花井悠希の朝パン日誌 vol.9
パンでもハロウィンを味わおう…〈タンブラン〉と〈SURIPU〉。

10月も半ば。街中では、ハロウィンの飾り付けを至る所で見かけるようになってきましたね。そのハロウィンの波は、パン屋さんにも。

というわけで今日は、名古屋市と三重県四日市市のお店(要は「帰省していましたシリーズ」)の、この時期ならではというかぼちゃが使われたパン(パイ)等をお届けします。

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今年も会えたね…〈Tanblan〉の「かぼちゃのパイ」。

去年初めて食べて、今年も食べたいなぁと思っていた三重県四日市市にあるお菓子屋さん〈Jouer du Tanblan〉のパンプキンパイ。こちら〈タンブラン〉さんは生ケーキも絶品で、いつ行っても季節のフルーツを使った美味しいケーキがずらりと輝いています。ひとつなんて選べず二、三個食べてしまうこともしばしば。

両手で収まるくらいの大きさで、穏やかな笑みを浮かべるジャックオランタンフェイス。顔の真ん中へ入刀することに気後れしながらも、半分に切ってみると…

ひゃあーーーーー!!濃い山吹色したかぼちゃがぎっしりと詰まっているではありませんか!

見るからにホクホクしていそうなその断面に高鳴る気持ちを抑えられず、早急に口へと運ぶと、驚きました。実になめらかに整えられています。かぼちゃフィリングのホクホク感を表しているように波打つ表面からは、想像出来ないくらい、舌触りが繊細且つなめらかで、かぼちゃフィリングによくある「んぐ」っと喉にくるモサモサ感(芋栗かぼちゃに限りこの感じも好き)とは皆無の、瑞々しさすら感じられるスムースさ。だけど、しっかりとかぼちゃのホクホクした味わいと実感はあるんです。かぼちゃプリンを焼いたらきっと、こんな感じなのかも。そのカボチャの隙間から、絶え間なくシナモンが香るから、断面に近づいて胸いっぱいに深呼吸したくなります(人前ではやめましょう)。これこれ、秋の香り。

ザクザクパリパリとしたパイは、私が主役なのよ!という積極的に主張するタイプではなく、バターの香りはありつつも、カボチャの味わいの深さとバランスを取った控えめな性格で、好感度大。このファニーフェイスくん、デキる子です。

出会いは必然?…〈SURIPU〉の「ベリーのガレット」と「パンプキンパイ」。

すぐお隣にある〈FM愛知〉さんへお邪魔したのが初めての出会いで、それから〈FM愛知〉さんへお邪魔する度に寄っています。(ポケモンGOで話題になった)鶴舞公園からも近いので、買って公園で食べるのもアリです。

いつもひっきりなしにお客さまがやってきて賑やかです。角地に建ち、水色の縁取りのガラス窓、真っ白な壁の佇まいは、いつの日か絵本で見たようなパン屋さん。

|ベリーのガレット|

まずこんなハロウィン感満載な見た目にさせてしまったことを謝りたい。私の不注意のせいで、中のベリーソースが溢れて出てしまい、おどろおどろしい感じになってしまいました…が、そんな見た目とは裏腹に、キラリと光る美味しさが待っていたのです。端っこを一口齧っただけで、もうその世界に引き込まれます。甘く香ばしい香りが芳しくって、たっぷりとバターが使われているのが分かります。

|お皿にベリーソースが伸びてさらにハロウィン感増し増し!|

そしてその食感は、軽やかなサクサクだけじゃなく、粉一つ一つがしっかりとたって、ホクホクとした深さを感じさせてくれます。クッキーに近いのだけどもっと豊かで…言うなれば、ガレットブルトンヌの粒子をもっと細かくしたような口当たり。食感に深さって、なかなか感じたことのない感覚です。

こんなに(ソースが流れ出ちゃうほど)瑞々しいベリーソースを包んでいるのに、この深い食感が保たれているなんて、なんで!?と、思わずじっくり見つめてしまいました。

この生地に囲まれ、マグマのように真ん中で燃えるベリーソースは、美味しさが目に見えているような鮮やかさ。甘さと酸っぱさが互いの角をとって、ギュッと手を取ると、甘すぎず、酸っぱすぎずの、無敵なバランスの甘酸っぱさに仕上がるのですね。大粒のベリーはゴロゴロと形が残ったまま入っていて、ベリーソースを吸い込んだ果肉の柔らかさとジュワッと広がる心地も、実に甘美です。

甘さが程よく抑えられ少しの塩気を感じる生地と、ジューシーで甘酸っぱいベリーソース、そしてトップにお化粧のように施されたカリカリと弾ける小さな粒のお砂糖、全てが美味しいの足し算で、指が赤く染まることにも厭わず、無我夢中に食べてしまうこと間違いなしです!

|パンプキンパイ|

こちらでも「パンプキンパイ」を見つけてしまい、散々迷った挙句、ここは食べ比べだーっ!と手に取りました。

こちらのパンプキンパイは、サラリとした口当たりのパイ生地。薄く平らで繊細なパイが、空気をサンドイッチしながら何層にも何層にも積み重ねられているのが一口で分かります。体感的には100層くらい積み重なっているんじゃないかと思うほど。

タンブランのパイが、ザクザクッとしたパイならば、こちらはサラサラッとしたパイ。ひらひらとパイの粉が舞い落ちる感じです。中のパンプキンフィリング、こちらはシナモンが抑えられている分、カボチャの自然な甘みを存分に感じられます。素朴な中に、カボチャってこんなにコクのある味わいなんだなぁっと、改めて教えてくれる滋味深さがあります。パイのバター感もしつこくないので、後味にもカボチャの甘みが残って、自然の恵みよ、ありがとう!という気持ちにしてれます。一口に「パンプキンパイ」といっても、そのキャラクターは千差万別なんだと実感できた食べ比べでした。

街に大好きなカボチャ味が溢れる季節はあと少し。皆さんもジャックオランタンとにらめっこしながら、季節の味を楽しみませんか??

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