写真/PIXTA

写真拡大 (全5枚)

これからマンションの購入を考えている人や、別のマンション・アパートへの住み替えを検討している人は、物件の詳細はもちろん、ご近所付き合いに関しても気になるのではないでしょうか。集合住宅では、それほどご近所付き合いをしていないイメージがありますが、実際のところはどうなのか、賃貸と持ち家で違いはあるのか、ズバリ調査してみました。これから購入・住み替えを考えている人は必見です!

「住人同士で交流がある」は賃貸で2割、持ち家だと4割という結果に

マンションやアパートに住むとき、部屋の住み心地はもちろん、同じ階に住む人や子どもがいる家庭同士の交流、通勤時間が同じ人との挨拶(あいさつ)など、住人との付き合い方も気になりますよね。

賃貸と持ち家で比較すると、交流がある人は賃貸住宅では22.3%(「よく交流がある」「ときどき交流がある」「たまに交流がある」を含める。以下同)、持ち家では42.6%で、購入した人は簡単に住み替えをすることができないため、賃貸で住んでいる人よりも近所付き合いを大切にしている様子が分かります。

また、「交流がある人」を子どもがいる人といない人で比較すると、子どもがいない人では14.0%、中学生以下の子どもがいる人は44.5%でした。子どもがいると、保育園や幼稚園、小学校が同じだったり、生活のサイクルが同じ人同士がエントランスや自転車置き場などで会うことが増え、自然と会話が増えるのでしょう。また、子ども同士が遊ぶことで深いつながりも出てくるのかもしれません。

【画像1】「全く交流がない」は、持ち家だと19.9%だが、賃貸だと45.1%もいた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「交流がある」という人に、実際にどのような交流があるのか聞いてみました。

【賃貸】
・挨拶程度(男性・26歳)
・同じ階の方と旅行のお土産を渡したり、お裾分けをいただいたりする(女性・32歳)
・キャンプや花見に行く(女性・44歳)
・外で会えば世間話をしたり、子どもと年の近い子がいるお隣さんとは家の周りで遊んだり。一緒に出かけることもある(女性・23歳)

【持ち家】
・子ども同士が学校に一緒に登校している(男性・38歳)
・自治会や管理組合の会合がある。妻や子どものお友達との飲み会や、遊びの面倒をみている(男性・45歳)
・犬の散歩をさせながら、会話をし、交流している(男性・47歳)
・ゴミ回収の日に、ごみ置き場で顔を合わせるとよくしゃべる(女性・42歳)

男性、女性ともに、旅行のお土産のやりとりをはじめ、管理組合の集まりで会ったり、子どもやペットなど共通の話題がある人と会話することが増え、飲み会やキャンプを開催するなど、つながりが深くなる人が多いようです。

「挨拶程度の適度な距離感」に「満足している」が8割以上

次に、近隣の住人とのかかわり方で、現状に満足しているか聞いたところ、賃貸も持ち家も「満足している」「どちらかといえば満足している」を合わせると8割を超え、現状に不満をもっている人は少ないようです。

「満足している」「どちらかといえば満足している」人の理由としては、「顔を合わせたら挨拶する程度の適度な距離感で付き合うのがちょうどよい(賃貸)」「付かず離れずくらいのほどほどの距離で、ストレスがあまりない(賃貸)」「顔を合わせたら挨拶、時間に余裕があれば軽く話す。適度な距離感(持ち家)」など。もちろん、「住んでいる棟みんな仲がいいから居心地がいい!(賃貸)」「子育てについていろいろ話せる(持ち家)」という“ご近所付き合い積極派”もいて、それぞれの価値観で満足をしているようです。

「満足していない」「どちらかというと満足していない」人は少数ですが、「顔を合わせたら挨拶をする程度なので、もう少しコミュニケーションがとれればと思う(賃貸)」「隣の人の顔もよく分からないので、もう少し交流をもちたい(賃貸)」「災害のときなどに心細い(持ち家)」と思っているようです。ただ、「挨拶をしてもあまり反応がない(賃貸)」「子どもがいる人たちはママ同士で仲良くなる機会があるが、夫婦だけだと知りあう機会がない(持ち家)」「自治会費を払って地域の方々と交流をしたいが、方法が分からない(賃貸)」など、距離を縮めることができず、満足のいく近所付き合いができていない様子でした。

【画像2】賃貸、持ち家にかかわらず「満足していない」「どちらかといえば満足していない」は少数派(出典/SUUMOジャーナル編集部)

賃貸も持ち家も、「防犯や防災の面で安心」なので「住人同士の交流が必要」とする人が8割以上

最後に、同じマンション・アパート内で、住人同士の交流は必要かどうかですが、「必要だと思う」は賃貸が29.2%、持ち家は39.7%で、持ち家のほうがご近所付き合いを必要だと思っていることが分かります。
一方、「必要ないと思う」は賃貸が25.4%、持ち家が23.5%、「どちらとも言えない」は賃貸が45.5%、持ち家が36.8%でした。

「必要だと思う」理由は、「防犯や防災の面で安心」(賃貸:80.5%)(持ち家:88.9%)が最も多く、「近隣トラブルの防止につながる」(賃貸:58.4%)(持ち家:63.0%)が続き、賃貸も持ち家も同じくランキングではトップの回答となりました。

【画像3】防犯、防災の面のほか、近隣トラブル防止を考慮する人も(出典/SUUMOジャーナル編集部)

一方、「必要ないと思う」理由も、「あまり干渉されたくないから」が賃貸・持ち家ともにトップ(賃貸:79.1%)(持ち家:71.9%)、2位も賃貸・持ち家ともに「近所付き合いが苦手だから」(賃貸:44.8%)(持ち家:37.5%)でした。

【画像4】「干渉されたくない」が賃貸・持ち家ともに、ご近所付き合いを必要と思わない理由のトップに(出典/SUUMOジャーナル編集部)

今回の結果では、マンションやアパートなど集合住宅に住む人は、ご近所付き合いに対して消極派が多いことが分かりました。賃貸、持ち家ともに「適度な距離感」がちょうどいいとして、現状に満足している人が多数でした。しかしそのなかでも、持ち家の場合には、住人同士の交流が必要だと思っている率が高いようです。
集合住宅の規模にもよりますが、入居者の数も多く、それぞれの価値観も多様です。お互いの価値観を尊重しながら、快適なマンション・アパートライフを過ごしたいものですね。

●調査概要
・[ご近所付き合いに関するアンケート]より
・調査期間 2017年9月20日〜21日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国の集合住宅にお住まいの20〜49歳の既婚者
・有効回答数:男女400名(子どもがいない男性100名、子どもがいない女性100名、中学生以下の子どもがいる男性100名、中学生以下の子どもがいる女性100名)●関連記事
ご近所調査[2] あなたは大丈夫?マンション・アパートで非常識だと思われるのはこんな行動
・ご近所調査[3] 住んでいるマンション・アパート内で住人トラブルがあった人は10人に1人!
(荒川 文乃)