。
ともあれ、より正確な結果を得るために、今後もより多くのリサーチが必要であると結論づけられています。

まとめ

オシッコのニオイを嗅ぐことで様々な情報を読み取りコミュニケーションにまで利用している犬たち。その行動に、避妊去勢手術によるホルモン分泌の変化が影響するのか?という研究が発表されました。実験に参加した犬たちは避妊去勢の処置をした犬の尿サンプルをより長い時間嗅いだと報告されました。それは尿から読み取れる情報が避妊去勢をしていない犬のものに比べて複雑なために、ニオイを嗅ぐ犬を混乱させたからではないかと考えられています。反対に屋外で実験をした場合には、犬にとって性的に魅力のある避妊去勢をしていない犬の尿サンプルを長い時間嗅いだという報告もあり、この分野のさらなるリサーチが必要であるとされています。
そんな科学的な報告を背景に考えると、散歩中に真剣な顔で長い間スンスンする愛犬に対して「魅力的な異性のニオイでもするのかな?」とか「え?なんで?どういうこと?って混乱してるのかな」と想像が広がり、いっそう愛しさが増すような気がしますね。

《参考》
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0376635717300384?via%3Dihub