選手をねぎらう森山佳郎監督

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[10.17 U-17W杯インド2017 決勝T1回戦 日本0-0(PK3-5)イングランド]

 中2日で悪い流れを断ち切った。第2戦フランス戦(1-2)では攻撃を封じられて“個”の力に屈し、主力を温存して臨んだ第3戦ニューカレドニア戦(1-1)は消極的なプレーで格下相手に痛恨のドロー。決勝トーナメントに弾みをつけられず、流れは最悪だった。翌15日は完全オフとし、イングランド戦前日の16日は冒頭15分を除く初の非公開練習。雑音を遮断して切り替え、戦う集団が帰ってきた。

 最終ラインのDF菅原由勢(名古屋U-18)、MF鈴木冬一(C大阪U-18)ら守備陣が連動して相手のチャンスを潰し、体を投げ出した堅守で粘り強くシャットアウト。FW久保建英(FC東京U-18)ら攻撃陣は恐れることなくアグレッシブな姿勢を貫き、縦へ縦へと仕掛けた。終盤は怒涛の猛攻。11人の集中力は研ぎ澄まされ、組織の力で強力な“個”を持ったタレント軍団を圧倒した。

 中2日で見事にチームを立て直した森山佳郎監督は目に涙を浮かべながら、「油断させるには十分だったかな」と笑った。

 先発9人を入れ替え、控え組中心で臨んだニューカレドニア戦。ミスを恐れて消極的なプレーに終始する選手たちを見て、吹っ切れた。「こんな戦いで僕らの旅を終わらせたくはない」。チームの海外遠征初戦は2015年4月15日、インドネシア戦(1-2)で、黒星スタート。2日後には同じ相手に3-1で勝利。「その試合は泥臭く戦った。忘れかけていた」と海外遠征初白星の記憶を思い出し、原点にかえった。

 目標は「7試合を戦う」とファイナリストを公言。勝利追求に意識が傾いたか、森山監督は「走る、戦う」という基礎の部分よりも、「主導権を握るとか、質やコンビネーションにフォーカスを当ててしまった」と振り返り、責任を自らかぶった。ニューカレドニア戦後、選手たちに謝罪したエピソードも明かした。

「僕自身が選手に『チャレンジしろ』と言いながらミスを許していなかったから選手がちっちゃくなってしまったんだなと、選手たちに謝った」

 持ち前のハードワークを取り戻した選手たちは息を吹き返し、W杯の大舞台、53,302人の大観衆の前でまぶしく輝いた。試合展開は「ほぼプラン通りの戦い」だった。「最終ラインがしっかり守りきれれば、じわじわとこちらにぺースを持ってくるというプラン。ラスト20分はいける自信があった」。狙い通りの展開だったが、押し込みながらも最後までゴールが遠く、PK戦の末に惜敗。あと一歩届かず、ベスト16で“00ジャパン”は解散。選手たちは大粒の涙をこぼした。

「最後まであきらめずにボールを追いかけ、極限まで戦った姿に心を打たれた。誇らしい選手たちと2年半の旅は終わってしまいましたが、本当に素晴らしいハートを見せてくれた。格上の相手に対して、我慢しながらみんなで声を掛け合って戦って、こちらに流れを持ってくるという組織的な部分を見せることができた」

 第2戦、第3戦で課題だったピッチ上での修正も改善。監督の指示がなくても、イメージを共有する選手同士が声を掛け合って連携を高め、優勝候補の一角・イングランドを苦しめた。ラストマッチは自分たちらしさを発揮した、胸を張れる試合内容。森山監督は大会中にも逞しく成長を遂げた選手たちを誇り、最後まで賛辞を惜しまなかった。

(取材・文 佐藤亜希子)


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