これまで「たくさんの種類の野菜や果物を採ることは身体に良い」とされてきましたが、最近はある理由から野菜も果物も食べない人が増えているそうです。 今回のメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』では、「果物の糖分が糖尿病に悪影響を及ぼす」「野菜や果物は日持ちしない」といった根も葉もない噂について、現役医師の徳田先生が医学的見地から反論しています。

なぜ人々は野菜と果物を買わないのか?

野菜と果物をよく食べると健康に良い。毎日、たくさんの種類の野菜と果物を食べましょう。これらは昔からよく言われていることですね。生活習慣病の予防のガイドラインのなかで食事療法の項目をみても、必ず野菜と果物をよく食べましょうと書かれています。

しかし、実際にスーパーなどで買い物をしている人々の買い物カゴの中をチラッと覗いてみても、それほど野菜と果物が買われていない印象があります。野菜と果物のコーナーはたいていスーパーの入り口付近に設置されているのにもかかわらず、です。

ではなぜ人々は野菜と果物を買わないそして食べないのか? 今回はその理由とそれが医学的にただしいのかについて検証してみましょう。まず、果物には糖分が多く含まれているので糖尿病やその予備軍の人たちの体にはよくない、という意見をよく聞きます。本当にそうでしょうか?

果物の糖分は身体に良い

果物には確かに糖分が含まれています。でもその糖は自然糖です。身体によくないのは人工的に付加された糖分であり、加工糖です。自然糖を含む果物を多く摂る人は糖尿病のリスクが低いという研究結果が出ています。また、糖尿病だけではありません。果物を多く摂る人は、高血圧症のリスクも低く、心臓や脳の血管の病気に罹りにくくなります。

最近はブドウ糖指数(Glycemic Index: GI)で食品を選ぶ人もいると思います。スイカやブドウのブドウ糖指数(Glycemic Index: GI)は高いので糖尿病やその予備軍の人たちの体にはよくない、という意見もよく聞きます。

実は、血液中のブドウ糖が上がるかどうかの影響についてみるときにブドウ糖指数より正確なのはブドウ糖負荷量(Glycemic Load: GL)です。ブドウ糖負荷量は、炭水化物の量とそれを摂ったときの血糖を上げる程度を掛け合わせたものです。

実際、スイカやブドウに含まれている炭水化物の量は少なめです。つまりスイカやブドウのGLは低いのです。一般的に、丸々一個のフレッシュな果物または丸々一個の冷凍の果物のGLは低いのです。

丸々一個の果物は食事のアンカーでもあります。実際、丸々一個の果物は、消化と吸収に時間がかかりますので、わたしたちの旺盛な食欲を満たしてくれます。誰でもリンゴ1個を食べてみたことがあると思います。一個のリンゴには自然糖、ファイバー、ビタミン、アンチオキシダント、そして水分が多く含まれています。大きめのサイズのリンゴならお腹が一杯になりますよね。

一方で、ケーキやキャンディー、そして清涼飲料水などの砂糖が添加された加工食品ではどうでしょうか? 消化と吸収が素早く行われるために、食欲を満たすことなく処理されるのです。

果物と野菜を長持ちさせる方法

野菜や果物はフレッシュで熟した状態で食べるのがもっとも栄養分の摂取に効果的です。

そこでまたよく聞く話が、果物と野菜は長持ちせずすぐに栄養分が失われる、というものです。しかしそれは、その果物や野菜の種類とその保存方法と期間、そして栄養分の種類にも依ります。水分が失われるとともにビタミンを失います。ほうれん草を室温で保存した場合、約4日以内にビタミンが失われます。ほうれん草は買ったら早めに食べることをオススメします。

冷蔵庫の冷蔵室で保存することで栄養分を長く持たせることができます。推奨される保存期間は種類によって異なります。イチゴの場合は1週間以内に食べると良いですが、リンゴや梨では1ヶ月程度は持たせることができます。冷凍保存で長期保存が可能な野菜には、ブロッコリーやアスパラガスなどがあります。これらの野菜では、冷凍保存中にビタミンが失われることはありません。(つづく)

文献

Muraki, I., et al. Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies. BMJ. 2013 Aug 28; 347: f5001.

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出典元:まぐまぐニュース!