憧れの地で熱演するcinema staff(撮影=ヤオタケシ)

 cinema staffが14日、東京・日比谷野外大音楽堂で、単独公演『two strike to(2) night 〜万感の日比谷編〜』を開催した。日比谷野音での単独公演は自身初。デビュー当時から「いつかはワンマンを行ってみたい場所」として公言してきた憧れの地で熱唱した。当日の模様を以下にレポートする。【取材=長澤智典】

撮影=ヤオタケシ

 そこは、彼らにとって憧れの地。この地で単独公演をおこなうのは、cinema staffにとって夢であり目標としていたこと。願い続ければ、あきらめなければ必ず夢は叶う…なんて奇麗事を言うつもりはない。でも、幾つもの辿り着きたい目標地点を持ち、そのために何が必要かを考え、あきらめることなく実践し続けてゆくことで、その夢へ到達する人たちもいる。cinema staffも、そう。彼らは人の心を動かす魅力を作りあげてきた。一人一人動いた心が今、日比谷野外大音楽堂を埋めつくすまでに膨らんだ。

 人の心を動かすのは簡単なことではない。見知らぬ他人の言葉で人が心を動かすことは、並大抵のことではない。人の心を動かすとは、そういうこと。cinema staffもまた、その苦労を知っているからこそ、万感の思いを持ってこの日のステージに立っていた。

 10月14日、日比谷野外大音楽堂を舞台に、cinema staffが『two strike to(2) night〜万感の日比谷編〜』を開催。この日は、彼らの地元である岐阜県のファンたちも応援に駆けつけられるようにと、岐阜県から東京のライブへ向かうバスツアーも実施。

撮影=ヤオタケシ

 前日から続いた雨はひとまず止み、今にも泣きだしそうな空…だったのは、開場前までの時間帯。日比谷野外大音楽堂の扉が開き、観客たちが場内へ足を踏み入れた頃から、空が少しずつ涙を流し始めていた。それでも開演直前までは、まだまだ小雨の状態。でも今日は、その雨も、場内を埋めた観客たちを前に舞台に立つ4人の嬉し涙と捉えたら、空から落ちてくる滴たちも前向きに受け止められそうだ。

 ギターを掻き鳴らしだした、飯田。そのノイズは次第に旋律へと変化し、美しいメロディに変わってゆく。そこへ3人の演奏が一気に重なると同時に、演奏は輪郭を持った楽曲へ進化。影を背負いながらも美しく響く歌声と、熱を持って膨らんでゆく歪んだ音の唸り。ライブは、メジャーデビューシングルとなった「into the green」で幕を開けた。美しさと衝動のバトル、ギターの辻は、早くも感情ぶち切れながら荒々しくギターを掻き鳴らしていた。

 続く「theme of us」で、演奏は一気にスパーク。観客たちの「1、2、3、4!」の掛け声を合図に、楽曲は軽快に走り出した。空へ向かって突き上げた無数の右腕が、場内中で大きく揺れ動く。止まない小雨さえ吹き飛ばす勢いで、歌も演奏も熱気も上がり続けてゆく。その熱は、「奇跡」を通し光をまといだした。爽やかな風を運ぶ歌と演奏に触れ、気持ちも嬉しく高揚。この昂り、とても心地好いじゃないか。久野の駆けるドラムビートを合図に、演奏は「熱源」へ変化。光が、熱が、会場中を大きく包みだした。気持ちを熱く揺さぶるcinema staffの歌や演奏は、まさに感情を震わせる熱源だ。

撮影=ヤオタケシ

 「今日はいいライブにしたいから力を貸してくれますか」。その言葉を合図に、飯田が荒々しくギターを掻き鳴らし、演奏は破裂寸前の衝動を携えた「AMK HOLLIC」へ。疾走する歌と演奏が、熱したい気持ちをどんどん身体の内側で膨らませてゆく。後半には、感情をブチ切った場面も飛び出していた。

 「いつだって俺たちは、足を前へ進めるんだ」という感情的な叫びを合図に始まった「想像力」でも、破裂したい感情がどんどん膨らみ続けていた。辻がギターを激しくストローク。「白い砂漠のマーチ」の演奏を通し沸き上がる興奮を、誰もが身体の内側から解き放ち、気持ちを一つにはしゃいでいく。ライブはまだまだ序盤戦。次第に雨足も強まってゆく。でも、そんな悪条件さえ忘れてしまう光景が会場には描き出されていた。

 「気づいてました? ここまで演奏してきた曲たちってシングルかアルバムの1曲目を飾った曲たちだって」。cinema staffにとって特別なライブだからこそ、彼らは自分たちのこれまでの歩みを集大成するような演目を並べ、みずから踏みしめてきた足跡をしっかりと噛みしめていた。

