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●さまざまなタイプの尿失禁の原因を学ぶ

くしゃみをしたときや重い物を持ちあげたとき、はたまた電車などに乗り遅れまいと走り出したとき……。このような状況下で「実は尿漏れしてまった」という経験、40代以降の人には意外に多いかもしれない。人気タレントが尿漏れシートのCMに起用されるといったこともあり、尿漏れは更年期の女性にとって身近な症状との認識も広がりつつあるのではないだろうか。

とはいえ、更年期の尿漏れは「みんな同じ」とかたづけていいのだろうか。そもそも、男性と女性では尿漏れの原因が違う可能性もあるのでは? 症状を正しく判断するため、今回は尿漏れの基礎知識について泌尿器専門医の鈴木雄一郎医師に話をうかがった。

○複数の種類がある尿漏れ

一口に「尿漏れ」といっても、実は複数の種類がある。主なタイプは以下の4つなので、まずはそれぞれの原因と症状を把握しておこう。

腹圧性尿失禁……加齢や出産を経て、女性の骨盤底を支えている骨盤底筋群の筋力が低下したことが原因で、尿禁制が保てなくなった状態。くしゃみや重いものを持ちあげるなど、急激な腹圧がかかることで失禁してしまう。

切迫性尿失禁……急に強い尿意を感じたり、尿意を感じてから排尿までに間に合わず漏れてしまったりする症状で、「過活動膀胱」が主な原因。男性の前立腺肥大症でもみられることがある症状として知られる。

機能性尿失禁……排尿機能が正常であるにも関わらず、認知症や身体運動機能の低下が原因で尿失禁してしまう症状。「うまく歩けず、トイレに間に合わない」などがその代表例となる。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁……尿意をもよおしてもいざトイレに行くと尿が出ず、意識しないうちに尿が少しずつ出てしまうという症状。男性に多い症状で、背後には疾病が隠れている可能性があるため注意が必要となる。

●尿失禁を防ぐ方法

○気になるなら、量や頻度に関係なく受診を

鈴木医師は「女性の更年期はさまざまな症状がみられますが、尿失禁もその一症状。更年期になれば必ず尿失禁になるというわけではありませんが、ある程度の年齢になってくると、やはり発症頻度も高くなるかと思われます」との見解を示す。ちなみに40〜50代では、3人に1人が尿漏れの症状があるといわれているとのこと。

腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁などは身近な症状と思われるが、残念ながら時間が解決するというものではない。日常生活で気にならなければ問題ないが、もしも気になるようであれば、量や頻度に関係なく泌尿器専門科の受診を。

「尿失禁は質性病変(例えばがんなど)によって症状が引き起こされる可能性もあります。深刻なことに至らなくても、早めに受診することでその可能性を否定することも大事」と鈴木医師は話す。

腹圧性尿失禁の場合は、自分でできる改善策として骨盤底筋体操がある。ただ、トレーニング的なものなので、最低2〜3カ月は継続することが必要。コツコツと行うのが大切だ。切迫性尿失禁の場合は原因にもよるが、内服薬にて症状を軽減できる可能性もあるため、早めに受診して医師に相談してみるとよいだろう。

○男性の尿漏れには疾病が隠れている可能性

また、「尿漏れは加齢によるもの」と軽視されがちだが、「男性の場合は尿道が長く前立腺もあるため、女性以上に注意したほうがよい」と鈴木医師は警鐘を鳴らす。

「男性の前立腺は加齢に伴い徐々に増大していき、一部はがん化します。前立腺の増大が進行すると徐々に排尿困難になり、排尿後も膀胱内に尿が残る(残尿)ように。残尿が増えてくると、尿意がある場合はトイレに何度も駆け込む(頻尿)ことで対処できるのですが、膀胱内が尿で満たされても尿意を感じなくなると、溢流性尿失禁状態になります」

溢流性尿失禁の状態が長く続くと、膀胱内の尿が腎臓に逆流することに。前立腺がんでも排尿障害や溢流性尿失禁は起こりうるため、「最近、トイレが近いな」と感じたら早めに医師に相談するのが何よりの安全策といえよう。

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