子どもの睡眠負債を減らす11の魔法

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「睡眠負債」=積み重なった睡眠不足が、さまざまな疾患のリスクを押し上げるということは、テレビ番組や雑誌等で取り上げられたことをきっかけに、広く知られるようになりました。
 
子供にとって睡眠負債は、脳をはじめとする神経や身体が成長する途上にあるだけに、さらに深刻な悪影響を与える恐れがあります。
 
睡眠専門医の坪田聡先生に、子供の睡眠負債について、その現状と家庭で取り組める対策を教えていただきました。

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子どもの生活リズムのチェックリスト

子どもは睡眠負債(睡眠不足)がたまってきても、あまり眠気を訴えないことがあります。そんな時には、睡眠文化研究所が編集した「子どもを伸ばす『眠り』の力」にある、生活リズムのチェックリストを使ってみてください。子どもの睡眠の問題点が明らかになることがあります。
 
まず、下の各項目について、当てはまる番号をチェックし、1.は1点、2.は2点、3.は3点として合計点数を出してください。

体格は?

明らかに太りすぎ/やせすぎどちらかというと太っている/やせている体格は普通

 

朝は何時に起きますか?

8時以降7〜8時7時前

 

朝は自分で起きますか?(目覚まし時計を使っても OK)

いつも人に起こされるときどき自分で起きるたいてい自分で起きる

 

朝ごはんを食べますか?

いつも食べないときどき食べるたいてい食べる

 

午前中の体の具合は?

だるく、疲れているときどき元気がないたいてい元気いっぱい

 

昼間に眠くなりますか?

毎日眠くなる時々眠くなるならない

 

毎日、テレビを見たりゲームをしたりする時間は?

1時間以上30分から1時間30分以内

 

ちょっとしたことでイライラしますか?

よくあるときどきあるほとんどない

 

気分が落ち込むことがありますか?

よくあるときどきあるほとんどない

 

夕食は誰と食べますか?

いつも1人でときどき1人でいつも家族と

 

眠る前に夜食を食べますか?

たいてい食べるときどき食べる食べない

 

眠る時刻は決まっていますか?

毎日ばらばら、あるいは、2時間以上ずれることがよくあるたまにずれることがあるだいたい決まっている

 

眠る時刻は何時ころ?

夜10時以降9〜10時9時前

 

寝つきは?

いつも悪い時々寝つけないいつも良い

 

子どもの生活リズムの評価と対策

さて、合計点は何点になりましたか? 以下に、生活リズムの評価の仕方と対策について解説します。
 
40点以上
とてもよい生活リズムで、睡眠力に満ち満ちています。朝は早く起きて、しっかりと太陽の光を浴びると、目が覚めやすくなります。朝ごはんを食べることで、胃腸も目が覚め、脳のエネルギー源も補充されます。日中に活動的な子どもほど、夜はグッスリ眠れて、心身ともに成長してくれます。
 
30〜39点
生活リズムは平均点以上で、睡眠力も十分です。さらに上を目指すためには、夜の習慣を見直したり、食生活に気を配ったりましょう。遅い時刻までテレビを見たりゲームをしたりしていると、眠気が覚めてしまいます。寝床につく1時間前には、電子メディアのスイッチを切りましょう。
 
20〜29点
睡眠力の基本となる生活リズムは、合格ラインすれすれです。今の生活パターンを続けていると、正しい睡眠習慣を身につけられなくなる可能性があります。まずは、朝の生活を改善することから始めましょう。
 
「早寝早起き」より、朝は決まった時刻に起きる「早起き→早寝」のほうが実践しやすいものです。さらに、目覚める時刻の30分前から部屋を明るくしたり、朝食もバナナと牛乳くらいから始めたりすると、スムーズに朝型人間になることができます。
 
19点以下
生活リズムは不合格! 睡眠力も危機にひんしています。このままでは、生活習慣病に一直線です。子どもの生活習慣を変えるには、先に両親の生活習慣を改めることが、最も大切です。
 
親がやっていないことを子どもにさせるなんて、絶対にできません。食事の習慣や睡眠の時刻で、できることから少しずつ、親子で楽しみながら変えていきましょう。うまくできるようになったら、しっかりほめてあげてください。

子どもの睡眠負債を減らす11の魔法

睡眠文化研究所が編集した『子どもを伸ばす眠りの力』には、「子どもがイキイキする眠りの魔法」が書かれています。ここではその各項目を、五七調に替えてご紹介します。親子ともども、楽しみながら健康的な睡眠ライフを楽しんでください。

