小池百合子東京都知事(ロイター/アフロ)

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 衆院選の公示から1週間がたとうとしており、選挙戦はすでに中盤戦だ。報道各社の序盤情勢調査では、自民党と公明党の与党が有利に戦いを進めており、合わせて300議席をうかがう勢いだ。

 一方で、小池百合子東京都知事率いる希望の党は伸び悩み、60〜70議席と予測するメディアが多い。このままだと、タッグを組んでいる日本維新の会と合わせても、3ケタの議席数に届かないかもしれない。立憲民主党は当初の苦戦予測を覆す健闘ぶりで、公示前の15議席から40議席前後に増える勢いだ。

 そんな優勢ムード漂う与党だが、公示前に安倍晋三首相(自民党総裁)周辺が気をもんでいたのは、街頭演説でのヤジだった。

「7月の東京都議選のとき、東京・秋葉原駅前での演説で聴衆から激しいヤジを受けたのがトラウマになったのか、公示前は遊説場所を事前告知しない“ステルス遊説”を続けていた。しかし、それでも今月7日に千葉・JR柏駅前で街頭演説を行った際には、集まった聴衆の一部から『安倍辞めろ』コールが上がり、安倍首相は『私は消して負けません』と語気を強める場面もあった。演説中、30人ほどの聴衆から『森友・加計問題を説明してくれ』と声が上がったが、首相はこの問題に触れず、そのコールは演説中、断続的に続いた。公示後は街頭演説スケジュールを公表しているが、安倍首相がヤジに反応してキレる場面の再現は果たしてあるのかどうかも、永田町関係者の間では関心事のひとつです」(永田町筋)

 公示前の7日、東京・銀座で希望の党代表の小池知事と日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)、地域政党・減税日本の河村たかし代表(名古屋市長)がそろって街頭演説をしたとき、会場となった銀座4丁目の交差点では車道にまで人が溢れるほど大勢の聴衆が集まった。このとき、希望の党の失速を予感した人はほとんどいなかったに違いない。

「東京・大阪・愛知の首長が協力して政府に地方分権などを意見するための『三都物語』だが、もう一人の主役、愛知県の大村秀章知事は姿を見せなかったが、このときすでに協力関係は崩れていた。大村知事は『認識の違いがあった』と説明するだけで、具体的にどんなやりとりがあったのか、いまだに語ろうとはしない。11日には『特定の党に応援に入ることは現段階で考えていない』と発言しており、希望や維新と距離を置くことを明言している。ちなみに、河村市長は希望の党から出馬する予定だったが、急きょ取りやめになった。希望の党側が『お引き取り願った』(希望の党関係者)という話もある」(同)

●小池離れの理由

 そんな希望と維新は候補者調整しており、選挙協力は万全のようにも見えるが、安倍首相との距離感で温度差がある。

「小池知事は自民党で安倍首相と距離を置く石破茂氏に近いが、松井知事は安倍首相に近く、改憲でも協力姿勢を見せている。また、『小池知事は維新と組んだことで20議席は失った』(政治評論家)との指摘もあり、維新との連携効果は選挙後になってみないとわからない。希望の党に逆風が吹き始めたのは、小池知事が『民進党の方々を全員受け入れる気持ちはさらさらない』と“排除の論理”を持ち出してからだ。そして、公認候補者に憲法改正、安全保障法制などの“踏み絵”を踏ませるやり方は、有権者の目には傲慢と映った」(別の永田町筋)

 公示日の10日、小池知事の不出馬が確定してから、希望の党の迷走は鮮明になり、選挙後の首班指名では誰に投票するのか、いまだにはっきりしていない。

「公示前、政権交代が起きなくても自民が50議席以上減らして大敗すれば、自民党内の責任論で安倍首相退陣は必至と見られていた。しかし、現在は希望の党が60議席に届かなければ、小池氏に対して責任論が出てくると見られており、早くも責任論が浮上している。小池氏は簡単に代表辞任するだろうが、国政復帰へのハードルはかなり上がるだろう」(同)

 あと1週間で再び小池旋風を巻き起こすことはできるのか、注目だ。
(文=編集部)