結婚式にまつわる風習やしきたりはそれぞれ全国各地で異なりますが、富山県には「鯛かまぼこ」という引出物の定番があるそうです。

とにかく豪華と言われる富山の引出物のなかでも主役級の存在感を放つ「鯛かまぼこ」は、県民には馴染みの品でも、他県出身者にとってはかなり衝撃的な一品。

ゆるキャラっぽくてかわいい

梅かま/鯛かまぼこ

というわけで今回は、創業70年の老舗かまぼこ店「梅かま」営業部の奥井俊之さんにインタビュー。

この北陸地方独特の文化について、色々とお話を伺いました。

――「鯛の細工かまぼこ」が富山の引出物の定番になったのはいつ頃からでしょうか?

奥井さん:引出物については、祝宴の際の本膳料理に用いられた料理かまぼこが起源と言われています。いつしかそれを持ち帰るようになり、細工かまぼこや籠盛りへと発展しました。

現在のように大きく立派になったのは、戦後の高度成長期でにあたる昭和30年代に冷凍スリミの技術が確立し、かまぼこを高品質かつ安定的に生産できるようになったことがきっかけです。

富山では昔から引き出物を近所におすそ分けする習慣があり、生活水準が向上し次第に豪華になっていく引き出物の需要に、華やかで美味しい細工かまぼこがぴたりとあてはまったという背景があるようです。

横幅約60センチのビッグサイズも!

梅かま/お祝い用鯛かまぼこ

――「鯛かまぼこ」は、大きいものはほんと大きいですよね。

みんなにおすそ分けすることが前提なので……ただそれぞれの家庭によって大きさの希望は千差万別のため、私たちは20種類以上のサイズを用意しています。

――需要が高いのはどのくらいのサイズですか?

近年は家族構成も変化し、ご近所付き合いも疎遠になったため、大きかったかまぼこも段々と小さいものが好まれるようになりました。

手軽に配ることができるので、切り分けずにすむ個包装の詰め合わせが最近は人気です。

梅かま/小型セット

鶴や亀、富士山といった縁起物

――「鯛かまぼこ」以外で、よく細工かまぼこのモチーフとなるアイテムは?

季節の花や入学式や母の日、敬老の日、バレンタインなど四季折々の慶事をイメージできるデザインのかまぼこです。

梅かま/細工かまぼこ

梅かま/亀かまぼこ

――細工かまぼこはどのようにして作られるのですか。

まずは鯛の形の木型を用いて、台になるかまぼこをつくります。その上に細工職人が付け包丁(持ち手のついたヘラの一種)や絞り出し袋を用いて手作業で色や模様を盛り付け、再度蒸し上げることで、鮮やかな細工蒲鉾となります。

梅かま/細工職人

――どれくらい日持ちしますか?

真空パックにし冷蔵保存で2〜3週間程度。ちなみにかまぼこは冷凍出来ません。解凍時、水分が離水してしまい食感が悪くなるからです。

――大きな「鯛かまぼこ」を受け取った人はどのように消費しているのでしょうか。

ありがたく、皆でいただきます。

そのまま食べるの?

――富山県民のスタンダードな食べ方は?

富山のかまぼこの持ち味は、ふわっとした弾力感です。

そのまま食べても魚の旨みが広がり味わい深いのですが、トースターやフライパン、網等を用いて温めて食べると、まるでお餅のようにフワフワになって、より美味しく食べることができますよ。

――「梅かま」スタッフによるおすすめの食べ方は?

小さなかまぼこなら10分程度、真空パックごと湯せんすることをおすすめします。

そうすると蒸し立てのようになるんです。多くはないと思いますが、かまぼこ屋さんが近所にある場合は、生のすり身を手に入れてみてください。これをすまし汁やかき揚げにすると絶品ですよ。

“幸福のおすそ分け”という温かな文化が育んだ「鯛かまぼこ」は、旅行土産としても人気の品。富山を訪れた際は、ぜひ大切な人とシェアしてみてはいかがでしょうか。