中国・上海の上海華美医療美容医院で美容整形手術を受けるチェン・ヤンさん(2017年8月22日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】店舗を経営しているチェン・ヤン(Chen Yan)さん(35)は中年になるのを恐れている。そこで友人たちと同様、この問題の解決策として美容整形にたどり着いた──今こそ新しい鼻を手に入れる時だ。

 中国では今、所得の増加や欧米の影響の拡大、ソーシャルメディアで美しさがもてはやされる風潮などから美容整形がブームとなっている。就職に有利なようにと10代の子どもに手術を受けさせる親までいる。

 チェンさんは言う。「中国では、結婚して子どもを生んだ30過ぎの女性は中年と見なされるんです」

 チェンさんは「完璧な鼻」を求めて中部湖南(Hunan)省から上海(Shanghai)の上海華美医療美容医院(Shanghai Huamei Medical Cosmetology Hospital)に出向き、5万2515元(約89万円)を支払った。

 同院は豊胸、耳形成、骨削り、陰毛の植毛、わきが手術など数々の美容整形手術を行っている。

 同院に足を踏み入れると、まるで五つ星ホテルのようにストライプのブラウスに黒いミニスカート、ハイヒールといういで立ちの女性たちにお辞儀をして出迎えられた。清潔なロビーには心地よい音楽が流れている。建物の外には、教員と学生を対象とした夏の20%割引きキャンペーンを宣伝する看板が掲げられていた。

 同院の美容外科医の李健(Li Jian)氏によると、患者の90%は16歳から70歳の女性だという。

 もっときれいになりたいという願いは、40代を境に、もっと若く見えるようになりたいという願いに変わる。最も人気があるのは小顔整形や痩身(そうしん)手術、そして鼻の整形だ。中国人女性は一般的に鼻筋がすっと通った「欧米人風」の鼻にしたがる。

 さまざまなデータを集めた人気の美容整形アプリ「SoYoung」によると、今年は前年比42%増となる1400万人の中国人が美容整形を受けると見込まれている。

■インターネットで美容整形を自慢する芸能人たち

 大学を卒業した若者たちの間では近年、ルックスが良いと、特に娯楽産業ではより有利な就職先を見つけられるという考えが一般的になっていることから、上海華美医療美容医院では特に夏が繁忙期となっている。

 16歳未満の子どもは美容整形手術を受けることができず、16歳と17歳の場合は保護者の同意が必要であるにもかかわらず、10代のうちに手術を受ける割合も増加傾向にある。

 李氏は、「ほとんどの中国人が顔や鼻は細ければ細いほど美しいと考えている」と語る。自撮りするときにもっときれいに写りたいという思いから、欧米人に近付けた顔になりたがる人もいるとして、「美容外科医として言わせてもらえば、そういう顔が美しいとは思えない。少なくとも中国風ではない。だから私はそうした考えを持つ大勢の女性たちの依頼を断っている」と続けた。

 中部河南(Henan)省出身の孫一氷(Sun Yibing)さん(22)は17歳のときに初めて美容整形を受けた。それからさらに12回の手術を受け、今ではちょっとした有名人だ。

 孫さんは容姿と体重を理由に学校でいじめられ、美容整形手術を受けて大きな目、すっと通った鼻、とがった顎のラインを手に入れた。しかし容姿が変わるとともに、美容整形に対する考え方も変化したという。

 孫さんはAFPに対し、「美容整形依存症になってしまい、自分に満足できなくなってしまった。他の人が美容整形することに反対はしないけど、誰かになるのではなく、自分のままでいるべき」と語った。

 孫さんは、中国で美容整形が過熱化した責任はインターネット上で有名になった二流の有名人たちにあると話す。彼らはライブ配信で歌ったり踊ったりするだけではなく、自身が受けた美容整形手術についても自慢することが多いからだ。

 一方で孫さんは、ブームに便乗して目先の利益を得ようと、技術が未熟な悪徳外科医が美容整形業界に増えてくるのではないかと危惧していた。「数年前までは世の中がまだ美容整形に対して保守的だったのに」

■「女性は何歳になっても、もっと美しくあるべき」

 上海華美医療美容医院の待合室では、両目に包帯を巻いた女性患者の姿も見られた。

 チェンさんはすでに簡単な隆鼻術とまぶたの二重整形手術を受けていた。欧米人らしく見える二重整形は中国でもトップクラスの人気を誇る美容整形の一つだ。

 チェンさんは手術の後、病院側から顎のラインを細くするために骨を削る手術を受けることを勧められた。しかし、そうした手術には感染症や顔面まひなどの合併症が起こる可能性がある。

 骨を削る手術を受けるかどうか決めかねているチェンさんは、「私はもっときれいになりたいだけ」と語った。

「女性は何歳になっても、もっともっと美しくあるべきです」
【翻訳編集】AFPBB News