撮影=ヤオタケシ

 続く「KARAKURI in the skywalkers」では、メロウな歌の中へ沸き上がる衝動を詰め込む形で演奏。触れている間中、身体が火照りを覚え続けていた。きっとこれが、沸き上がる高揚というやつか…。

 ソリッドなギターのストロークが炸裂。切れ味鋭い音に乗せ始まった「火傷」に刺激され、場内から無数の手が舞台へ向かって伸びてゆく。求める想いへ、さらに沸き上がる高揚を返そうとcinema staffは「返して」を演奏。疾走する楽曲を通し、互いに求め合う光景がそこには生まれていた。

 中盤のブロックには、ミドルメロウな曲たちを演奏。優しく語るように歌い演奏した「daybreak syndrome」。ゆったり始まりながら、次第に速度と熱を上げてゆく『青写真』。助走をつけ走りだした演奏に合わせ、雨も強まりだしたのは、彼らの演奏に雲も刺激を受けたから? メロウな表情を演って優しく歌いかけた「小さな食卓」。そしてふたたび、爆発寸前の感情まで気持ちを高めようと「君になりたい」を演奏。辻に至っては、昂る感情のまま寝っ転がりギターを演奏していたくらいだ。

撮影=ヤオタケシ

 メンバーの故郷である岐阜県への望郷の想いを形にした「望郷」は、心へ雄大な景観を描き出すスケールの大きな楽曲。飯田が想いを馳せるように歌を届けてきた姿が、とても印象深かった。続く「salvage me」でも、ゆったりとした演奏の中へ破裂したい衝動を覚えずにいれなかった。その衝動を、輝く光に変え撒き散らすように「希望の残骸」を演奏。さぁ、ここからまた一気にスパークの時間だ。

 ライブも終盤戦へ。スリリングでハードエッジな演奏が炸裂、アグレッシブに攻めたてる「great escape」が強烈な刺激を身体中へ突き刺した。騒ぎたい、いや、騒がずにいれるわけがない。

 テンション高く、激しく掻き鳴らすギターの音に刺激を受け、会場中から無数の手が空高く掲げられてゆく。疾走する「エゴ」の演奏と重なるように、気持ちもどんどん理性を壊してゆく。唸る三島のベースのフレーズから幕を開けた「pulse」でも、ヒステリックでハードな演奏が炸裂。魂揺れる興奮が止まらない。そんな昂った気持ちを、歌心を持った「シャドウ」が、身体を揺さぶりながらも熱を持って包み込んでいった。

撮影=ヤオタケシ

 「僕らの音楽は届いてますか? 僕らがここに立てたことに対しみなさんへ感謝していれば、みんなの心にも深く残るものを返したいと思っています。あなたの何かが変わって、何かが始まるように。次に、僕らの始まりの曲を演奏します」

 届けたのが、cinema staffという存在を初めて見知らぬ人たちへ強く印象づけ、今へ至る道を描くきっかけとなった「AIMAI VISION」だ。鉛のような強固な感情が、ソリッドな演奏を通し心地好く舞い上がっていく。そんな感覚がとても気持ちいいじゃない。

 「僕らは岐阜県から来ましたcinema staffです。またどこかでお会いしましょう」。これまでに場内へ生まれ、渦巻いたいろんな感情を一気にゴクリと飲み込むように、最後に「僕たち」を演奏。誰もが大きなうねりの中へ心地好く堕ちていた。それが、たまらなく快感だった。

撮影=ヤオタケシ

 「今日のライブは万感です」と語ったのはドラムの久野。アンコールでは、会場中の人たちと一緒に<ララララーララ〜♪>と歌のやり取りを交わした「exp」を演奏。互いに一つに溶け合ってゆくその感覚が、たまらなく嬉しかった。最期の最期にぶつけた「GATE」を通し、cinema staffは会場中の人たちの心を熱狂のうねり中へ巻き込みながら、この日のライブの幕を閉じていった。

 ライブが終盤へ近づく頃には小雨も止みだし、ライブが終わる頃にはすっかり雨は止んでいた。これも、cinema staffとファンたちが、夜空の雨を熱狂の嬉し涙としてすべて心の中へ吸い込んだから…と、あえて気取った書き方で、ここはシメておこう。

 この日のライブの模様は、来年2月21日にLIVE DVDとして発売になる。この日観れなかった人たちは、この映像が届く日を待ちわびていて欲しい。同じく来年2月には、東名阪を舞台に1stフルアルバム『cinema staff』、1stEP『into the green』、1stミニアルバム『SALVAGE YOU』へ収録した楽曲のみで構成するコンセプトライブ『前衛回顧主義 part2』もおこなわれる。こちらも、今から心ワクワクしながら楽しみにしていてくれ。

撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ
撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ 撮影=ヤオタケシ