女性参加者を集められるかどうかが成功のカギ

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 50歳までに一度も結婚していない人の割合「生涯未婚率」は男性で23%、女性14%(15年調査)で、増加の一途をたどっている。この深刻な社会問題に朝日新聞が正面から立ち向かった。11月から40歳以上のシングルに出会いの場を提供するサービス「Meeting Terrace」を始めるという。このビジネスを発案したのは同社の4年目社員、25歳の井原成美氏だ。

 同氏のアイデアの原点となったのは、大学時代にアルバイトをしていたファミリーレストランだった。毎日のように同じ時間に来店していた60代男性が妻を亡くし、子供が独立して孤独な日々を送っていたことを知ったことがずっと心に残っており、今回のビジネス発案に繋がったという。

 今回の新規事業について、社内では賛否両論あるようだ。30代の若手記者は、「朝日がやるからこそ面白い」と好意的だ。

「新聞社も新聞だけ作って売ればいいという時代ではない。新しい試みは歓迎です。今回のサービスを行なうメディアラボからは『新規事業のアイデアがあったら送ってください』という全社メールがよく届くので、僕も一度企画を出してみようかと思う」

 一方で50代のベテラン記者は苦い顔だ。

「新聞が売れないからって何でもかんでも手を出せばいいわけじゃない。新聞社だから安心というけれど、新聞の信頼の根幹はやはり記事によって培われるもの。朝日ブランドを利用して“婚活”をビジネスにするのには抵抗感がある」

 異業種からの“黒船来航”に同業他社は警戒を隠さない。独身中高年を対象に都内最大規模の出会いパーティを行なう三幸倶楽部代表の越川玄氏が話す。

「新聞という強力な宣伝媒体があるのは大きな強みでしょう。我々が新聞に全面広告を打つなんてなかなかできるものじゃない。このビジネスで最も苦労するのは女性の参加者を集めること。男女の参加比が5対1というケースも珍しくない。そんな中、強気な会費設定が吉と出るか凶と出るか。興味深く見ています」

『「婚活」時代』などの著者で、「婚活ブーム」の火付け役となったジャーナリストの白河桃子氏は「業界に与えるインパクトは大きい」と指摘する。

「朝日新聞のブランド力は大きく、集客力は高いでしょう。これまでの“出会い”を強調した婚活パーティに抵抗のある40代の女性が大挙しておしかける可能性もある」

 ただし、男女の出会いを取り扱うゆえのリスクもある。井原氏は「事前審査の厳しさ」を強調したが、恋人がいることを伏せて参加したり、書類などを偽造して審査をすり抜けようとする参加者がゼロとは限らない。出会いビジネスにそのようなリスクがつきまとうことは、朝日新聞も度々報じている。

 朝日新聞の2017年3月期の有価証券報告書によれば、朝刊発行部数は前年同期比4%減、営業利益も前期比4割減の70億円となっている。本業が先細りするなか、この“副業”は、新たな光明となるのだろうか。

※週刊ポスト2017年10月27日号