子どもの睡眠負債を減らす11の魔法

1. 父母(ちちはは)も家族一緒に早起き→早寝
親が遅くまで起きて楽しんでいるのに、子どもだけ早く寝るように言っても聞くわけがありません。子どもの就寝時刻や睡眠時間は、両親のそれらに強く影響されます。また、生体リズムから見て、「早寝→早起き」よりも「早起き→早寝」の順に取り組むほうが習慣化しやすくなります。
 
2. 朝の光は必ず浴びる! 夜はコロンと眠くなる
脳の松果体というところから、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が分泌されます。メラトニンの分泌量は、周りの明るさによって増えたり減ったりします。朝、目覚めて明るい光を浴びてから14〜16時間たつとメラトニンの分泌が始まります。そして、2時間後くらいに眠気が強まります。
 
3. 簡単な睡眠日誌を1週間
自分の行動は、分かっているようでよく分かっていないものです。寝ついた時刻と目覚めた時刻、仮眠したり眠気が強かったりした時間帯などを、1週間記録してみましょう。それを親子で眺めて睡眠のパターンに気づけば、対策が立てられます。
 
4. 朝食で目覚めも気分もグンと良く
胃腸にも、「腹時計」という体内時計があります。朝、食べ物が胃腸に入ると腹時計が動き始めて、目もしっかりと覚めてきます。朝食に必須アミノ酸の一種「トリプトファン」を多くとると、目覚めや寝つきが良い子になります。トリプトファンは豆類や豆製品、肉類、牛乳、乳製品、バナナ、アボカドなどに豊富です。
 
5. 遊びに遊んで夜はグッスリ 心も体も大元気
睡眠の目的の一つが、心身の疲労回復です。そのため、日中を活動的に過ごすと夜はグッスリ眠れますが、日中にダラダラしていると良い睡眠がとれません。
 
6. お昼寝も3時半には起きましょう
午後の遅い時間に昼寝をすると、夜の睡眠を先取りしてしまい、就寝時刻が遅くなりがちです。昼寝は夜の睡眠を補う効果があるのでとても大切ですが、午後3時半ころには起きるようにしましょう。
 
7. 夕食とお風呂の時間は子ども次第
食べたものの消化が落ち着かないと、グッスリ眠れません。お風呂に入った直後で体温が高いときにも、寝つきがよくありません。親の都合より子どもの生体リズムを優先して、食事は寝床につく1〜2時間くらい前に終わり、お風呂には就寝の1時間くらい前に入りましょう。
 
8. 止めましょう、夜遅くまでのテレビやゲーム
寝床につく前の1時間は、眠る準備として少しずつ心を落ち着けていきましょう。テレビやパソコン、ゲーム機、スマートフォンなどの画面が発するチカチカした光は、脳を興奮させて眠気を減らしてしまいます。代わりに、静かな音楽を聴いたり読み聞かせをしたり、あるいは親子でお話をしてみてください。
 
9. 決まった時間に眠ることは、親子の大事なお約束
「子どもはほっておいても眠くなれば眠る」という考えは間違いです。子どもは楽しいことをしていると眠気を感じなくなり、いつまでたっても布団に入りません。就寝時刻や起床時刻を守ることは、親がしなければいけない大事なしつけの一つです。
 
10.眠る前の儀式はわが家のオリジナル
パジャマに着替えて歯を磨き、トイレに行ってから家族に「おやすみなさい」のあいさつを言う。毎晩、眠る前に繰り返される行動が、子どもの寝つきをよくします。子どもと一緒に家じゅうの部屋を回って、いろいろなものに「おやすみなさい」と言ってから眠る家庭もあります。
 
11.眠るとき眠ったあとは暗くする
光には、睡眠や覚醒をコントロールする働きがあります。子どもの寝室もなるべく暗くすると、グッスリ眠ってくれます。夜中に目覚めた時に怖がらないために、豆電球のフットライトくらいはつけておいてもかまいません。
 
全ての項目を一度にやろうとは、思わないでください。1つで良いですから、できそうなことから試してみて、ご家庭にあった睡眠習慣を築き上げてください。

まとめ

子どものうちから「早寝早起き朝ごはん」の習慣を身につけると、大人になってからも健康で生き生きと活躍できるようになります。これを機会にご家族みんなで、生活習慣を見直してみませんか?

photo:Getty Images