上田祐司社長

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 起業家を多数輩出する企業として知られる「Gaiax(ガイアックス)」。ピクスタ社長の古俣大介氏やAppBank取締役の村井智建氏らさまざまな起業家が同社を経て起業している。

 現在は、シェアリングに注目し、地元住民と旅行者の交流の場となっている地域体験予約サイト「TABICA(たびか)」を手がけていることでも話題になっている「Gaiax(ガイアックス)」代表執行役社長CEO上田祐司氏に、なぜそのような企業風土を生み出したのか、話を聞いてみた。
 
――上田さんがシェアリングサービスの可能性に目覚めたきっかけはなんでしょうか?

上田:僕は関西の大学を卒業後、すぐにベンチャー企業に入社したのですが、すぐに退社し、独立起業しました。というのは、今や海外では自分のマンションやアパートの空室を、シェアリングで、旅行者に貸し出すのは当たり前。日本が遅れているだけで、海外ではそれがスタンダードなんです。

 弊社は、過去にソーシャルサイトを運営していましたが、当時も見知らぬ2人が掲示板で出会い、結婚する現象が起きていた。その頃からネットで世の中、がどんどん変わっていくだろうなと思いましたね。

――確かにネットを通じて、これまでの人間関係が変化しています。

上田:個人的な思い出ですが、‘11年のフクシマ原発事故の時、放射能の影響で外国人観光客がパタッと途絶えましたよね。そのとき、僕が「カウチサーフィン」(民泊サイト)で知り合ったカナダの友人がフェイスブックで「大丈夫か? こっちにおいでよ」と、連絡をくれたんです。もちろん仕事もあるので、そのオファーはお断りさせていただいたのですが、感動してしまって。日本の知り合い、親戚って何だろうと思いました。

――上田さんは経営者として働く一方、シェアリングエコノミー協会の代表理事も務めていますが、具体的にどのような活動を行っているのですか?

上田:業界各社との情報交換会と、国への提言ですね。正直、シェアリングサービスに対して国の法律が間に合ってないんです。たとえば、これまでは考え方やニーズがバラバラだった消費者1万人がいました。彼らに対し、ホテルやタクシー業界が、B to Cでサービスを提供していた。だからその基準となるルールとして、「業法」が必要だったんです。

 でも、今はスマートフォンとソーシャルメディアを使えば、1万人が好き勝手に繋がれる時代。東京から横浜までタクシー1万円。それが同じ方面の3人乗せてライドシェアしたら、1人3000円ちょいで済む。「部屋空いているから泊まりなよ」とか「車一緒に乗っていこう」とか、ネットを通じて助け合いできたほうが、明らかに効率的なのに、業法に引っかかってしまう。

――ただ、そこに安全性などの問題点はありますよね?

上田:もちろん。シェアリングエコノミー協会として、法律でまだ定められていない安全性を高めるための新しい法律を考えています。内閣府が主催しているシェアリングエコノミー検討会議に協会からも人を派遣し、シェアリング業界の自主ルールと、認証マークを作成しました。このシェアリングサービスは安全ですよって、企業にはそのマークを付与する。トラブルはゼロにはできませんが、抑制のための施策は行っています。

――他にも何か行っていることはありますか?

上田:もう一つあるのが、地方自治体が行っているサービスのなかで無駄が多いものをシェアリングサービスで解決できないかと。人口減少が進むなか、地方自治体が現在のサービスを維持するのが困難になっている。地方で誰も乗車していない無人バスの代わりに、元気なお年寄り同士が相乗りして移動できるようライドシェアしてもらう。これも助け合いの精神です。