OB・OG訪問が「次」につながる人、つながらない人の差はどこにあるのでしょうか(写真 : kikuo / PIXTA)

サマーインターンが終了し、これからいよいよ本格化する大学3年生の「OB・OG訪問」は、まさに「就職活動」の第2章の開幕だ。
昨年までと様変わりしている就活環境の中、OB・OG訪問が真に就活に役立つ人がいる一方、残念ながらOB・OG訪問が「OB・OGとの接触経験」にとどまり、さほど役立たない人もいる。両者の違いはどこにあるのだろうか。
1000社を超える企業への採用活動支援、一部上場企業の採用責任者、1000人を超える学生への就活支援の実績を基に『新卒採用基準――面接官はここを見ている』を上梓した廣瀬泰幸氏に、OB・OG訪問が「次」につながらない学生の特徴を語ってもらった。

この時期の「OB・OG訪問」の重要性


10月に入り、業界・企業情報を知るにつれ、そろそろ本格的に自分の就職先を考える時期に来ています。この時期に学生が行う「OB・OG訪問」は、志望企業を絞り込んだり、志望理由を考えたりするうえで欠かせない活動です。

一方、企業にとってはOB・OGによる学生との接触は、「早期に採用母集団を確保する」という意味合いがあります。実際、生の情報を収集するだけではなく、OB・OGからいい評価を得て、早期選考ルートの候補者にエントリーされるチャンスを獲得する学生も出てくる時期です。

せっかくOB・OG訪問を行うのですから、できれば早期選考ルートにも乗りたいというのが、多くの学生の本音ではないでしょうか。

そこで本コラムでは、「OB・OG訪問で、好感を持たれる人、持たれない人」の違いを解説しましょう。

OB・OG訪問で好感を持たれない人には、大きく分けて3つの特徴があります。

OB・OG訪問で、好感を持たれない3特徴

特徴1:事前に聞くべきことを整理していない

OB・OG訪問の最大の目的は、集団での説明会やインターン、ナビサイト、個別企業のHP、ネットで配信された個別企業の最近のトピックスなどではわからないことを聞くことです。もしくは、公開情報をインプットしたうえで自分なりに浮かんだ疑問を解消することです。

当然のことですが、事前に知りうる情報を知らずにOB・OG訪問に臨めば、相手は「そんな基本的なことを知らないで、OB・OG訪問をしないでほしい」「そんなことは調べてきてほしい」という気持ちになります。逆に、ある程度の下調べをしたうえで質問を用意して臨めば、「よく調べているね」「よくぞ聞いてくれました」となります。

企業は、〕念や大切にしている価値観、∪鑪や他社との差別化・独自性、仕事内容、ど土や人的管理の4つの側面から見ることができます。そのため、事前にこれら4つの視点で企業の情報をインプットし、それに基づいた質問を用意していくべきです。

実際に私は、リクルートやリンクアンドモチベーションで仕事を長くしてきたため、両社についての質問を受けることが多いのですが、特に「仕事内容」はHPを見ただけではわからないものです。そのため、概略は理解したうえで仕事内容について深く質問してくれる学生には好感を持ちますが、基本的なことを聞いてくる学生には、「調べたの?」と言いたくなってしまいます

こうした理由から、事前に下調べをしないでOB・OG訪問に臨む学生は、好感を持たれないことになります。

特徴2:相手の状況や気持ちに対する配慮に欠ける

OB・OG訪問は、相手がどんな人であれ、自分からお願いして、相手に貴重な時間を割いていただくことになります。また、OB・OG訪問は、こちらから質問する場です。

ところが、残念ながらそうした基本的なことをわきまえていない学生が少なくありません。約束した時間に遅れる人、相手がどの程度の時間を割いてくれるのかを確認しない人、話している最中の相手の顔色や反応に無頓着な人です。また、あらかじめ質問を準備していないために、質問そのものが少ない人、相手の話を遮ったり一方的に自分の聞きたいことだけを聞こうとする人もいます。

私は就活コーチを始めて、これまで500人以上の学生にOB・OG訪問のトレーニングをしてきました。その中では「相手の状況や気持ちに配慮しなさい」と、口を酸っぱくして言っています。

しかし、私がOB・OG役になるトレーニングでは時間を45分と区切っているのですが、多くの学生は時間を気にしません。

また、メモをとることに終始し、私の反応や気持ちに無頓着な学生も多いです。時折、「その質問に対して、私がどんな気持ちになったと思う?」「私が伝えたかったことの背景や理由を言ってみて」といったやり取りを行っているのですが、そうした質問に的確に答えを返してくれる学生は、決して多くはありません。感覚的には、8人に1人くらいでしょうか。

相手の状況や気持ちに配慮した対応ができる人は好感を持たれ、そうでない人が好感を持たれないのは、ある意味、当然のことだといえるでしょう。

それは「会話」であると自覚していますか?

