同じホテルなのになぜ料金が違うのか?

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同じホテルに宿泊するにも関わらず、予約サイトを変えると、料金が違っていたという経験をしたことはないだろうか。「教えて!goo」にも「予約サイトによる宿泊料の違い」を問う投稿が寄せられていた。そこで、ホテルの宿泊料金はどうして変動するのかを、ホテル検索サイト・トリバゴ(ドイツ本社)に勤務する瀧澤尚士さんに聞いてみた。

■正規料金との価格差が生じる理由

そもそもとして安い高いを考える前に把握したいのが正規料金。ホテルや旅館の中には、公式サイトや自社パンフレットに料金を提示しているところも少なくない。ということは、これが正規料金なのだろうか。

「パンフレットや受付等に印字されているものがあれば、正規料金といえるでしょう。ただし、正規料金で取引されることは珍しく、ウェブサイトに割引価格が記載されていることもあります」(瀧澤さん)

では、ホテルや旅館が提示する料金と、予約サイトの料金に価格差が生じるのはなぜなのか。

「航空券と同じで、正規料金が設定されているものの、実際には需要と供給の関係で日々の割引率が異なってきます。格安航空券のサイトでの直接予約が安いこともあれば、予約サイトでの予約が安い場合もあります。予約サイト等の料金は割引価格ですが、ホテル等も直接割引価格での販売を行っています」(瀧澤さん)

航空券もホテルも、時期により空席や空室が出ることもある。そういった、需要と供給を埋めるために、ホテル側、予約サイト側双方で価格調整を常に行っているのだ。

■ホテルでの低価格はいわくつきだから?

料金が安い理由として、「部屋からの眺望が悪い」「高層階ではない」「食事のグレードが違う」といったものから、何かでるという“いわくつき”説まで、まことしやかに囁かれているが、実際はどうなのか。

「サービスの質を下げることで料金を低く設定できることもありますが、同じサービスのままで料金を低く設定することが多く、前月同日よりも大幅に料金が下がることもあります。極端な例ですと、5つ星のホテルでも3つ星と同じ料金で宿泊できることもあり得ますよ」(瀧澤さん)

さらに詳しく瀧澤さんは料金変動のメカニズムを教えてくれた。

「料金変動の理由には、客室稼働率と呼ばれる、ホテルの全客室における空室の割合が、地域や季節によって異なることがあげられます。同じ部屋やサービスでも、特にオフシーズンでは空室が生じてしまうため、ホテルや旅館が、少しでも空室を避ける対策を検討しています。その対策の一環として、複数の予約サイトへの掲載や大幅な割引等を行っています」(瀧澤さん)

なるほど。確かに納得の理由である。ではいわくつきについてはどうだろう?

「きれいな部屋が安くなる理由としては、部屋自体の大きさや位置、季節性、空室状況、地域、競合など、様々な要因が考えられます。また、お客様がホテルや旅館を選ぶ際、通常、部屋自体の大きさや位置については部屋毎の詳細情報が記載され、それらを比較、確認することもできます。目に見えない要因がある以上、『もしかして、いわくつきかも』といった想像が膨らみやすいのかもしれませんね」(瀧澤さん)

■原理的には家電量販店のパソコン価格と同じ

複数の予約サイトをチェックすると、実際、料金にはかなりのばらつきがある。中には一泊2〜3万円の差がついているケースも珍しくないが……。

「予約サイトと各施設の契約が多様であるため、予約サイト間でも宿泊料金が異なります。たとえば、予約サイトによっては、必ず部屋を売ることを前提に、予めホテルや旅館から部屋をまとめて安く買い取り、予約サイト自身で料金を設定することもあります。また、予約サイトとそれぞれの宿泊施設が、どれだけの部屋を取引するかによって、手数料が変わることもあるのです。これは同じブランドのパソコンでも、家電量販店によって価格が異なることと同じです」(瀧澤さん)

つまり、ホテルや旅館の料金は必ずしも横並びにはならない。常に変動しており、同じ部屋でもさまざまな条件や契約によって「違う」のが当たり前だといえる。消費者側にも、広い視野を持ち、比較検討する力が求められるのだ。

●専門家プロフィール:trivago N.V. 瀧澤 尚士
東京大学工学系研究科卒、ライプツィヒ商科大学(トリバゴ創設者3名の母校)MBA取得。2014年よりドイツに在住し、現在はホテル検索サイト・トリバゴのドイツ本社にて日本の事業展開を担当。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)