後半から途中出場したシモビッチは、わずか5分で同点ゴールを奪取。指揮官の起用に見事に応えた。(C)SOCCER DIGEST

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[J2リーグ37節]名古屋3-2湘南/10月15日(日)/パロマ瑞穂スタジアム

 まさに、“個の力”が表われたスーパーゴールだった。
 
 和泉竜司からのクロスを胸で収めたシモビッチは、199センチの身体をフルに活かして相手を押さえながら反転すると左足を一閃。強烈なボレーシュートでネットを揺らした。インパクト特大のゴールにパロマ瑞穂スタジアムはどよめきと歓声に包まれた。
 
 本人も「和泉から良いボールが入って、胸でコントロールした時に“打てるな”という感覚だったので、ターンして打った。自分で言うのもなんですけど、美しいゴールでした。入って良かったです」と、ゴールシーンを振り返りながら自画自賛する。
  
 これでJ2得点ランク5位タイの16ゴール。ただ、この日のゴールを生んだのは、強靭な身体能力とシュートセンスだけではない。冷静な分析力に基づいたものだったようだ。
 
 この日は先発ではなく後半の頭からピッチに立ったシモビッチは、前半は相手のディフェンスを見ながら、「自分が出た時にどう戦えばいいかというのは見えていた」。ゴールへのイメージはすでにできていたのだ。
 
 この日の湘南ディフェンスは、ゴール前でのマークがやや散漫になりがちだった。そこで風間八宏監督は「今日の場合は、少し前線がボールを受ける回数が足りなくなったので、ロビン(・シモビッチ)を入れた。前半はゼロトップのような形だったが、後半はDFをロビンにつけさせることで、相手のリズムを崩させた」という。
 
 指揮官の言葉どおり、常に相手の隙を窺いながら、最前線にドッシリと構える“巨兵”は確実に湘南の脅威となっていた。実際にゴールシーンでは、なんでもないようなクロスにいち早く反応して確実に収めシュートまで持っていっている。
 
「J2では、シモビッチのようなデカくて巧い選手はいないので、そこに対応するのが難しかった」(秋野央樹)
 
「やっぱり名古屋は、ゴール前でのフィニッシュの能力が高かった。シモビッチ選手も能力が高くて、ああいう失点(2失点目)を防がなければいけなかったけれど……」(菊地俊介)
 
 湘南の選手も試合後、苦悩を口にしていた。
 
 身長199センチで足下の技術も高水準、さらには冷静な分析力も備える――。シモビッチは、対戦相手も舌を巻くJ2では類を見ない規格外の助っ人ストライカーだ。
 
 名古屋は再びJ1の舞台に上がれるか。この助っ人FWのさらなる活躍がひとつのポイントになりそうだ。

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取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)