「明日の約束」が10月17日(火)よりスタート/(C)カンテレ

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この仕事をしていると、“締め切り”という言葉が怖くて仕方ない。

【写真を見る】仲間由紀恵が静かなトーンながら、すさまじいオーラを放つ! /(C)カンテレ

例えば取材をしたときなど、その時点では「締め切りに間に合うように余裕を持ってやろう!」と思っていたしても、一夜明かすともう、ギリギリのラインを逆算して動いている自分がいる。悪い子ですね。子って年でもないが…。

明日からちゃんとやることを約束します! でも、たぶん明日になったら忘れていることでしょう。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回はそんな怠惰な筆者を戒めるようなタイトルの(?)、10月17日(火)スタートの井上真央主演ドラマ「明日の約束」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジ系※初回は夜9:00-10:14)を取り上げる。

同ドラマは、井上演じる高校のスクールカウンセラー・藍沢日向が、ある不登校の男子生徒の不可解な死の原因を究明していくヒューマン・ミステリー。

“毒親”ともいえる過干渉な母親とのいびつな関係に悩んで育ってきた日向は、生徒の死からさまざまな問題と向き合い、人の心の闇と対峙(たいじ)していく中で、日向なりの“親子のカタチ”を導き出していく。

第1話では、不登校が続く1年生の吉岡圭吾(遠藤健慎)のことが気になる日向は、クラス担任の霧島直樹(及川光博)と家庭訪問することに。

母・真紀子(仲間由紀恵)と共に2人を出迎えた圭吾は一見元気そうだったが、日向には自分たちの前で決して笑顔を崩さない圭吾の様子が気にかかる。やがて真紀子は一枚の診断書を取り出し、イジメが原因で圭吾が“軽い鬱(うつ)”を患っていると、イジメに気付かなかった学校側の対応を非難。

しかし日向は、原因は学校だけでなく、真紀子にもあるのではないかと疑う。

そんな中、2年生のバスケ部マネジャー・増田希美香(山口まゆ)が万引き騒ぎを起こす。同居する母・麗美(青山倫子)は、離婚後に次々と恋人を作り、希美香の誕生日当日も男性と遊んでいたため、その邪魔をしようとしたようだ。

希美香の寂しさに気付いた日向は、「思っていることを吐き出してみたら?」とアドバイスするが、その日の放課後、日向の元に「お母さん、殺しちゃった」と希美香から電話がかかってくる。

一方、霧島は圭吾のイジメについて、早速クラスメートや所属するバスケ部の顧問に聞き取り調査を行っていた。顧問は、部活内に問題はなかったと主張するが、それでも日向は部員に話を聞きたいと食い下がる。そこへ真紀子から、圭吾が家出したと連絡が入り…というストーリーだ。

■ 独断と偏見のレビュー

第1話を見たところ、冒頭のしょうもないボケとは全然違う意味の“明日の約束”。そして、映像的には明るいヒューマンドラマという雰囲気があるのだが、生徒も保護者も教師も、周りの人たちも、とてつもない闇を抱えていそうなのがすぐに分かった。

まず、不登校の生徒が元気そうに教師とカウンセラーを笑顔で出迎えるというのが、そこはかとない違和感。彼こそ前述した「明るい雰囲気で、闇を抱える」の象徴ともいえる存在だ。

不登校の生徒といえば、部屋の中に引きこもってベッドでスナック菓子を食べながらヘッドフォンでガンガン音楽を聴くとか、家族との連絡手段は紙に「メシ!」などと書くくらいで一切顔は見せないとか、荒川の土手を夜な夜なランニングするとか、あるいはリーゼントに短ランでバイクを乗り回すアクティブ系不登校か、そんなイメージしかない。

ちょっとゆがんでいるが、そんなイメージがあるせいか、本作の圭吾のようなパターンは良くも悪くも目立つ。恐らく一見話しやすそうな不登校の生徒ランキングでは近年トップクラスだろう。そんなに不登校の学生がいるドラマも最近ないかもしれないが。

