タイ首都バンコクのレストラン「インセクツ・イン・ザ・バックヤード」のメニューの一つ、魚のフィレのハアリ添え(2017年8月15日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】タイの首都バンコク(Bangkok)のシックなレストランで、未知への挑戦をいとわない食通らが舌鼓を打っているというメニューを紹介しよう。ゴカイをあえたスイカのサラダ、カイコ入りチェリートマトサルサを添えたナチョス、コオロギ粉のパスタ──。この店では、虫をベースにした料理を提供している。

 タイでは昔から農民が、タンパク質を豊富に含む虫をおやつ代わりに好んで食べてきた。ただ階級格差が根強いこの国では、虫は「貧者の食べ物」というネガティブなイメージで捉えられることが多かった。

 ところが持続可能性という世界の食の最新トレンドにバンコクの美食家らも注目するようになり、高級レストランのメニューにも虫たちがはい上がってきた。

 虫をテーマにしたバンコク初の高級ディナーを誇るとうたうレストラン「インセクツ・イン・ザ・バックヤード(Insects in the Backyard、裏庭の虫の意)」を最近訪れた、化粧品業界で働くラッタ・ブッサコーンヌン(Ratta Bussakornnun)さん(27)は、テーブルに着いた当初は半信半疑だったと認めた。

 ラッタさんいわく、裕福なタイ人の多くが、虫は「食欲をそそらないし汚い」と思っている。しかし食事が終わる頃にはすっかり気に入ってしまったという。

 静かなジャズが流れるほの暗い店内でラッタさんは、「ゴカイをトッピングしたホタテと、魚のフィレのアリの卵ソース添えを今食べたんですが、おいしかったです」と笑顔で語った。「盛り付けもきれいで、洗練された印象を受けます」

■美食トレンドを超えた可能性

 レストランの共同創業者でカナダ人のレーガン・スズキ・パイロマハキ(Regan Suzuki Pairojmahakij)氏は、単なる美食トレンドを超え、人口が増え続け肉食に偏る世界にとっての万能薬となり得るのが虫だと語る。

 かつて辺地の集落を支援する非政府組織(NGO)で働いていたというパイロマハキ氏は、「気候変動と天然資源管理の分野に長年携わってきました。仕事の大部分は、持続可能なタンパク源、食料、供給チェーンを探すことでした」と話し、関わった地域の多くで虫が料理に採り入れられていたと明かした。

 厨房(ちゅうぼう)に立つティティワット・タントラガーン(Thitiwat Tantragarn)シェフは、最も大事なのは風味をうまく生かすことだと考えている。「タガメの身はカニに似た食感。だからラビオリに使っている」と熱っぽく語った。

 アリの卵もシェフが気に入っている食材の一つだ。「酸味があり、魚臭さを消す効果がある」として、魚に添えることが多いという。

「バランスと調和が取れたメニューを心掛けている」というティティワット氏はこう話している。「お客様の見方を変えるのが私の狙い。虫は食べられるしおいしい。気持ち悪いものではないんです」
【翻訳編集】AFPBB News