ホールフーズ・マーケットの店舗。 Photo by , under CC BY 2.0.


 アマゾン・ドットコムが今年8月下旬に買収手続きを完了した「ホールフーズ・マーケット」は、今のところ、従来と同様の店舗形態で運営されている。

 しかし、このスーパーマーケットチェーンは、今後、アマゾンの戦略や最新テクノロジーなどによって、販売形態が大きく変わる可能性がある。それを知る上でヒントとなるのは、同社直営の書店「Amazon Books」だと米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。

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Amazon Booksの戦略

 例えば、Amazon Booksでは、陳列している書籍に価格表示がない。その代わり、店員は顧客に対し、自分のスマートフォンを本にかざして、画面で価格などの書籍情報を見るよう促している。

 アマゾンは米国で、同社の有料プログラム「Prime」の会員に向けて、書籍を他社よりも安く販売する戦略をとっているが、それをAmazon Booksでも行っている。価格は常に変化するため、スマートフォンで確認するのが最良の方法、というのがアマゾンの考えだ。

 店舗内で、スマートフォンを使って、他店やネット通販の価格と比較したりすることを「ショールーミング」と言う。通常は、こうした顧客の行動が小売店に打撃を与えると言われているが、アマゾンはこれをあえて、自社の店舗でやってもらうよう顧客に促しているというわけだ。

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ネット販売のデータを活用

 一方で、アマゾンは、書籍のネット販売データをAmazon Booksに利用している。これにより、例えば地域ごとで異なる品ぞろえを行い、販売促進に生かしている。

 ウォールストリート・ジャーナルの記事は、スーパーマーケットで顧客がスマートフォンをかざして価格を確認することは現実的ではない、としながらも、こうして、ネット通販で得た膨大な販売データを使って、地域ごとの売れ筋商品を割り出せるアマゾンには、大きな強みがあると伝えている。

 アマゾンは、ホールフーズ・マーケットのプライベートブランド(PB)商品を、ネットで販売し始めた。おそらく、同社は今後、これらのデータを使って、ホールフーズ・マーケット各店舗の品ぞろえを調整していくのだろう。

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 Amazon Booksには、これ以外にも他の書店と異なる特長がある。その1つは、ほぼすべての書籍を、表紙を正面にして棚に立てる「面陳方式」で販売しているという点。

 これにより、1店舗でそろえられる書籍数は、5000種程度に限られ、数万種から十数万種を用意している競合大型店とは異なる。それでもAmazon Booksには、人々が集まり、時折、行列もできるという。

2年で12店舗に拡大

 同社がAmazon Booksを初めて開いたのは2015年11月のこと。その1号店の場所は、同社の本社があるワシントン州シアトルだった。

 その後、同社はこの店舗をサンディエゴ(カリフォルニア州)、ポートランド(オレゴン州)、ニューヨークのマンハッタンなどにも展開し、1号店の開設から2年となる現在は、12店舗が営業中。同社のウェブサイトにある情報によると、Amazon Booksは近々、新たに3店舗が開設される予定だ。

筆者:小久保 重信