主演以上に、このドラマで大きな存在感を発揮しているのが、圭吾の美しい隣人…ではなく、美しい母を演じる仲間由紀恵だろう。スマホの音声アシストサービスの声とかやっているから忘れかけていたけど、仲間といえば、一見普通に見えるものの、実は“静かな怖さ”を放つ女性の役がとてもよくハマる女優だったっけ。

そりゃ初対面の日向もすぐに「何かある」と察してしまうだろう。第1話から早速“大活躍”していたが、個人的に一番背筋が凍ったシーンは、スマホでメールを打つ圭吾を背後からじっと監視するかのように眺めるところ。その辺のB級ホラー映画よりもよっぽど怖いし、思わず「志村後ろー!」と画面にツッコんでしまったほど。

突然Twitterのトレンドに「志村後ろー!」が入ったら恐らくその場面なので、SNSをチラ見していてもすぐテレビ画面に顔を戻そう。

とまあ、冗談めかしてしまったものの、仲間演じる真紀子が自分の母親だったらと思うと、正直…パッと見、明るくて美人だからちょっとだけうれしいかもしれないけど、息苦しく感じてしまうだろう。そこが圭吾の“闇”の部分につながっているのかは、何とも言えないが、見ていくうちに明らかになるのかな。

主演の井上の役どころもいい。正直、地方の公立高校出身だとスクールカウンセラーが常駐している環境は想像ができない(というか時代的に?)が、こういう話しかけやすそうなお姉さんがいたら、悩みなんてなくてもつい立ち寄ってしまいそう。

まあ、人見知りシャイボーイとしては、そんなに気軽にお姉さんの元へ立ち寄ることはできないだろうけど。彼女と彼女の母親とのいびつな関係性も、今後、そして過去とどうなっていくのか、どうしてこうなったのか、気になるところ。仲間と対峙するシーンも、見応え十分だ。

それにしても、カンテレさん制作の連ドラは、1月期の本格復讐(ふくしゅう)劇「嘘の戦争」から始まり、4月期に激しいアクションシーンが話題の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」、7月期の“SNSの申し子”のような高視聴熱ドラマ「僕たちがやりました」と、ことしも外れナシできている。

それでも“置き”にいかず、10月期も攻めの姿勢を崩さないドラマを作っちゃうあたり、ドラマ制作に関しての自信を感じる。

単なるヒューマンドラマやキラッキラの学園ドラマとは一線を画す本作。ただでさえ寒くなってきたこの時期、ともすれば重くなってしまいそうな内容なだけに、いかにライトなスパイスを自然に振りかけられるか、制作陣の腕の見せどころだ。

そういう意味では、井頭愛海や山口まゆ、竹内愛紗、遠藤健慎、渡邉剣など、それこそ輝かしい明日を約束された次世代キャストがズラッとそろっているのは好材料。ストーリーを追うだけでなく、生徒役キャストを青田買いするのもまた良いかもしれない。

特に個人的には井頭の演技に注目。初回はまだそれほど出演シーンが多くはないものの、一瞬でも目を引くスター性がある。さすがは朝ドラで主要キャストを演じただけのことはあるし、X21の一員として大勢のメンバーの中でもまれてきただけのことはある。あの、「同世代の子なんてガキでしょ!」とでもいわんばかりの目、一見の価値ありだ。

安定のミッチーこと及川光博、爽やかイケメンの代名詞ともいうべき工藤阿須加、“時子ロス”の人はビックリしそうな佐久間由衣のキャラなど、恐らくこれから深堀りされていくだろう要素や伏線が実に多く、2クールくらいじっくり描いてほしいなとも思ってしまった。

今日の約束すらろくに守れないくせに“明日の約束”なんて守れる保証はないし、ましてやこの記事によって明日(発表)の視聴率アップなんて大それたことは約束できないが、見た後の満足度は約束できる。

約束はできるのだが、明日には筆者がその約束自体を忘れてしまうので、明日の苦情はお控えください。