(左)div取締役 中山紗彩さん(右) 株式会社divが運営するプログラミングスクールの様子。主に文系の学生やサラリーマンが学びに来ている。

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働きながら「副業」で稼ぐにはどうすればいいのか。いろいろなところに埋まっている「ビジネスチャンス」について、当事者に話を聞いた。なかには「もうサラリーマンには戻れない」と語る人も。ネットを使った副業で稼ぐ「コツ」とは――。

■収入は月額12万円で、年間150万円程度

経済産業省の調べでは、ネット化の進展によりIT技術者は現在17万人不足している。不足幅は年々拡大し、2020年には37万人に達する見込みという。

ここに副業の道を見つけた人もいる。投資家・石川貴康さんの妻は、自宅でWEBエンジニアの仕事をしている。もともとSEとしてシステム開発会社に勤務していたが、子育てのために退職。その後、「せっかくのスキルを活かしたい」と自宅でホームページづくりなどを請け負うようになった。

これまでに、ネットでフラダンス用品を販売する会社の公式サイトを企画・開発したり、「機動戦士ガンダム」のキャラクター商品や「ベイブレード」といった日本の玩具を海外に販売する事業のサイトを立ち上げたりしている。

収入は月額12万円で、年間150万円程度だ。もしサラリーマン家庭の主婦がこの程度の事業を始めるとしたら、個人事業主として確定申告をすることになるため経費計上などのメリットが大きい。たとえば新しいパソコンを購入しても業務用であれば経費となる。一般の兼業主婦がパートで働くことに比べて税制面でも有利なのだ。

■受講生の内訳は学生3割、社会人7割

今はスキルがなくても、プログラム技術を学ぶ手もある。2016年7月にIT企業のdiv社が女性を対象に実施した「プログラミング1日講座」には、多くの女性が参加した。

「受講者の3割が、プログラミングを副業に活かしたいと考えていました。20代の未婚者でも、将来の育児期間中に自宅で仕事をしたいと意欲的です」(div取締役の中山紗彩さん)

同社は1〜2カ月でプログラミングを身に付けるための有料スクールを教室とオンラインで運営しているが、受講生の内訳は学生3割、社会人7割。

「スクールでは座学の講義は行わず、とにかくプログラム作業の手を動かしてもらう実地方式です。社会人のうち、個人で受講される方の業種はさまざまですが、今後新しい活動を行う場合にITは欠かせないので、技術をきちんと学びたい思いで受講されていますね」(中山さん)

■土日だけをプログラミングの仕事に

その一人が、かつて税理士法人に勤務していたWEBエンジニアの早川晋平さん(25歳)だ。どんな仕事を受注しているのだろうか。

「僕の場合は、前職の関係から税理士などの『士業』の方々のホームページ制作をすることからプログラミングの仕事をスタートしました。今はイベント向けの特別サイトをデザインしてほしいという依頼が多いですね。だいたい1週間で3件、合わせて23万円ほどの売り上げになります」(早川さん)

会社や役所など大組織のシステム構築を仕事とするSEは基本的にオフィスに詰めて作業を行うが、早川さんのようなWEBエンジニアは自宅のPCで作業することができる。

早川さんは独立起業を目指して、現在はフリーの立場でdiv社の法人営業を手伝っているが、税理士法人に勤めていた時期には土日だけをプログラミングの仕事に充てていたという。技術さえ身に付ければ、サラリーマンや主婦にも手が届きそうな副業である。

 

(経済ジャーナリスト 高井 尚之 撮影=大杉和広)