不貞腐れ気味だった息子キャスパー(右)を諭した父ペーター(左)。 (C) REUTERS/AFLO

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 1-1で決着がついた現地時間10月16日のプレミアリーグ8節のWBA戦後、レスターの守護神キャスパー・シュマイケルは、ナセル・シャドリにFKを決められた失点シーンについて次のように振り返った。
 
「シュートは大きな壁を越えないと思っていたんだ。それに僕はボールが見えていなかった。だから壁を越えた時にポジションを動かすことができず、ボールが自分の方に向かってくることを祈ることしかできなかった。確かに良いシュートだったけど、ボールを見ることができないのはキーパーとしてキツい」
 
 確かにゴールシーンを見直しても、キャスパーは一歩も動くことができずにネットに吸い込まれるボールをただ見つめるだけだった。当人が不満を漏らしたのも頷ける。
 
 しかし、そんなレスターの守護神を一喝したのが、実の父であり、かつてマンチェスター・ユナイテッドとデンマーク代表の守護神として君臨したペーター・シュマイケルだ。自身が解説を務める英国メディア『スカイスポーツ』で、不貞腐れたようなコメントを残した息子に対して「時には相手を認めなければいけない」と指摘した。
 
「ゴールの中にはキーパーが何もできないものもある。だから、あまり下を向く必要はないし、それにシャドリのシュートは見事だった。時には手を上げて、『質の高いキックにやられた』と認めないといけない」
 
 現役時代に何度も修羅場を潜り抜けてきたペーターは、失点シーンにおける息子の壁の作り方に対して、「あれが正しい判断だったかは疑問だね」とし、自身の経験則に基づいた指摘を続けた。
 
「私も似たような経験がある。バイエルンとのチャンピオンズ・リーグ決勝で相手2人が壁となって邪魔になり、失点したんだ。人々はその際に私を批判した。その時に私が考えたのは、『その経験をしたことがなかったことが全てだ』ということだった」
 
 守護神としてマンチェスター・Uの1990年代の黄金期を支えたペーターは、「キーパーとしてどんな失点も受け入れて、『もっとうまくやることができたな』と、試合後に考えるようになって欲しい。そうすれば素晴らしいよ」と、息子キャスパーの成長を諭した。
 
 はたして、息子は父の金言を受け入れて、より頼られる守護神に成長していけるだろうか。