熱闘全社!第3日「1人がヒーロー、皆がヒーロー」の巻

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昨日ぶりのご無沙汰です。コラムニストの籠信明(@cage_nob)です。カバー画像は南条PAのミニカツ丼+おろしそばセット。

地元のサウルコス福井がVONDS市原に衝撃的な逆転負けを喫するなど、幾つものドラマが生まれた大会ももう3回戦。

福井に集まった32チームは8つまで絞られ、ついにクライマックスへのカウントダウンが始まった!

朝起きると、天気は予報通り生憎の雨で、気温も低い。しかし、前日ほどの強風は吹いておらず、サッカーにはそれほど悪くはないと思えた。

雨具を用意し、今日は11:00開始の鈴鹿アンリミテッド対アミティエ京都を観戦するため、今大会初めて三国陸上競技場へと向かったぞ!

今回の会場で唯一陸上トラックが存在する三国は広い!そしてVIPエリアがアラビア風味だと話題だ!

(※どちらかというと祭りのテキ屋という気が)

トーナメントの表を見ると、ああここまで試合が進んできたんだなと、感慨深くもあり、すこし寂しくもあり…。

【次ページ】風が吹いている…どっちへ?

「追い風」の方向が定まらない!

いわきFCとの激戦をなんとか制し、3回戦まで駒を進めてきたアミティエ京都。

地域決勝への権利は持っていることもあり、この寒い天候の中でとにかく怪我だけは避けたいところ。入念なウォーミングアップだ。

それを間近で見ている我々アミティエサポーター。そこに強大な存在感を持つ男が!

あの、もうちょっと左に避けてくれると嬉しいんですけど…あ、無理ですか、そりゃそうですよね。すみません。申し訳ないっす。

沖縄SV、そして東京国際大学ドリームスをどちらも大量得点で下している鈴鹿。余裕のある戦いぶりだった。

一方、アミティエ京都は前日のいわきFC戦で「すごく走っていた」という。さらにPK戦という精神的に厳しい舞台も経験したわけであり、状況は対照的である。

前半風上を奪ったのはアミティエ京都。ただ、メインから向かって左前から右後ろに吹いており、強さもそれほどではない。それほど大きな影響がない風だったように見えた。

そして、前半18分に先制したのが鈴鹿アンリミテッド。エフライン・リンタロウ選手がネットを揺らした!

ペースを上げる鈴鹿は更に前半アディショナルタイムにも藤沢ネット選手が得点を追加し、ハーフタイムの段階で2-0とリードに成功する。

ビハインドとなったアミティエ京都。後半開始時には風向が逆になり、文字通り「追い風」になるかと思えたが、数分で不安定な動きに…。

しかし個々の能力が高く、コンディションもやや上回る鈴鹿が試合を優勢に進めていく。

終盤はなんとか得点を取りたいアミティエ京都の猛攻が始まるも、ペナルティエリアになかなか入らせてもらえない。

結局試合はそのまま2-0で終了の時を迎え、鈴鹿アンリミテッドが準決勝進出を決めることになった。

エリース東京との試合でも、とにかく「走力」が目立ったアミティエ京都。局所に高さと強さがありながらも走れるバランスの良さがあったが、やはり連戦の疲れが出たか。

権利持ちということで、注目されるいわきFCとの対戦に賭けていた部分もあるだろう。まあ、本番は地域決勝だ。あちらは3日間でいいんだからね!前を向いていこうぜ!

あ、あの名物応援歌はタイミングが合わず歌えませんでした。地決に取っておきましょう。一緒に歌いたい人はyoutubeで予習だ!

【次ページ】レナチーニョ劇場

ゼムノビッチの采配、シンプル&いやらしいぜ

アミティエ京都のサポーターさんたちと、別れと市原での再会の約束を交わし、筆者はまるおかスポーツランドへと向かうことに。

ここで行われるのが、サウルコス福井に劇的な逆転勝利を決めたVONDS市原と、地決への出場権を持っていないアルテリーヴォ和歌山の注目カード。

ここで勝つしかない和歌山は、昨日の選手の言葉通り「ここからヒーローが出る」ことが必要だ。

そして、降りしきる冷たい雨の中で行われた試合は、あまりにも熱い内容となった。

福井戦の後半で機能したレナチーニョ選手のトップ起用を継続してきたVONDS市原。

その狙いはシンプルだ。フラフラとポジションを取るレナチーニョ選手にボールを収めれば、周りが一気に攻撃をスタート。決定的なパスが出て来る。

それを警戒してレナチーニョ選手の周りに集まると、今度はそれを囮として、サイドを使って広い攻め。

福井戦でレナチーニョを決め手として使い、それが警戒されることを見越したものだろう。選手が持つクオリティを生かしたシステムだ。

ペースを掴んだVONDS市原は17分、レナチーニョ選手のパスから裏を取り、折り返しから峯勇斗選手がゴール!

さらに35分にはレナチーニョ選手のフリーキックから小石哲也選手がネットを揺らし、前半で2-0とリードした。

【次ページ】アルテリーヴォ劇場でもあった

「一人がヒーロー、皆がヒーロー」

ハーフタイム、和歌山のベンチからは「粘り強く戦え!」と声が飛ぶ。諦めない気持ちが和歌山の足を動かした。

レナチーニョ選手に入ると決定的な場面を作られてしまうが、逆にそこから奪えばチャンスになる。

リスクを恐れずに戦う。それが必要な場面で、和歌山は全員で実行してみせた。

67分には西村勇太選手がペナルティエリア右よりから放ったミドルシュートがゴールに吸い込まれ、一点を返す。

さらにペースを上げ、73分にはレナチーニョ選手のトリックが引っ掛かったところからカウンター。柳田佑也選手のミドルシュートが弾かれたところを堀野翔選手が押し込んだ!

平日になったにもかかわらず、人数はむしろ増えているのではないかと思える和歌山サポーターは大沸騰!会場はイケイケムードになった。

ところが、それを崩したのがレナチーニョ選手だ。76分、ペナルティエリアでの個人のドリブルで守備を引き剥がし、シュートを決めた!

昨日は決め手として、今日はさらに囮として出場した彼が、個の力でVONDS市原の「ヒーロー」となったと言えよう。

しかし、観客を惹きつける情熱を見せたアルテリーヴォ和歌山の選手たち、そして福井を除けばこの大会で最も「熱い」応援を見せたと思えるサポーター。

大きな印象を残した和歌山、今日は負けたけど「全員がヒーロー」だったよ!

ということで、いわきFC、サウルコス福井、アミティエ京都が敗退したことで、筆者の全国社会人サッカー選手権大会レポートは最終回となります。

読んでくださった方、そして会場にお越し下さった皆様、本当に有難うございました!そしてまた地域決勝でお会いしましょう!

筆者名:籠信明

福井県と京都府を本拠地として活動。フランス、ポルトガル、アジア、アフリカなどのサッカーが得意分野で、海外ではPSGとヴィトーリア・ギマランエスのファン。「なぜか喋れるライター」として最近バニーズ京都SCのスタジアムDJ、日本代表パブリックビューイングのゲストコメンテーターなども務めている。『ハリルホジッチ思考―成功をもたらす指揮官の流儀』共著。

Twitter: @cage_nob