ノートPC、デスクトップPCは、単価を下げながら前年並みの販売台数を維持している

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 ノートPC、デスクトップPCは、長らく続いた深刻な売れ行き不振から脱しつつある。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」によると、2016年8月以降、月間販売台数が前年を上回る月が増え、夏のボーナス商戦期にあたる今年7月、8月は、2か月連続でプラスを記録した。
 ノートPCの税別平均単価は、国内メーカー製が10万円台前半、海外メーカー製は5〜6万円程度。デスクトップPCはノートPCよりも高く、国内は14万円前後、海外は6〜10万円程度だ。買い替えサイクルは、以前より延び、7年前後といわれている。タブレットなどの台頭でPCの使用頻度が低下しつつあるためか、故障するまで、またはOSのサポートが終了するまで、使い続けるケースが多いとみられる。

 昨年のWindows PCメーカー座談会に続く第2弾として、BCNは、インテル、日本マイクロソフトを含む、PC関連企業11社が参加する「コンシューマPC業界座談会」を開催。コンシューマ向けPCの本格回復に向けた課題などについて意見を交わした。

 今回は、ビックカメラとヨドバシカメラのPC担当バイヤーも出席し、議論に加わった。ビックカメラの鈴木淳商品本部商品部 PCグループ係長は、現在のPC市場について、「単価を下げながら前年並みの販売台数を維持しているが、新規に購入する顧客は多くない印象。用途は動画視聴やチャットなど、スマホで十分に対応できる場合が大半を占める」と分析。PCが必需品と感じられるよう、消費者目線に立った製品が必要と指摘した。

 一方、ヨドバシカメラの鈴木裕介 パソコン事業部 パソコン事業部長は、PCの所有率で10〜20代の層が消えてしまった反省から、2020年の小学校でのプログラミング教育必修化を前に、6歳の小学生をターゲットにした訴求に取り組んでいるという。他の出席者も、プログラミング必修化に期待を寄せる。

 とはいえ、そもそも子どもの数が減っている以上、一定以上の効果は望めない。どうしたら、シニアを含め、幅広い世代の消費者がPCに価値を見出すようになるのか。1月14日にWindows 7のサポート終了、7月24日に東京五輪・パラリンピック開幕とイベント目白押しの2020年を、一家に一台から「一人1台」のPC普及元年にするためには何が必要か。座談会で意見が挙がった、「今からOSサポート終了を見据えた買い替えの必要性を喚起していく」という過去実績をもとにした施策や、ストーリーで売る「コト提案」だけでは弱いだろう。

 スマホとPCの最大の違いは、キーボードの打鍵感にあると考える。2in1タイプのノートPCやタッチパネル対応の液晶一体型PCの場合は、タッチ操作も併用することになるが、PCでは、文字は「打ち込む」もの。つまり、シンプルに、文字入力のしやすさを訴えればいいのではないか。

 とはいえ、人によっては、キーボード入力よりフリック入力のほうが速く、今後、精度が上がれば、デジタル機器や家電は音声操作がメインになる可能性もある。タッチ操作全盛の時代に、習得に時間が必要なキーボード入力に縛られたPCの販売台数が、前年並みを保っているだけでも上々といえるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

■【BCN主催 コンシューマPC業界座談会 2017】

・2020年に向けてトピック目白押し 来たる商機に万全の備えを

・売り場の「コト提案」は進んだか 将来見据えて「小学生」に種まき

・「働き方改革」は追い風か 「快適なモバイルワーク」を訴求

・PC関連メーカー11社が回答 2017年のコンシューマPC市場のトピックス

・家電量販店3社が回答 2017年のコンシューマPC市場のトピックス

・秋商戦で注目! 最新ノートPC販売のキーポイント