マルタのビドニジャで、著名ジャーナリストのダフネ・カルアナガリチア氏の殺害に使われたとみられる車爆弾の残骸を調べる警察関係者ら(2017年10月16日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】地中海(Mediterranean Sea)の島国マルタで16日、ジョゼフ・ムスカット(Joseph Muscat)首相周辺の汚職疑惑を追及してきた著名ジャーナリストの女性(53)が、車に仕掛けられた爆弾の爆発で死亡した。

 爆殺されたのは、ダフネ・カルアナガリチア(Daphne Caruana Galizia)氏。ムスカット首相は今回の事件を「野蛮な」行為と非難し、治安当局に対して、関与した者に裁きを受けさせるため、あらゆる手を尽くすよう指示した。

 複数の目撃者によると、爆発は白昼、マルタ北部ビドニジャ(Bidnija)にあるカルアナガリチア氏の自宅近くで発生。爆発により車は原形をとどめないほど破壊され、同氏の体も近くの畑まで吹き飛ばされたという。

 地元テレビ局によると、カルアナガリチア氏は今月、脅迫を受けていると警察に訴えていた。

 殺害される数時間前に行ったブログへの投稿では、ムスカット首相の最側近であるキース・シェンブリ(Keith Schembri)首席補佐官を、政府の影響力を使って私腹を肥やしている「ペテン師」だと批判していた。

 マルタではムスカット首相の妻、ミシェル・ムスカット(Michelle Muscat)氏がパナマの銀行に隠し口座を持っていたとの疑惑が浮上。この銀行口座についてカルアナガリチア氏は、アゼルバイジャンの銀行とつながりがある同国政権の親族からマルタでの銀行免許付与の見返りとして報酬を受け取るために使われていたと主張し、スキャンダルに発展していた。

 シェンブリ首席補佐官とコンラッド・ミッツィ(Konrad Mizzi)官房長官は昨年、タックスヘイブン(租税回避地)を利用した節税実態を暴いた通称「パナマ文書(Panama Papers)」の流出により、パナマの法律事務所モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)を通じて設立されたペーパーカンパニーの所有者であることが発覚していた。しかし、首相は両氏を擁護してきた。

 首相は一連の疑惑を受けて今年6月に1年前倒しで総選挙に踏み切り、結果は自らが率いる労働党の圧勝だった。

 ムスカット首相は「カルアナガリチア氏が私を政治的、個人的に厳しく批判していたことは誰もが知っている。しかし、この野蛮な行為は決して正当化できないものだ」と述べている。

 カルアナガリチア氏には夫と3人の息子がいる。
【翻訳編集】AFPBB News