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筆者がCEATEC JAPANに足を運んだ際、必ずチェックするのが国立研究開発法人情報通信研究機構、通称「NICT」のブースだ。NICTで研究・開発された多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」などは、既に触れたことがある読者も多いのではないだろうか。先端のテクノロジーを我々の身近なモノにしてくれるNICTの展示は、毎回「この技術を応用すればこんな未来がやってくるかも」「社会実装されたらこの業界で働く人々に多くのメリットがありそう」など、ワクワクさせてくれる。

まずピックアップするのが、NICT内においてAIや脳情報通信分野を研究しているユニバーサルコミュニケーション研究所のデータ駆動知能システム研究センターによる研究成果の一端より、大規模自然言語処理による社会知の解析だ。デモンストレーションとして展示されていた「WISDOM X(ウィズダム エックス)」は、既に一般に広く公開されており、触れたことのある方もいるかもしれない。

WISDOM Xは約40億以上に及ぶWebサイトより情報の深部まで意味を分析し、例えば「なぜ地球温暖化が起こるのか?」「地球温暖化が進むとどうなる?」といった質問に回答してくれるというもの。質問の意味を理解し、世に公開されているWebサイトの情報から「こう述べられている文献があります」とサジェストしてくれる。ひとつの疑問・質問に対して横断的な回答が得られるため、通常の検索エンジンでは得がたい情報に容易に辿り着くことができるのは非常に利便性が高い。

他にも、このWISDOM Xをベースとしてまるで雑談をするかのように知識やトピックを例示してくれる「WEKDA」も実際に触れることができた。比較的砕けた表現で話し掛けても高い精度でその意味を理解し、会話の流れに沿った返答をしてくれた。WISDOM Xが網羅的に例示してくれるのに対して、WEKDAは平易な言葉に咀嚼して会話のセンテンスとして例示してくれる。高い音声認識技術・自然言語意味理解力、そこから最適と思われる解を様々な形でアウトプットするこれらの技術は、IoT分野はもちろん観光等のサービス分野、教育分野などでも応用が可能だろう。

次にピックアップするのが脳情報通信融合研究センター(CiNet)のウェアラブル脳波計だ。脳波の精密検査などを受けたことがある方はおわかりだと思うが、脳波測定のため頭部に電極を取り付ける際に塗布する導電性ジェルが非常にべたつくため洗い流すのに苦労するのだが、そういった既存の問題点を克服するべく開発されたもの。非常にコンパクトでフレキシブルな電極や手のひらサイズの脳波計では、脳波の状態から例えばドライバーやパイロットが操縦に集中できているか推定する、といった目標の実現に向けて日夜研究が続けられているという。また、日本人が苦手とされている「L」と「R」の聞き分けについても、じつは脳はしっかりその差を検出しており、脳波ニューロフィードバックで正答率を向上させることも可能だという。応用が進むことで、ひょっとしたら教育の現場に脳波計が組み込まれたデバイスが広く一般的に用いられる、という未来がやってくるかもしれない。

未来を予感させるNICTの様々な研究成果。国内ナショナルメーカーもその翻訳エンジンとして利活用している「VoiceTra」の基幹技術のように、その企業独自の視点や切り口で新たなサービスやソリューションに組み込み、ビジネスを加速するブースターとなってくれることだろう。