特徴3:ツーウェーのコミュニケーションが円滑にできない

OB・OG訪問は、学生の側から相手に質問する場です。しかしそれは、あらかじめ用意した質問に対して、相手に答えてもらうだけの場ではありません。相手が話してくれた内容に基づいて、さらに自分なりの質問をその場で考え、質問する場です。

つまり、OB・OG訪問とは、ツーウェーで「会話」を深めていく場なのです。

ところが、そうしたツーウェーのコミュニケーションが円滑にできない学生が少なくありません。多くの学生は、質問に対してひとつの答えをもらうと、それで満足してしまい、すぐに次の質問を切り出してしまいます

通常、質問に対する答えは「事実」に関するものが多く、その事実に至った理由や背景は語られないものです。そのため、「どうして、そうなのですか」「それに対して、〇〇さんはどうお考えなのでしょうか」のように、理由や背景を問う習慣がないと、コミュニケーションを円滑に行ったり、話を深めたりすることはできないものです。

さらに、ツーウェーのコミュニケーションでは、質問するだけでなく、自分の考えや気持ちを相手に伝えることも大切です。コミュニケーションには「相互理解」が不可欠だからです。

そのため、ツーウェーで背景や理由を質問できる人や、自分の考え・気持ちを相手に伝える人は好感を持たれ、そうでない人は好感を持たれないことになります。

OB・OG訪問で好感を持たれる3つの対策

では、好感を持たれるためには何が必要でしょうか。3つの視点から「対策」をご説明します。

対策1:「仕事のリアル」に踏み込む質問を用意する

OB・OG訪問の目的は前に述べたとおりですが、さまざまな情報をインプットしたとしても、直接、会社で働いている人に聞いてみないとわからないことは多いものです。

その筆頭が、「リアルな仕事の内容」です。仕事の中身を分解すると、「誰(組織や人)」に対して、「何(商品やサービス)」を、「どのように」、「誰(個人orチームや体制で)」が、「どこ(場所)」で行うのかを明確にする必要があります。また、どんな時間軸で仕事をしているのか、自分が発揮できる価値はどんな点なのかも大切になります。

さらに、ある仕事をしながら、同時並行的にどんな仕事をしているか、チームでの仕事の場合には、お会いいただいた方以外の人がどんな仕事をしているかも大切になります。一言で「仕事の内容」といっても、こうした多様な面は、採用HPには詳しく書かれていないものです。

よく、学生の方々は、こうした事実を知ろうとしないで、「仕事のやりがいは何ですか」という漠然とした質問をします。しかし、話す当事者にとってみれば、やりがいとは前述のような仕事の中身そのものが前提となって成立するものです。ですから、前提となる「仕事のリアル」を理解する質問をしてほしいのです。

対策2:自分に近い人から遠い人へと訪問する

初めてOB・OG訪問する人には、私はまず「内定者を含む身近なOB・OGを訪問すること」をおすすめしています。その方を相手に、基本的な情報を聞き出してください。

OB・OG訪問の対象者は、大きく分けて3種類の人に分かれます。自分のことを知っていてくれている人、所属組織と縁があるものの自分との接点がない人、今までは縁もゆかりもない人です。当然のことながら、こうした関係性の違いによって、するべき質問は変わります。

さらに、相手が好意で自分のために時間を割いてくれるのか、それとも仕事の一貫として時間を割いてくれるのかによっても、聞いていいことと聞かないほうがいいことが違ってきます。

つまり、縦軸に「今までの人間関係」、横軸に「好意か仕事か」をとって表を作成すると、OB・OGは6種類に分類することができます。

当然のことながら、自分をよく知っていてくれて、好意で会っていただけるOB・OGには、どんなことを聞いてもかまいません。できれば、会社や仕事の詳しいリアリティ、待遇、離職率、ジョブローテーション、昇進・昇格ルールについて聞くことをおすすめします。

他方、たとえば自分をまったく知らない人で、かつ仕事として訪問を受けてくれたOB・OGには、聞くべきことも慎重に吟味して臨むべきです。こうした人の中には、学生の評価を人事部に報告する義務を負っている方も少なくないからです。

さらに言うと、「相手の状況や気持ちに配慮する」ためには、それなりの経験が必要になります。まず、身近な先輩からアプローチして、言い方は悪いですが「練習相手」になってもらうのが効果的です。

2種類の質問とあいづちを使いこなそう

対策3:クローズ質問とオープン質問、あいづちを駆使する

OB・OG訪問では、お会いしていただいた方に、気持ちよく話をしていただくことが求められています。それは、好意で会っていただく方には当然ですが、仕事として会っていただく場合でも共通です。

そのためには、まず、「クローズ質問」「オープン質問」の2種類を使い分けることが大切です。

クローズ質問とは、「はい、いいえ」で答えられたり、誰が、いつ、どこで、何を、どのようにしているかなど、事実・現状・行動を聞く質問です。相手は、あまり考えないで答えられます。

それに対して、オープン質問は、そういった事実や現状・行動の背景にある理由や価値基準に関する質問です。相手は、考えてから質問に答えてくれることになります。

たとえば「先輩は、今どんな仕事をされているのですか」という質問は、クローズ質問です。「どうしてその仕事をされるようになったのですか」という質問はオープン質問です。両者の質問を意識して使いこなせるようになると、会話が深まるだけでなく、充実したツーウェーのコミュニケーションになります。

また、相手の話をただうなずいて聞いているだけでは、気持ちが伝わりにくいものです。

「知らなかったです」「すごいですね」「そうなんですか」「多角的に物事を考えると、そうなるのですね」「僭越ながら、私も同感です」などのあいづち(一言感想)を入れると、相手の人は格段と話しやすくなります。

ほかには、「先輩のおっしゃりたいことは、〇〇ですね」と要約して自分が理解していることを伝えたり、「それは、××の点でも同じですね」と関連していることを話して話題を展開させることができると、コミュニケーションは格段に楽しくなります。

いずれにしても、OB・OG訪問では、先輩の話を聞きながら、相手に敬意を払い、深く、楽しいツーウェーコミュニケーションをはかることが大切です。現状ではそうしたコミュニケーションが苦手な人は、練習してからOB・OG訪問を行うことをおすすめします。